今回のインサイドストーリーではブランド創設から12年目を迎えたサイトマスターの取り組みについてお伝えしていきます。
メイドイン鯖江
高品質のガラスレンズを採用したサイトマスターの偏光サングラスは、レンズは幕末から続く眼鏡レンズ発祥の地である大阪・田島のTALEXにて製造され、フレームの製造・組立は「メガネの街」として今や世界的に有名になった福井県の鯖江(さばえ)市にて行われています。正真正銘のメイド・イン・ジャパンです。なぜメイド・イン・ジャパンにこだわるのか?そこにはレンズの性能を100%生かすためのフレーム設計があり、それを可能にする製造技術は世界中どこを探しても鯖江にしか存在しないからです。

TALEX × サイトマスターの取り組み
ご存知のようにサイトマスターはタレックス社製ガラスレンズを採用しています。タレックスは眼鏡用レンズの中でも偏光レンズのみを製造している世界でも唯一のメーカーです。しかも原料の調合から成型、染色、コーティング、偏光フィルターの製造まで全ての工程を自社生産している、まさにオンリーワン企業です。そのタレックスにてサイトマスターのために特別に製造されるレンズが我々が採用するガラスレンズです。(注:一部のレンズはタレックスのラインアップと共通しています。)
レンズ性能を生かすフレーム設計とは?
これまであまり語られる機会がありませんでしたが、いくらレンズの性能が高くてもそれを生かすフレーム設計や製造技術が無ければ意味がありません。サイトマスターのラインアップをご覧になっていただくと一つ共通点が見えてきます。それは全てのフレームがレンズの周りをしっかりと取り囲むタイプになっているということです。フレーム上部だけや数か所の「点」でレンズを押さえるタイプは存在していません。通常のプラスティックレンズに比べて硬く厚みのあるガラスレンズはそもそも変形しにくいものですが、さらにレンズを外周全体で支え、歪みなくセットするためのこだわりです。 
重量という面では多少犠牲にはなりますが、歪んだレンズを通して見ることによる疲労は想像以上に大きいものです。さらに設計だけではありません。それを可能にする精度の高い製造技術、組立技術が必要とされます。釣りにおいてはポイントに入ったら1点に集中する時間が多く、また早朝から夕方まで長い時間に渡ります。釣りにこだわったサイトマスターだからこその選択と考えています。
2012年新モデルにおける新たな取り組み
2012年の新モデルの開発にあたりテーマとしたのは新たな「快適な掛け心地の追求」でした。快適さは釣りへの集中力を高め、集中力は釣果へと繋がっていきます。偏光サングラスにおいては「快適性」と一口に言っても様々な要素があります。レンズが歪んだりしていれば疲労や頭痛といった結果になりますし、フレームのフィッティングが合わなければ痛くて釣りどころではないということが起こり得ます。ポイントをもう少し詳しく見ていきましょう。
プリズム現象
通常メガネには6カーブ、8カーブといったレンズ自体のカーブとは別に、それらのレンズを目に対してどの角度で配置するのかというフレームカーブという要素があります。角度を付ければ付けるほど、すなわち目に対して斜めにすればするほど、顔面に沿うようにフィットする一方で、レンズの周縁の像が歪んでいくという現象が起こります。光がレンズを通る時に、まっすぐに入る時と斜めに入る時とではその距離が異なるからです。これをプリズム現象と言います。

これがいわゆる偏光サングラスを掛けた時の「違和感」や「酔い」、ひいては「頭痛」等を引き起こす原因の一つです。タレックスの薄型平面ガラスレンズはそもそもプリズム現象が低く抑えられており、8カーブレンズを使い、深いフレームカーブを付けたモデルは遮光性、防風性という面においては依然として大きなアドバンテージがあります。サイトマスターのラインアップの中で、選択肢の一つとしてプリズム現象を抑えたモデルを用意する、これを2012年新モデルの開発にあたり、テーマの一つとしました。
ここで一つ考慮しなければならないのが、偏光サングラスの販売方法です。
偏光サングラスと通常のメガネの販売における違いの考慮
通常メガネの販売と言えば計測器を用いて一人一人に合わせたレンズが加工され、フレームもフィッティングが取られます。しかしながら釣りの道具としての偏光サングラスは既製品として皆様のお手元に届けられます。ディセンターレンズと言って焦点をずらす(=レンズの周縁の厚みを薄くする)ものもありますが、それも瞳孔間距離、視力など様々ある要素の平均を取らざるを得ず、また釣り道具としての偏光サングラスは耐久性、耐衝撃性も確保しなければならない(アメリカの厳しいドロップボールテストのクリア)ため、解決策とはならないと考えました。
今回サイトマスターが採った解決策は「レンズを可能な限り眼球に対してフラットに配置する」というものです。

非常にシンプルな発想ですが、こうすればどなたが掛けてもプリズム現象を最小限に抑えられると考えたのです。しかしここには大きな問題が一つありました。そのまま角度を変えただけでは通常のメガネの様に遮光性、防風性を損なってしまうのです。これを如何にフレームワークで解決していくか。今期は4つの新モデルがあり、「快適性」の向上にはそれぞれの特徴を出しながら取り組みました。
2012年新モデル
様々なサイトマスターのラインアップの中で、プリズム現象を最小限に抑え、遮光性や防風性を損なわず、釣りの道具として釣果を上げるためのトータルな快適性に新たに取り組んだモデルが2012年の新製品となります。それでは個々に特徴をご説明していきましょう。
Integral (インテグラル)

快適な掛け心地を実現した次世代インジェクションモデル
まずデザイン面ではレンズを取り囲む面を可能な限りフラットに残しつつ、サイドをカバーするように回り込ませました。上図の様に前面サイドと後面鼻側にレンズのフラット面確保のための出っ張りがご確認いただけるかと思います。その面から離れるようにして遮光性を確保するための別の面がサイドへと流れていき、 テンプル部へと繋がっていきます。
フィッティング面でもいくつかの機能を盛り込みました。通常ナイロン素材で作られるインジェクション(射出成型)モデルは金型によって精度の高い自由な造型が可能なことが第一の特徴です。一方で、フレームのフィッティングという面では調整の幅が限られると言えます。熱入れによる再調整の可能なセルフレーム(アセテート素材)と違い、ナイロン素材は成型後の調整がほぼ不可能です。すなわち、かっちりとした掛け心地が得られる反面、どうしてもお顔に合わず痛みが出てしまわれる方もいらっしゃるのが現実でした。

ここで今回登場するのがバネ蝶番です。耐久性を考慮し、そして何よりも遮光性を確保するための新設計のベータチタン製蝶番を採用しました。テンプルを広げていくと、ある位置で止まった後さらに蝶番のバネ性によって広がり、押さえつける仕組みです。ベータチタンという素材は軽くて強く、耐食性が高いという特徴があります。素材のバネ性によってフィッティングの幅を大きく広げつつ、パーツ同士が重なり合う動作デザインにすることで遮光性も確保しています。
通常インジェクションタイプのフレームの場合はフレーム自体の湾曲によってフィッティングさせる製品も多いのですが、その場合繋がっているフロント部分へも 負担が掛かり、レンズの歪みを発生させてしまいます。抑える力を発生させつつ、フロント部へ掛かる力を逃がすという役割も負っています。

このモデルにはもう一つフィッティングを向上させる工夫があります。一見してゴム(エラストマー素材)を被せただけに見えるモダン部分(耳に掛かる部分)の中にチタン製の芯を入れてあります。
これにより「ご自身で」調整することも可能になっています。蝶番、ノーズパッド、モダンの3箇所の調整によって、より多くの皆様に快適にフィットするモデルをご用意することが出来ました。
Outrider (アウトライダー)

立体デザインを実現した切削モデル
セルフレーム(アセテート素材)には他の素材には出せない美しさがあります。しかし通常のセルモデルは1枚の板を曲げて加工されるため、立体的なデザインには限界もありました。そこで今回は新たな製法に取り組みました。まずインジェクションモデルと同様に金型を作り、ナイロン素材ではなくアセテート素材を最終的な造形の3倍ぐらいの大きさで一旦成型します。それをさらにNC切削加工によって最終的な形状に一つ一つ削り出していきます。こうすることで1枚板を曲げるだけでは不可能な立体的なデザインが美しいセル生地(アセテート素材)で実現しました。
このモデルの特徴はレンズのフラット面を残しつつ、フロント上部とサイドにバイザー機能を持たせたデザインを盛り込みました。レンズ面と顔のギャップを、フレームを伸ばすことで補うというコンセプトで、前述の新たな製法がなければ不可能でした。

またデザインの上下のバランスをとるため、通常は真っ直ぐなフロントとテンプルのつなぎ目(合口)はあえて斜めにカットしています。これは機能自体にはあまり関係ない部分なのですが、このために新たな工程まで作り、細部まで美しさにはこだわりました。このあたりはぜひ実際に店頭でご覧頂いて、ニヤリとして頂けると開発者冥利につきます。
またシリコン製のノーズパッドを採用し、それを留める足(クリングスと言います)には埋め込み型のチタン製のものを新設計しました。太さやバネ性の度合いも計算し、フィット感を高めています。
Orbita (オルビタ)
曲線の美しいオーバルシェイプのセルフレームモデル
大判のレンズを使用したセルフレーム(アセテート素材)モデルは、偏光サングラスにとっては単なる流行ではなく、広い視野の確保という面で理にかなったデザインです。フラットなレンズ面の確保に対し、今回はサイドのフレーム幅を大きく広げ、さらにテンプルをやや内側にずらして取り付けることによって、遮光性を高めるデザインにしています。このモデルは男性、女性どちらでも違和感なく掛けて頂けるデザインで、サイズもいわゆるユニセックスの設定にしてありますので、男性の方はもちろん、女性の方にもお薦めです。

このモデルのノーズパッドはフレーム一体型ではなく、調整可能な埋め込み型のチタン製クリングスを採用し、フィット感を高めています。またパッド素材にはあえてシリコン製ではなく、ナイロン製のものを採用しています。日焼け止めや女性の場合にはお化粧が移着して取れてしまうのを抑えます。
Zorra (ゾラ)

シャープな印象を与えるフォックスタイプのセルフレームモデル
このモデルはオルビタとは兄弟・姉妹モデルとも言え、いわゆるフォックスタイプのフレームデザインとなっています。サイドのフレーム幅を広げ、テンプルをやや内側にオフセットすることで、プリズム現象を抑えるためのフラットなレンズ面の確保と遮光性を両立させています。シャープな印象を与えてくれるデザインで普段使いのメガネと違和感なく掛けられ、大きめのサングラスが苦手な方にもお薦めです。サイズもいわゆるユニセックスの設定にしてありますので、お顔の小さめの男性の方はもちろん、女性の方にもお薦めです。

このモデルのノーズパッドもフレーム一体型ではなく、コストと手間のかかる埋め込み型のチタン製クリングスを採用し、フィット感、快適性を高めています。またパッド素材もナイロン製のものを採用し、日焼け止めや女性の場合にはお化粧が移着して取れてしまうのを抑えます。
ざっとここまで新たなサイトマスターの取り組みについてご説明してまいりました。後は実際に店頭などでお確かめ頂ければ大変嬉しいです。
2012年もサイトマスターとともに良い釣りを
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