~スカッディー・ウィーク~ (小甲 芳信)

2012.4.11 Update
毎年桃の節句が過ぎる頃、北海道南西部に位置する松前半島の海岸線では待ちに待ったスカッドの大量遡上が始まります。
このスカッド達、モゾモゾと折り重なるようにして海岸線へ流れ込む小川の水際を登り、上流部へと移動して行くのですが、その姿はまるで風の谷のナウシカに出てくる王蟲(オーム)さながらの様相を呈しており、見慣れない人は「ギャッ!!」と、思わず悲鳴を上げてしまうほどグロなのです(笑)

このスカッド、淡水・海水を問わず生態に不明な点も多く、その種類も百種以上にも及ぶと聞いたことがありますが(勉強不足で詳しいことは分かりません、スンマセン)、松前町で見掛けるのはオリーブやグレー、タンカラーにライトオレンジといったところで、サイズは#16~#14ほどの大きさです。
そしてこのスカッド、恐らくは産卵の為の集団遡上だと言われていますが、その回数もタイミングも不確実で、3月から4月に掛けて4回~5回も行われる年もあれば、小規模の遡上が1度きりで終わる年もあるようです。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

さてさて、そんなキモグロ極小王蟲のスカッドをなぜボクらが心待ちにしているのかと言えば、それはそれは恐ろしいX-dayが待っているからなのです。
目の前の波打ち際を、大きなアメマスやサクラマスが右往左往し、まるでイマージャーを吸い込むようなライズに囲まれる光景を繰り広げることがある、そんなスペシャルな瞬間に出会えるからなのです。

― X-Dayフィーバーに出会う日 ―
この普段の海アメの釣りとは一風変わったスカッドの釣りに於ける超エキスパートな友人は、ある年のX-dayに運良く出会い、68cmのアメマスを筆頭に、「ロクマルは3~4匹くらいかな?」「ゴーマル超えは何匹釣ったか数えていないよ・・・・・」と、興奮冷めやらぬといった体験を教えてくれたり、別の年のX-dayにブチ当たった友人からは「目の前がアメマスとサクラマスで真っ黒さ!!」「もう凄いのなんの!!」とも・・・・。
ボクはまだそんな瞬間に出会ったことがないので、口元がナイアガラの滝か?と思えるほどヨダレを垂れ流してお話を伺っていました。

しかし、この【スカッドX-day】の怖い所は両極端な一面を持っているところだと思います。
毎回現場でご一緒してくれる古い親友などは、おびただしい数のアメマスやサクラマス(殆どがラクショー60cm!!)が、2時間あまりも目の前をバクバクとスカッドをついばみながら右往左往しているのに、一向にフライには食い付かない日もあるというのです。
彼が使っているフライを見せて頂きましたが、何が本物と違うのか?と不思議に思うほどゴージャスでリアリスティックなパターンばかり。 魚が泳いでいるタナもキッチリと合わせていたと言うのですから、釣れない理由が解らなくって、スカッドへの謎が深まるばかりでした。

― 今年は運良くボクにも釣れてくれました!! ―
今年の3月も沢山のスカッドパターンを抱え、ボクラは松前海岸の小川の流れ込みに立っていました。
東の空が白々と明け始めてまもなく、グリーンバックの水玉模様が数匹、水面下を泳いでいるのが見えます。
また、時折背中がグレーオリーブで背びれの先端が黒く見える、紛れもないサクラマスもクルージングしてきていました・・・・・が、もう“お約束”とでも言いましょうか、ボクラのフライにはほとんど反応してくれません。
2回ほど友人が掛けるも針掛りが浅かったのか、その強烈なパワーであっさりとフックを外していきます。
気が付けば朝日が顔を出しています。
もうこの時間帯になると、それは絶望的な時間帯に突入したことを知らせてくれます。
友人等が「地獄が始まる・・・・・」と表現している通り、フライの直前まで来てはブラックバスのように胸ヒレをピロピロと動かしながらフライを凝視し、3秒後には「プイッ!!」と・・・・・。
半ば諦め顔のボクと友人。
魚の姿も消え始めた頃、目の前で「パシャッ」と起こったライズへ、破れかぶれなアプローチでボクが投げ入れたスカッドに慈悲深い魚が反応してくれたのでしょう、もう殆ど交通事故的に釣れちゃった感じで、インジケーターが引き込まれました。
最後まで諦めないサクラマスに散々引きずり回されて、ようやくランディングに漕ぎ着けました。
朝日に輝くサクラマスはとってもキレイで、しばらく友人と見惚れてしまうほどでした。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

こんな素晴らしい釣り場が、自宅から2時間で来られるっていうのは本当に贅沢なことだと思います。
そしてもし、この歯痒さ満点の釣りを攻略して頂ける方がいらっしゃいましたら、4月いっぱいまで続く松前海岸へいらして、その面白さを満喫して下さい。
NZのような透明度の日本海を前に、釣果に関わらず、きっと満足の行く釣行が出来ることと思います。

それではまた何かありましたら、エントリーしたいと思います。


~カブちゃんの「北の便り」~(小甲 芳信)

2012.4.2 Update
例年3月ともなれば春の日差しが感じられる季節になるのですが、こちら函館では1月から2月に掛けての記録的な豪雪に見舞われてしまい、未だに路肩には多くの雪が残っています。
また、冬でも釣りができる小河川もあるのですが、それら殆どの川が釣りにならないほど雪と氷に閉ざされていると、地元の方から伺いました。
そんな厳しい冬を悶々と過ごしていたある夜、友人からやや興奮気味の連絡が入りました。

「川が開いたぞ!!」
「昨日からの暖気で氷が落ちているらしいっ!!」

そこはアメマスで有名な中規模河川。
ボクラの頭の中では、約2ヶ月間も氷に閉ざされた川の中では海から来た大型のアメマス達が腹を空かせ、口を開けて待っているのでは? ポイントへフライを投じれば、ワンキャストごとに竿が曲がって・・・・・
などとウハウハな状況ばかりが頭に浮かんでいました。

そんな妄想を抱いてしまっては、いてもたっても居られずに早朝のツルツルアイスバーンの上をノロノロと川へ向かって走り出していました。 川に着くなり辺りを見回しても真新しい足跡もなく、ボクらが一番乗り!!
「これはいよいよウハウハだぞ?」と、友人と互いに釣った魚の撮影場所なんかを確認し、「デカイのが出たらあーだこーだ」、「毎年この時期には凄いプロポーションのニジマスが出ている」などなど、超楽天的思考のままに各々が川の中へと立ち込んでいきました。

そのエリアの最深部からやや浅くなってくる辺り、目印は対岸に岩の頭が出ている部分から下流が、昨年、相当数の魚が居着いていて、友人から「大型を連続キャッチした」と聞いていたポイント。
そこを譲って頂いたボクは、強い北風に押され、ヨレヨレと不格好に投げ入れるオプティーダブルハンドOPDH9140-4で攻め込んでいきます。
岩の頭を通過した辺り、流心を超えてスグに「ガッ!!」とティップを弾くような鋭いアタリが・・・・

「今年一番乗りのアメマスゲット~♪」
上流から攻めてくる友人へ、大きな声で知らせます。
「元気イイよ~!」
「なかなか良いサイズだぁ!!」
「ぜんぜん寄ってこないもん!」
有頂天になっているボクがカメラを構える友人の足元へと誘導した魚は・・・・・・

「グワハハハハハハハッ!!!」

大爆笑の友人。
笑い転げています。
勝ち誇ったような目付きでボクを見ています。

「アレ?、水玉模様がない???」

そうです。
寄せてきた魚は、海から遡上してきた50cmを軽く超えるウグイでした。
しかも、背びれの後ろ側にスレがかり…

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

なんと今年の一番乗りはウグイのスレ掛かりでした(汗)

その後も巨大ウグイが次々とフライをくわえ、アメマスの姿を見ることはついぞありませんでした。
浅はかな考えの下に釣りに出向いても、簡単には行かないということを、今一度良~く考えさせられた晩冬の1日でした。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

南西風が吹き始める3月以降、これからは日本海の状態が安定してくるシーズンです。
それはボク達にとって、海アメのシーズン本番を迎えたことを表します。
昨年などは、仲良くして頂いている友人が70cmに迫る大物を釣っていらっしゃいました。
今年こそボクにもそんな大物が釣れますよう日本海へ通いますので、何かありましたらまたお便りします。

では~


~秋ニジ、それはボクが一年の中で最も恋焦がれるシーズンである~(小甲 芳信)

2011.10.11 Update
10月の上旬を過ぎれば函館でも朝夕の外気温が10℃を下回る日が続き、「北海道の屋根」と言われる大雪山系では、初冠雪の便りが聞こえてくる時期でもあります。
そして足早な秋の到来は同時にキノコなどの山の幸と、イクラやウニなど海の幸が共に最高の美味しさを届けてくれるのです。
また、我々釣り人にとっても“川の幸”が芳醇な匂いを漂わせる時期でもあり、それは大きなニジマスたちが静かなディンプルライズと共に手招きしているタイミングなのです。

浅くフラットなプールエンドを、不定期なライズを繰り返しながらボクの目の前まで流れ下りて来ては再び所定地に戻るツワモノや、ヒラヒラとのんびりヒラキを徘徊しては気に入ったものだけを静かについばみ、あからさまに姿を見せ付ける猛者など、秋の谷間にはドキドキが収まらないシーンがそこかしこで展開されているのです。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

近年、初夏以降の北海道ではタランチュラなどのビッグドライ・ブームが続いている傾向にありますが、これからの時期には、着水のインパクトが大きいこの手のフライでは魚を怯えさせることも少なくありません。
それは、シーズン中多くの釣り人からの同様のアプローチを受けてなお生き延びてきた彼らですから、安易なフライや無用心なアプローチでは、すかさず危険な状況が迫っていることを察知し、川底深く逃げ込んでしまうのです。

以前のエントリーでも何度も言っていますが、秋は驚くほど浅いヒラキに移動していることが多く、時に大胆に姿を表し釣り人からも容易に見付けることができます。
しかしそれは逆の見方をすれば、魚はそのプールの中で最も危険を察知しやすいポジションにいるということですから、自ずとアプローチには繊細さを求められるのです。

まぁ、厳しい状況ばかりを並べても気難しさが募るばかりですから、逆にこの時期の釣り人側に有利な側面を説明してみましょう。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

まずひとつは、これまでに多種多様なエサを取り続けた結果、流下量の頻度によっては案外フライパターンの許容範囲が広い場合があります。
また二つ目に、夏と違いこの季節には減水していることが多く水質もクリアーですから、魚の一挙一動をよーく観察することができます。

例えば、このような分析が当てはまる場合がありますのでご参考にしてください。(あくまでボクの基準です。)

1.ライズの頻度が散発で、魚も川底からなかなか動かない場合。
・気に入ったエサ、主にテレストリアルにしか反応しないことなどが挙げられます。

2.ライズの頻度がやや散発だが、魚は水面直下に定位している場合。
・スペントカディスやテレストリアル(小型のビートルやカメムシ)またはフライ(この場合はエサとなる昆虫)の水面との干渉状態など、特定の種や特定された餌の状態に対して執着していることなどが挙げられます。

3.ライズの頻度も高く、常に水面直下で左右に動いている場合。
・2世代目のメイフライやスピナーの流下、スペントカディス・越冬タイプのテレストリアルの大量流下など、その瞬間に水面をもっとも多く流れているエサであったり、何らかの要因で、いわゆる「荒食い」のスイッチが入っていて、手当り次第に食べていることなどが挙げられます。

三つ目に、減水している状況下では魚はスプーキーなのはご存知の通りですが、逆に、水量が豊富な夏季よりも釣り人は距離を詰められるということです。
これは意外に大きなファクターであり、例えば水面に垂れ下がる木々に対して減水によりウォータークリアランスが広がり、そしてラインコントロールが行いやすいショート&ミドルレンジで対応出来るのです。
また、バックスペースが幾分奥行を確保出来るのも大きな利点といえるでしょう。
これらにより、幾分アプローチを組み立やすくなると思うのですがいかがでしょうか?
もちろん北海道に住んでいる釣り人でも、大型のニジマスがライズしているシーンに巡り会うことはなかなかあるものではありません。
それでもしっかりと的を絞って、自分がどういう釣りをするのかを明確にした上で訪れる川を選択すれば、きっとみなさんも巡り会うことができるでしょう。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

一年を通してワイルドなニジマスを追い続けている友人に「この時期のニジマスが最もパワフルで、面白い!!」と言わしめるほど魅力あふれる秋のシーズン。
河川によっては11月中旬までライズが見られるところもありますが、北海道の冬はあっという間に訪れてしまいますので、どうかご興味のある方は早目に思い切って訪れてみて下さい。


~イワナの街函館~(小甲 芳信)

2011.8.31 Update
「日本国内で1位・2位を争うイワナの釣り場である」と言われる北海道南西部。
その拠点になるのが函館であり、本州よりこの地に釣りに来られた方々が皆さん一様にその高密度な生息数に驚かれます。

そんな地元のボクが正直に言いまして「尺イワナの価値が恐らくは日本一低いのでは?」と思わせてくれるほど、屈託の無い純血の天然イワナがそこかしこから飛び出してくるのです。
もちろん、1日に何匹もの尺イワナが釣れるワケではありませんし、40cmや50cmのイワナがコンスタントに釣れるワケでもありません。
降雨による増水やら、嫁さんからの執拗なまでの妨害工作(釣りに行く以前の問題ですね)がなければ、平均的なサイズのイワナであれば100%釣れると言い切れるでしょうし、初めて訪れたビジターの方々でも、オーソドックスなドライフライの釣り方で狙えば、ほぼボウズで終わるということは無いでしょう。
そこで道南でのイワナの平均的なサイズと言えばどれくらいかというと、おおよそ20cm~25cmくらいで、河川の違いでそれよりも若干下回るか上回るか程度のもの。
(河川の水質・水温・給餌力により異なる場合があります)
それらがレギュラーサイズと言うとても贅沢な土地に住んでいるボクラですから、目の色を変えて「イワナ!!イワナ!!」と躍起になって釣りに行くことはほとんどありません。
実際、釣りを覚えたての頃に特にフライフィシィングを覚えたての頃には、殆どの函館っ子はイワナが良き練習相手となってくれ、散々釣りまくったのですから。
そのような恵まれた土地に生まれ育ち、この土地でフライを覚えた連中には尺イワナが珍しいものではなくなってしまっているのかもしれませんね。

ただ皆さんが決してイワナに飽きたり、イワナ嫌いになっていたりと言うワケではありません。
フライを選ばず、大らかな性格はいつの時代にも受け継がれ、時折見せるちょっとマヌケな仕草のイワナに「“癒やし”を求めるなら、やっぱりイワナだね!」と、あの素直さを手にしたくって、雪代の終わりとともに山へ踏み入って行く方も多いのです。
かくいうボクも新緑が眩しい季節になると、厳しい冬を乗り切ったイワナ達に逢いたくなり、そそくさとドライフライを巻き出すのですから。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

ただ、そんな素直なイワナですが、ときに驚かされる一面もあるのです。

これは先日、北海道南部の川で大型のニジマス狙いで入ったイブニングポイントでのこと。
広く長いプールには波一つ立たないようなフルフラットの水面でめぼしいハッチもなく、時折小さなヤマメがライズをするくらい。
川幅は20メートルほどで足元から急深になっていることと、背後には河畔林が迫っていることから、ボクがセレクトしたタックルはLOOP エヴォテック486-3MF
そしてイブニングですから、多少のマスでも強引に寄せられるようAKRONスタンダードリーダー4xを選びました。
ところが、いつまで立ってもライズが起こりません。
この時期のハッチは相当スローですから、もしかしたら“ハズレの日”なのかもと友人らと諦め半分でいると・・・・・
向こう岸のボサが被った本当にタイトな場所でした。
暗闇の中、僅かに見える波紋。
真っ暗闇の中では、ライズ音だけで方向が分かるような状態でした。

こんな時こそ通常のDTラインテーパーでは出来ないキャスト、LOOP エヴォテック85(シングルハンド) WF4Fだからこそ出来るピックアップ&ワンプレゼンテーションでフライをピンポイントへと落とします。
しかし、カディスアダルトでは何の反応もありません。
もう一度、今度はイマージャーで水面下にフライを入れてみました。

「・・・・・・・?」

あれ?フライが合ってない?
それともポイントがズレてたかな?
と思った矢先でした。

「チュボッ・・・・」

微かに聞こえた水を吸い込む音。
一呼吸置いてロッドを跳ね上げると、激しい飛沫と共に真っ白に見える魚体が1メートルくらい飛び上がり、ニジマス特有の疾走が始まりました。
それも20メートルほど先では、川底へ深く深くと潜りだし、そのトルクフルな遊泳力はオスのニジマスそのものでした。

「もしかしてブラウンかも!」

そう友人に告げてしまうほど重量感のある引きが伝わり、バットを絞り込む程大きな尾ヒレを躍動させゴンゴンと潜りたがっている様子が、漆黒の闇の中に見えるようでした。

・・・・・数分後、友人のキャップライトの中に浮かび上がってきたのはなんとイワナではないですか!!
これには一同どよめきが起こり、海アメと見紛うばかりの完璧な魚体に暫し見とれていました。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

こんなパワフルでいて且つ意外性を持った老獪なイワナも、この道南の河川の何処かにまだまだ居るはずです。
そしてそれは誰にでも釣るチャンスが平等にあるのですから。

今は東京と函館の往復航空運賃が3万円を切る時代。
ボクのようにスズメの涙程度の少ないお小遣い(←マジです!!)の方も、なんとかやりくりして、北海道の雄大な自然の中での釣りに一歩踏み込んでみて下さい。
そのチャレンジに、ボクなんかでよければ喜んでサポートさせて頂きます!!



~Jの季節!!~(小甲 芳信)

2011.7.27 Update
昨年秋より、家族の入院やら仕事上の業務形態の変更、そして東北地方を襲った大震災への復興支援など、ボクの回りで立て続けに起こる出来事で、すっかり更新できずにいました。
また、前回のエントリーでは、次回は地元ローカルの達人が使うフライをご紹介しようと思い、それぞれの方からフライも戴いていましたが、それすらもUP出来ずじまいになってしまい申し訳ありませんでした。

さてさて、気が付けば季節も進み、ハッチと流下の主体もカディスからテレストリアルへと移行し始めている北海道は、周囲の山並みが濃い緑一色となって、北の渓流シーズンが既に真っ盛りとなっていました。
ですが、気候の温暖化は北海道にも影響を及ぼしているようで、ここ数日はうだるような暑さに包まれています(とは言っても、函館はたかだか27℃~28℃なんですがネ・・・・)。
こんな何をやっても汗が吹き出す季節には、長いポイント間をひたすら歩き続ける本流での大物一発勝負はお休みして、涼を求めて冷水性の河川へと行くのがベストでしょう。
ボクがよく訪れる湧水が豊富なこの川では、ウェーダー越しにヒヤリと感じる水の冷たさが心地よく、釣りなんかはどうでもよくなってしまいそうです。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

アスファルトの照り返しから逃れ、川縁で水浴びの如く腰まで浸っていると、ハラハラとヘリコプターのような飛び方の虫が頭上を行き交っています。
気が付けば流芯の付近での飛沫も上がっています。
それはこの時期、羽アリに次いで渓流魚の活性を跳ね上げてくれる、とてもありがたい大型のストーンフライ(種別が未だに解らないのですが・・・・)、コイツがそこかしこでのライズを誘発してくれていたのです。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

こんなウハウハなボーナスチャンスに巡り会えることなんて、そうそうあるもんじゃありません。

川幅15メートル、プールの水深は腰上くらい。
流心では盛んに飛沫を上げるヤマメ達。
そんなシーンには間違いなくJ―ストリームがベストマッチ!
TMC 2312 #10 に巻いたごくフツーのストーンフライパラシュートを6Xの先に結び投げ入れると、なんの疑いもなくくわえこんでくれます。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

北海道の渓流と言えば、イワナや大型ニジマスのイメージが強いようですが、意外にヤマメも面白いんですよ!!
自然産卵したサクラマスから受け継いだ尊い命は、厳しい自然を生き抜くために、今日も懸命にライズを繰り返します。
そんな儚げなヤマメを、ボクはストーンパラでウハウハと釣り続ける・・・・・・
きっといつかバチが当たりますね(汗)

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

タイミングと場所さえ間違わなければ、北海道のヤマメは本州のそれと違い、9Xや10Xで極小フライを流し込むなんてことは全く必要ありません。
理想的なドリフトと、シーズンにマッチさせた汎用的なフライなどで十分釣果は得られるのですから。

これからが夏ヤマメの本番シーズンです!
ボックスへテレストリアルタイプのフライをぎっしり詰め込み、北海道の短い夏のヤマメをぜひ堪能してみてください。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

【北海道ヤマメ用システム】
ロッド
基本的にスローなアクションで低番手の7ft~8ft前後の物であれば十分問題なしでしょう。
リール
バッキングでのやり取りは殆ど無いに等しいですから、ロッドに見合ったバランスの物であれば問題ないでしょう。
フライライン
リール同様に、ロッドに見合った番手をチョイスしてください。 また、割と近距離での勝負が多い釣りですので、そんな場面にはメンディング等を考慮してDTラインが最適でしょう。
リーダー
イワナよりも数段シビアとなるドリフトに気を使わなければなりませんが、必要以上に細い物を使う必要もありません。 あくまでの参考ですが、普段ボクはスタンダードリーダーの5Xか6Xの12ftを使用しています。
ティペット
使用フライが#18~#10と幅があり、極細のものですとバランスが崩れてしまいます。 また、ティペットの影を警戒するヤマメも稀にしか居ませんから、ご自身の使い慣れた長さを使用するのが良いと思います。
フライ
ハイプレッシャー(本州よりは遥かにウブですが・・・・)な河川では#18~#14を使用しますが、基本的には渓流で使用する場合、季節柄テレストリアルなどの浮力等を考慮した#14~#12のパラシュートタイプやスタンダードタイプなどでも良いでしょう。

例 ピーコックパラシュート・パラシュートビートル・パラシュートアント・パラシュートハンピー・ブラックパラシュート・クリンクハマー

例 エルクヘアーカディス・ライツロイヤル・フライングアント・スティミレイター・フォームビートル

(あくまでスタンダードなフライのピックアップですので、ご自身が巻かれた様々なフライで対応できるでしょう)


~晩秋の北海道から~(小甲 芳信)

2010.11.25 Update
イヤな季節がやってまいりました。
釣り場へ向かう道すがらの外気温がついにマイナス表示を始めたこの時期、交通量の少ない、普段なら快適なはずの山間部では路面の所々がブラックアイスバーンへと豹変し、同時に路外転落やらガードレールに乗り上げている車なんかを良く見かけるようになります。
また、殆どの山並みは頂上付近から白い雪化粧をまとい、峠道にも所々で薄い積雪があったりします。
そんなシーズンですから釣り場へ向かう皆さんも焦る気持ちを押さえ、十分安全運転に心掛けましょう。

※Attention!! 晩秋から冬季には、日当たりの良い路肩付近の草を食んでいるシカが、突然路上へ飛び出してきます。体長2メートルを超える大型の哺乳類ですから、ぶつかれば死亡事故にも繋がりかねません。コチラの方もお気を付け下さい!! 

さてさて、そんな寒さで指が悴む季節でもあるんですが、ようやくボクの住んでいる北海道南西部でも産卵を終えたアメマスの釣りが始まったようです。
毎年12月から5月くらいまでの間にエサを求めて海と川の下流部を行き来していたアメマス達は、秋の訪れと共に産卵に向け一斉に源流域へと向かい、途中でそこかしこに居たイワナ達も引き連れて最源流部までを上り詰めるのです。
また、一部の夏の間も海で過ごしていた砲弾体形のゴリマッチョアメマスも、まるでカレンダーでも見ていたかのように同時期に河川の源流部を目指すのです(北海道内では、それぞれの地域別個体群によって遡上のタイミングなどが異なります)。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

ボクの街から見上げる山々では、凡そ10月の1週目にイワナ族の産卵がピークを迎えます。
そして一年に一度の神秘的な儀式を済ませたアメマスらは、自らの体に見合う広い住処を求め、次々と下流へと流れ落ちてくるのです。
こんな個体群をボクラは『落ちアメ』と呼び、ドライフライが終わりを告げるこの時期からの好敵手として親しんできました。
また、ほぼ90%の河川で終わってしまったドライフライの釣りですが、天候などのタイミングさえ合えば、この落ちアメもまた静かなライズリングを作り出すこともあるのです。
ですが、そんな状況などは稀に起こることで、11月の天候を考えれば素直にシンキングラインにウエットフライで狙うのが確実でしょう。
また、この落ちアメは最下流部の広いプールなどで越冬へ向けて群れで長期間過ごすことでも知られていますから、1匹見付けられればそのポイントで10匹や20匹の連続キャッチということも珍しくはないのです。

この日も早朝は風も無く幾分冷え込んだ外気温でしたが、なんとかプラス気温を保っていました。
「これはもしかしたら・・・・」と、期待を持ったのもつかの間、突然のみぞれ交じりの強風(涙)
やはりタフなコンデションでの釣りを強いられてしまいました。
ただ、晩秋から初春までの間は、少量の雨ですとか下流部から吹き上げる強風が作り出す対流などで、突然活性が上がることもしばしば・・・・
そんな淡い期待を胸に、強風なんぞ物ともしないオプティダブルハンドOPDH9140-4とオプティカスタム・ダブル シンクII/シンクIIIティップをセレクトし、先端にはシンキングリーダーを接続しての攻めを続けます。
一流し目はこのシステムではボトムまでやや入りきらない感じでしたので、もう一度上流部から攻め直し、プレゼンテーション後に4~5メートルほどラインを送り込みます。
すると落ちアメ独特の「コッ、ココッ、ココッ」と、まるで小物のようなアタリが伝わってきます。

そこで更にティップを送り込んで・・・・・
ガマンして・・・・
「ゴッ!!」って来るのを待って・・・・
やっぱりガマンして・・・・

「ゴッ・・・・」
「ストライク!!」

合わせたロッドがきれいに弧を描いています。
この瞬間がなんとも言えず気持ちの良い時間です。
「ゴック、ゴック」と鈍く、それでいてトルクフルなバイブレーションがグリップに伝わってきます。
それでもこのロッドではたとえ60cmを超えるアメマスだったとしても、ハラハラ・ドキドキすることもなく、安心して寄せることが出来るのがいいですね。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

広く、大きく、力強く、そしてキレイなこの尾ひれを震わせて、北の野生魚はこれから迎える厳しい冬を乗り切ろうと今も懸命に生き続けています。
そんな彼らに逢いたいが為、ボクは今夜もフライを巻くのでした。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

落ちアメを釣るための難しいテクニックなどは殆ど必要ありません。
要はその日の水量の中で、いかにボトムタッチ(ボトムにラインが食われるようではダメ)しながらスイングできるラインシステムであるかがネックとなりますから、その点を十分留意すればアベレージが40cm~45cm、時には60cmを超えるアメマス(このサイズでもぜんぜん珍しくはないですよ!)に出会えるかもしれません。
フライに関しても、喰い渋りの時間帯には細身で小さなサイズを使うようなローテーションを心掛けるだけで案外素直に釣れてくれますから、時間がある方はぜひトライしてみてください。
また、河川の下流部ですから川幅が70メートル~80メートルと広く、中央付近まで立ち込めることなどからもバックスペースを有効に使えますので、シングルハンド、ダブルハンド、スペイからアンダーハンドまでそれぞれのキャスティングスタイルで楽しめると思いますから、北海道が誇る生粋の天然魚アメマスに触れてみたい方はぜひ足を運んでくださいませ。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

それと、サンバイザーを被ってオプティー持って、猫背でうろついているアヤシイ雰囲気のオッサンを見かけたらボクかもしれませんから、気軽に声を掛けてくださいネ!
次回は、カンタンでいてそこそこ釣れる、地元ローカルが使うアメマス用のウエットフライをいくつかエントリーしてみようと思います。
ご期待下さい!!


~秋の北海道から~(小甲 芳信)

2010.10.28 Update
ティムコプロスタッフ小甲 芳信

ここ数日の間で、北海道内のアチラコチラで初霜の知らせや初冠雪の便りが届いていて、函館近郊の平野部でも朝の気温が0℃ですとか、日中も5℃などといった、とってもお寒いニュースが流れております。
しかし、思わずこんな寒さで体が縮んじゃう天候でも、一部の川ではアツイ釣りが展開されています。

9月以降、禁漁期に入ってしまう本州の方々はなじみが薄いシーズンかもしれませんが、我々道産子(どさんこ:北海道生まれの子)にとっては待ちに待ったシーズン到来ともいえるのです。
それは初夏以降、プールの流れ込みの一番深い場所に陣取り、なかなか浮いてきてはくれないタイプの大型ニジマスなんかが、初秋のこれからは雪が降り積もるまでの間に水深30cmにも満たないプールエンドへと移動してきては静かなディンプルライズを繰り返す、そんな場面を見せ付けてくれるからでもあり、また、ようやく2世代目のメイフライのハッチも本番を向かえ、代表的なシロハラ、シロタニ、エルモン、などのスピナーがことごとく舞い降りては我々フライフィッシャーを翻弄させてくれるのです。
ボクとしてはこの時期がブラインドフィッシィングに終始しないで常にライズと対峙できる、最もドライフライフィッシィングらしい釣りに終始できるような気がしています。

「・・・・・・ しかぁ~し!!」
そんな魅力溢れたシーズンでありながらも、実は最も危険度が増すことを気を付けなければならない側面があるのです。
それはヒグマの問題です。
今迄の一般的な通説では春の親子連れが最も危険だとされてきましたが、実際のところ春は冬眠明けのヒグマの体力が万全ではないことから、アクティブに野山を駆け巡ることもなく、また人里への徘徊も殆ど見られません(親子連れは季節を問わず危険です)。
ですが秋のヒグマは少し様子が違うのです。
ご存知の通り、秋には冬眠による越冬を前に大量のエサを摂取しなければならないことが最大の要因として、行動範囲が大幅に広がります。
そして、なぜか毎年テレビのニュースでは「今年は山のエサが乏しく・・・・・」と毎度同じコメントをアナウンスしていますが、実はこれは大間違い。
本来、標高が高い山の山頂付近から気温が下がり、秋の訪れが始まります。
そしてそれは単純に時間の経過と共に平野部へと移行してくる・・・・

函館近郊の山を例に挙げれば、山頂付近の山林では9月の終わりにドングリなどが見られるようになり、10月の初旬には山の中腹まで季節は降りてきます。
そして10月下旬から11月に掛けて、人々が暮らす平野部のミズナラでもドングリが見られるようになるのです。
この季節の移動に併せてヒグマたちも山頂付近からエサを求めて移動を始め、10月の下旬には人里付近の雑木林で給餌行動を取るようになるのです。
また、殆どの平野部ではミズナラなどの雑木林と隣接した場所には畑作などが行われており、馬や牛なども放牧されていたりするのです。
これでは湖をクルージングするニジマスの前にカメムシがポトリと落ちているようなもの。
ですからこの時期はヒグマにより、最も家畜や作物に被害が及ぶ時期でもあり、過去の人身事故を覗いてみても、最も多発している時期でもあります。

そして今年は夏の猛暑が影響したのか、山の幸が驚くほど多いので、一度でもドングリや山ブドウ等が豊富な餌場(その範囲は僅か数十メートル四方から時には半径1キロ以上にも及ぶ)を見つけたヒグマであれば、長くその場に定着してしまうのです。
そんなヒグマがライズしやすい?山間部からほど近い平野部の中を流れる川が、秋以降、低水温や低気温などの影響も低く、ニジマスが盛んにライズを繰り返す流れだったりするのですから、ボクら釣り人は常にヒグマの危険と隣り合わせ。
ですので、どんなに車の近くでも、たとえ民家が見えるような場所であっても、必ず熊よけの鈴やヒグマ撃退スプレーなどの携帯は忘れてはいけないのです。

これは、ボクが先月体験したお話です。

朝も遅く9時くらいに釣り場に着いて、畑の脇をテクテク歩いていました。
スグ隣には5~6人の農作業中の方々が居て、トラクターがブンブン唸りを上げて走り回っています。
そこを抜けてもうすぐ川ってところ、水音が聞こえて数メートル先の雑木林の間からは川面が見え隠れしているって場所。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信
風景

トラクターのエンジン音に掻き消されるように、僅かながら藪が揺れる音がしました。
不意にそちらを眺めると、笹薮の中のほんの一部分だけが揺れていたのです。
それがあまりに民家や農作業場と近いために、鳥か何かだろうと思いながらなんとなく足元を確認してみると・・・・・。
なんとそこには、あたり一面に小熊とおぼしきハガキほどの大きさの足跡が残されているではないですか!!

ティムコプロスタッフ小甲 芳信
足跡

こんなサイズの足跡では親離れをするには到底早過ぎるので、間違いなく付近には親熊(母親)が小熊をかばうようにボクを睨みつけているはず。
こんな時に慌てて走り出そうものなら、後ろから襲われるのがオチ。
また、子連れの母グマは何より先に子供を危険から守ろうとすばやく臨戦態勢を取ろうとするのが常ですから、刺激を与えないよう静かに後ずさりするボク。
その場から50メートルも離れたでしょうか?
もう一安心かな?と思った矢先、15メートルほど先の笹薮の中からボクとはある一定の距離を保ったままにストーキングしてきて、こちらの様子を伺っていらっしゃる茶褐色の塊が・・・・(汗)

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

もう生きた心地がしませんでしたね。
トラクターの音と人々の会話が聞こえるくらいのところまで来て、初めて親子熊が遠のいたことを知り、その場でヘタリこんでいまいました。

最後に、ボクの知り合いの古いマタギ(古老のハンター)が生前こう言ってました。

「クマっこてなぁー、膝まで笹ッパラがあれば、オメらまずわがんねーもんだんだ」
「秋の葉っぱにしたって同じよ」
「ヤヅラ地面さ突っ伏しているんだっけ、葉っぱが土がもわがんねーもんだがら、みんな目の前さ寄ってしまって、はぁガブリだのさ」
「賢い大グマこさぁー滅多に人目さ晒すこどねーんだけど、わげくってきがねーヤヅが一番危ねー」 「犬っこみてーに泡食って走って来て、バックリ噛み付くがらなぁ」
「なずもクマっこ見だらオラさ言え」
「ややと行って、はぁズドンでクマの肉の一番うめぇーどご食わしてやっがらよぉー(笑)」

注訳
「ヒグマって言うのは、膝丈までの笹薮があれば、一般人にはほとんど見付けられないものなんだよ」
「秋の枯葉にしても同じだ」
「地面にうつ伏せになってしまえば、枯葉か土のようにカモフラージュされてしまうから、知らずに近づいてしまう人がいて、それで襲われてしまうのさ」
「賢くなった大きなヒグマほど滅多に自分の方から人前に姿を現すことはないのだけれど、若いヒグマほどやんちゃで人に対しても攻撃的になりやすい」
「犬のように素早く走ることも出来るし、すぐに噛み付いてくるからね」
「オマエもヒグマを見つけたならオレに教えろ」
「すぐに駆けつけて、撃ち殺してヒグマの肉の一番美味しい所をお裾分けしてあげるから(笑)」

秋本番を迎えた北海道。
道内各地で大型のニジマスの情報が飛び交っています。
また、アメマスの方も釣れ出したとのことですから、どうか来道される方々は、ヒグマに対する注意を怠ることなく楽しまれてください。


~北海道の釣り・ブラウン編~(小甲 芳信)

2010.9.16 Update
ボクの住んでいる街には、駅前の中心街から僅か30分ほどで大型のブラウントラウトを狙える川がありますし、もう20分ほど車を走らせればもう一つのブラウントラウトが生息している河川があります。
ここの魚は、その全てがこの川に生れ落ちたその日から野生の中に身を置き、様々な危険をかいくぐって今日まで成長を続けてきた魚達です。
大型になればなるほど大胆でいて老獪な側面をまざまざと見せ付けてくれる好敵手です。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

そんな彼らを日常的に釣り続けている地元のフライフィッシャー達から言わせると、「40センチや45センチでは、まだまだミィデアムサイズだよ」と言われてしまうほど、大型が住んでいることでも有名な川なのです。

そんな魚が釣られるなかで、たとえ60センチを超える大型だったとしても、ここ数年で明らかになりつつある彼らの食性の殆どが水棲昆虫と陸生昆虫で占められ、最近まで通説とされてきた「全てのブラウントラウトは成長するに従い魚食性が強く現れ、大型の固体は小魚しか食べなくなる」とされていた固定観念が崩れようとしています。

それではそんな老獪でいて大胆なブラウントラウトを狙うにあたり、どんな点を注意して釣るべきなのかをボクの稚拙な表現の元でお話させていただきます。

まず大きな違いとして、地元の釣り人の中にも多く見られるのですが、ニジマスやヤマメを狙っているようなポイントへフライを落としてしまうことが最大の失敗といえると思います。
それは流れ込みの流芯へフライを落としたいがため、テールアウトから静かにストーキングしてプールの下流側に立ち込んでしまうことにつながります。

これ、大型のブラウンを狙うなら本当にアウト!!

凡そほとんどのブラウンはもうすでに人の気配を察知して、岩陰などの奥深くへと逃げ込んでいるでしょう。
これらを言い換えれば、「ニジマスを狙うようにブラウントラウトを狙っていては、釣り方に大きな違いがある為に、釣れる確立は低くなる」ということなのです。
また、大型であれ小型であれ、ブラウントラウトが隠れ潜むポイントには、水深との関連性は薄いと肝に銘じておかなければ、いざフライを落とす場合につい見落としてしまうことが多いようです。(注:函館近郊の河川でのお話です)
例えば水深が30センチほどしかなく、流速も殆ど消失していてやや淀みかけているような岩の隙間だったり、川縁に打ち上げられた倒木の下や、なんの変化もないチャラ瀬の脇に生えている葦の群生の際だったりと、ことごとくフライを落とすには躊躇ってしまうようなポイントが、実は彼らの住処なのですから。

そしてもう一つは、川岸が護岸されているような場所では殆どの場合は川底にある隙間が重要です。奥行きが20センチもあれば十分大型の隠れ家となります。
またこういったポイントの場合、流速が止まりかけていたり、巻き返しになっていたりするようなスポットこそ気を付けて攻めなければならないのです。

これらを総合的に考えてみると、イワナのような着き場がメインポイントになるワケですが、実際はイワナよりももっとタフなスポットで、しかもイワナを見つける以上にショボイ場所からフライを落とさなければならないでしょう。

これは、関東に住んでいるボクの友人と釣行したときのことです。
ボクが指差すスポットがあまりに浅く、今まで釣ってきた経験では到底考えられないような常識外のスポットであったため、彼はフライを流すのも半信半疑。
これまでの釣りで養われた固定観念から抜け出せず、「ホントに居るの~?」と渋々フライを落とす友人。
しかし、水深が30cmに満たない葦の中から軽く55センチは超えているであろう魚体が突然フライへ飛びついたのです。
まさか、こんなところで出る筈がない・・・・そんな気構えだった友人ですから、「わぁぁぁ!!」と竿を立てたのはブラウントラウトが葦の林を通過して下流の岩陰に逃げ込んだ後でした。
もちろん3xリーダーのバットまでザラザラとなり、何のテンションもなくなったロッドとともにへたり込む僕ら二人。
こんな経験を何度も繰り返し、最近では地元の人間よりも釣るくらいブラウントラウトが大好きになった友人でした。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

そしてこれから秋の訪れが聞こえてくる9月下旬までは、バッタの流下が著しく増加する季節です。
老獪なブラウントラウトも、この大きなご馳走には目がありません。もう、緑色ってだけでガブッ!!ってくらいですから(笑)

季節の移ろいを感じながら2xや3xなんかのぶっといシステムに、ど派手な緑色したゴツイフライを流して、大きなブラウントラウトを釣る。
そんなシーンがやってきます。
どうか皆さんも機会があればお試し下さい。


~北海道の釣り その2~(小甲 芳信)

2010.8.28 Update
それは秋の気配を感じさせる9月の北海道北部で出会ったニジマスの話です。

凡そ800メートルほどの長いチャラ瀬を越えると、深々としたプールが目の前に立ちはだかりました。 このチャラ瀬の下流側には、これといっためぼしいポイントもなく、長距離を移動してきた魚などが居着くにはもってこいな事と、逆に移動したくても、これ以上の良好な環境が整った着き場が周辺にはないため、半強制的にこのポイントにしか居着くことが出来ないだろうと思われたのです。

プールの全長は、流れ込みからプールエンドまで80メートルくらい。
浅く張り出した岩盤に沿って流れ込む流芯は、途中から急激に削り取られた岩肌を通過し緩やかに流れ出すような縦長のプール。
ちょうど、水没している岩盤のエッジの上を流芯が走っている、大型にはおあつらえ向きと言えるプールでした。
岸際を観察しても真新しく人が歩いた形跡が無く、少なくともボクがここに来るまでの数時間前までは誰もフライを打ち込んではいない感じ。

足元にはチラカゲロウのスピナーがパラパラと流れ、それよりも少ない量でシマトビケラなどの小型のカディスがハッチしていました。
しかしどういうわけか、流れ込みからエンドまでは殆どライズが見られない。
流下量が少ないとは言え、これほどのご馳走を成長ホルモンに脳ミソが支配されている幼魚らが見逃すはずがないので、表層とまではいかないまでも、中層付近には大型が出てきている様子が伺えました。
案の定、30分ほど待ち続けていると、流れ込みの深度が変わる辺りで「ジャパッ!!」と水柱が上がったのです。
そこでポジションをライズ近辺に取り、もう一度観察してみます。
ここでアセってトンチンカンなフライを間違えたレーンへ流そうものなら、百戦錬磨の老獪なデカニジは全てを見破り、再び水面へと浮き上がることはないのですから。

しばらくして2メートルほど下流で2発目のライズが起こります。
しかし、2回とも激しく飛沫が上がるようなライズフォームです。
この時、ボクが予想したことは、流下量とはかけ離れた頻度のライズであることから、チラ・スピナーの線は薄く、カディスへのライズにしても、やや水深のあるところから浮き上がってくるために起こる派手なライズフォームでは、たかだか#16前後のピューパ系への反応とは考えにくい。
そう考えれば、流下量が少ないながらも圧倒的な存在感があるテレストであることは過去の経験から容易に想像できましたから、フライボックスの中でも最も重厚な雰囲気を醸し出している#6のブラックフォーム系のフライをチョイスしたのです。

そのあとは、ライズポイントへフライがドラッグフリーで流れればさほど難しい話もなく、ニジマスは素直に咥えてくれ、幾度かの疾走をやり過ごし、無事にランディングできたのでした。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

ボク自身もこのような出会いは年に1度か2度あるか無いかですから、そのチャンスを確実な物にするために、過去の北海道の風物詩的な「デカイフライでバンバン打ち続ける」という一歩間違えればスプークさせてしまうような危険を回避して、慎重に狙うように心掛けているのです。
実際には大型を釣る場合、コッチの方がよっぽど効率的だったりもしますしね!

次は、チョーシに乗って野生の怪力ブラウンを狙う釣り方を説明してみたいと思っています。



~北海道の釣り その1~(小甲 芳信)

2010.8.26 Update
先日、関東圏に住む友人から「北海道で大きなニジマスを釣りたいんだけど、オススメはありますか?」と聞かれ、ちょっと返答に困ってしまいました。
そもそも北海道内では、イワナなど多少鱒族の生息数が多い河川があるとは言え、単身で北海道を訪れたとしても大型のニジマスを釣る上で地理に詳しい地元の友人などの協力を無くしてはまず釣れないと思った方が良いからです。
まして、雑誌で取り上げられたような有名河川(ポイント)では、北海道人の間でも場所取り合戦の熾烈な争いがあると聞くほどです。

そこで、ボクが唯一彼に伝えたことは、
「北海道に来る昨今のフライフィッシャーには、技術的な問題は殆ど見られないと思いますし、使用している道具にしても、必要以上に細いシステムや、定番手での無茶な釣り方をしない限り、なんら問題はないと思います。」
「ただ、人気河川や有名ポイントだけにしか魚は居ないワケではなく、また我々北海道人も含め、それなりのポイントに潜んでいる大型と出会うのは半分以上は“運”でしかないのです。」 ということでした。

それでは、“それなりのポイント”とはどういった場所を指すのかと聞かれ、この場を借りて、皆さんにも説明してみたいと思います。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

当たり前と言えばそれまでなのですが、大型ニジマスを狙う場合の基本的なポイントはプールになりますが、しかし、そのプールの形状にも気を配らなければなりません。
それは、高低差が激しい北海道河川の特徴として、左右両岸を削るようにして流れることの多い川が大半ですから、自ずと流れがカーブするような場所ではプール状に形成されがちなのです。
しかし、多少の水深があろうとも、川底の形状がすり鉢状にしか掘れてなく、まるでスコップで掘り起こしただけのようなポイントでは、大型が潜む可能性は低く、魚が移動期間でもない限りは釣り人側も粘る必要がないと言えると思います。
ただ、川底にいくつもの大岩(大きければ大きいほど良い)が沈んでいる場合は多少可能性も上がると思われます。
それでは、ボクが最も怪しいとめぼしを付けるような場所は、どんな所なのかと言えば、川岸が岩盤層で、そこへ流芯がぶつかり、水面下ではその岩盤がえぐれているようなポイントです。このような条件が揃っている場合、水深が1メートル程度しかないような場所でも諦めてはいけません。
上流側が瀬(水深がなくても)またはチャラ瀬になっている場合は、エサの供給量が豊富なために、思わぬサイズが潜んでいることもあるからです。
また、ここが重要な部分なのですが、限られた時間の中でより多くの可能性を求めるあまり、多数のポイントを消化したくなる気持ちは十分に解るのですが、折角の好条件の揃ったポイントを前にドライフライの乱れ打ちを敢行される方や、ニンフの絨毯爆撃を行う方がいます。
これは、捕食体制に入ったマスを沈めてしまう危険性も高く、“諸刃の剣”にしか過ぎません。
万が一、大型のニジマスがそれによりスプークしてしまったならば、その日は二度と浮いてはくれないでしょう。
ですので、良さげなポイントを前にしたら、最低10分はプールエンドでライズ等の変化を探すことが重要なのです。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

そしてもしそんなポイントで変化を読み取っている最中、ポイント一番の特等席で捕食しているのが小型の魚の場合、下手にフライを打ち込むことは止めて、時間をずらして覗いてみることをオススメします。
それは、まず大型が浮いている状況下では小型の魚は成りを潜め、水面がザワ付くことがないからです。
そして小型を釣り上げリリースしてしまうことで大型を警戒させてしまうことに繋がりますし、逆に、小型が水面付近で長く捕食していると、しばらくしてそれが大型の捕食意欲へ繋がる場合も多いからです。
また、秋から晩秋に掛けては大型のニジマスもテールエンドへと移動しますが、盛期の場合、教科書に載るようなセオリー通りのポジションの周辺さえ注意深く見ていれば、広いポイントをくまなく探すよりは効率的でしょう。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

そんな変化を読み取ることに気を配りながら、ライズを発見しても特定の流下がない場合、初夏以降の捕食割合を大きく占めるテレストリアルなどを念頭にフライパターンの組み立てを行えば、一生の思い出となるような鱒と出会えるかもしれません。

細かいところは省いて駆け足で説明させていただきましたが、いつか北海道へ大きくてワイルドなニジマスを狙いに来る機会があれば、こんなことを頭の片隅にでも置いて、ご自身の遠征釣行にお役立ていただければ幸いです。
少々長くなってしまいましたので、次のエントリーではボク自身が釣ったときのシチュエーションを説明したいと思います。



~2010初夏の山釣り~(小甲 芳信)

2010.7.7 Update
ようやく北海道全土でさわやかな暑さを体感できる季節になりました。
ただし北海道南西部に位置する函館では、冷水が流れ込む津軽海峡の影響と、本州方面からの梅雨前線の影響で異常に湿度が高くなり、不快な天候もこの時期特有のもの。
まぁ、それでも僅か1週間もすればカラッと晴れわたるワケですから、そんなサラリとした暑さの中では川で過ごす時間がとても気持ちのよいものです。
ボクもそんな雰囲気に誘われて、久しぶりに山岳渓流へと足を運んできました。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

ちなみにこれまでボクがご一緒した関東圏の友人達は、殆どの方がカルチャーショックのようなものに包まれるほど、魚影(イワナ)の多さに驚かれます。
大体、空港から20分~30分も走ればイワナの釣れる川なんぞそこいらじゅうにあるワケですから。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

また、普段使用しているシステムとは大きくかけ離れたシステムで釣るものですから、最初の1匹を釣るまでは皆さん半信半疑(笑)
通常リーダー&ティペットは8xが当たり前で、フライも#20以下での攻防を強いられる方々が、イキナリ自宅から3時間ちょいの移動でリーダー&ティペットは5x、フライは#10~#12と言われても戸惑うのも当たり前というもの。
彼らへおふざけのデモンストレーションとして、2xのリーダーに#8のフライ(地元友人の奥様のシステムを拝借して)で釣って見せたときには皆さん爆笑してらっしゃいました。
ですがそれが北海道のイワナ釣りなのです。(一部地域と時期を除くけどね!)

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

ただここ数年は、海路・空路・陸路、各交通機関の利便性が高い函館の宿命とでも言うのでしょうか、道外から来るイワナ専門の釣り人が徒党を組んで川に入り、大・小全てのイワナを抜き去り、1本の川を丸々空っぽにしてはクール宅急便で獲物を送り、また次の川へと狙いを変えていく山賊まがいの行為が多発しています。
それにより、僅か5年前の面影すら見られなくなった川も少なくありません・・・・

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

この日はまだそんな被害に遭っていない健康な川を遡行しながら、テンポ良く打ち返していきます。
使うロッドはもちろんJ-ストリーム。
投射性能に優れ、ブッシーな夏イワナ用テレスト・フライでも難なく打ち返せます。
特に階段状に続く大岩との段差など、狭く高低差が激しいポイントの源流帯では取り回しが楽な上、大岩の高巻きや滝登り、または藪漕ぎをしたりする際にもコンパクトで持ち運びに便利と、普段とは一味違った真価を発揮してくれるロッドです。

そしてこの時期のイワナは、朝夕はハッチしてくる水生昆虫、昼間は落下性の陸棲昆虫と、豊富なエサを常に飽食していますから、ムッチムチでパッツンパツンなイワナも多く、その強さも相当な物。
ですが、そんな怪力無双なイワナの走りにもティップが素直に追随してくれますのでバレることもなく、バットセクションの溜めも利くことで、魚が多少の大きさであっても安心して寄せられます。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

今回のベストフィッシュであったヨンマルのイワナですが、幾つかの幸運が重なって釣れたことは言うまでもないのですが、何よりコイツに出会わせてくれた友人等にこの場を借りて深く感謝致します。
皆さんも、ヨンマルとまでは行かないまでも、これからの時期は尺クラスのイワナであれば高確率で釣れると思いますので、ぜひともJ-ストリームを片手に避暑地北海道へと足を伸ばしてみてください。
注) 北海道の山岳地帯へ釣行される方は、ヒグマ対策をしっかりと行ってから入山してください!! また面白い釣行がありましたら、お便りします。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

-KABU-



-北海道は櫻前線通過中!!-(小甲 芳信)

2010.5.7 Update
函館ではサクラの開花ニュースがようやく聞こえてきた今年のゴールデンウィークですが、3月から4月に掛けての晩冬に降った大雪の影響(山から吹き降ろす寒風)と、なかなか上がらない気温とで少々肌寒い5月を迎えている。
オマケに日照時間の少なかった今春ですから、殆どの河川は未だに雪代による大増水。 どこの川へ走っても遡上系アメマスを狙う事もままならず、残留型アメマスのユスリカへのライズなんてものは遠い幻となってしまっている。

さてさて、そんな気分の滅入りそうな雰囲気の北海道道南エリアですが、何も無理して川へ行かずとも、今現在は海岸線から狙うアメマスやサクラマスのベストシーズン真っ最中!! ともすれば、小・中規模河川の周りで、降海したサケ稚魚の群れへミサイルのように飛び込んではボイルを繰り返すアメマスやらサクラマスを見ることも出来る。
毎年4月の中旬にティムコの近藤さんやオギーさん、竹内さんらも訪れては、この釣りに夢中になっている。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

この日は朝からウネリがやや強く、潮の流れも上々と言ったところ。
このような海況では、広いサーフからアプローチをして、偶然回遊してきた魚とコンタクトを取るような釣り方ではあまりに非効率過ぎ。
それよりは複雑に入り組んだ岩礁帯の中から、一つ一つの潮路を見つけて拾い釣りをした方が、圧倒的に有利と言える。
また、透明度がすこぶる高い北海道南西部の日本海では、水深の急激な変化などが手に取るように分かるため、キャスティングレンジ内でそのような急深な場所があれば、そこはサクラマスが入り込んでくる可能性が高いため、見逃せないスポットとなる。

夜明け前から海岸へと降り立ったボクは、磯場周辺の幾つかの潮路を流し、大型のアメマスの姿を確認するも、フックアップまでには至らず・・・・
キャンディー系のフライには反応がイマイチなことから、スカッド系へとフライを変えてみる。 このパターンは、10年近く前から使い続けていて、絶大な信頼を置くパターンの一つ。
もちろん、毎年のように細部の変更はあるのだけれど、大まかなカタチは昔のまま。
マテリアルは、当時【ユーロシール】と言う商品名でティムコから売られていて、ファイバーがソフトなタイプのシールズファーなのだが、今は同社から新たに【ペレットダブ】として販売されている。これが最も効果的なマテリアルとなっている。見た目はあまりに「パッ」としないフライなのに、これが本当によく釣れる。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

以前はあまりメジャーなマテリアルではなかったかもしれないが、ネーミングなのだろうか?管釣りから火が付きその後は様々なジャンルでヒットしているようだ。お陰で函館の釣具屋さんに入荷するペレットダブは、もうほとんど大人買いのイキオイで買ってしまうボク(汗)
カラーもオリーブ系がダントツで、次いでブラウン系となっている・・・・

そこは複数の大岩が沈んでいて、その先5メートルくらいからは急激に深いポイント。
その大きい沈み岩の周りから、過去何匹もの大物を掛けたポイントだ。
付近一帯のウネリも治まる気配はなく、潮通しも良い。
沖からの潮路と岩礁帯を舐めるように流れ出る潮路がぶつかる辺りにフライを落とす。
2メートルもリトリーブしただろうか?
「ゴツンッ!!」と鈍いアタリの後、水面付近で激しいローリングサンダーが起こり、ダップン!!ダップン!!と、立て続けに水柱がぶち上がる。
バットパワーに定評のあるLOOPロッドが、コルクグリップの中から曲げられている。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

幾度となく繰り返した疾走をやりすごし、無事にランディングしたとたん、自然と気合のガッツポーズが出てしまった・・・・・「オッケー牧場!!」(笑)
なぜにこの時ガッツ石松なのかは不明だが、2度も3度も繰り返してしまった(汗)

この日は午後から仕事の予定があるため、この後早々に引き上げたのだが、このように至る所に潮路が生まれている海況だと、大好物の甲殻類を狙ったサクラマスが次々と浅瀬に訪れ、岸近くを悠々と泳ぎ去る姿を目撃する場合がある。
そんな状況も6月いっぱいまでは楽しめるので、どうか皆さんにも、チャンスがあればトライしていただきたいと思う。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

また、何か面白い魚が釣れたらお便りします。
それでは取り急ぎ、ご報告まで~

-KABU-

-早春の使者がやって来ました!-(小甲 芳信)

2010.3.30 Update
本州方面ではサクラの開花ニュースが聞こえてくるこの季節。
函館近郊でも、幾分日差しは春めいてきたように思われますが、朝晩は相変わらずのマイナス気温。
ともすれば、暴風雪に見舞われることも珍しくはありません。


ティムコプロスタッフ小甲 芳信

この日も、前日に通過した「爆弾低気圧」のお陰で、停車中の車が揺れるほどの強い吹雪模様。
函館市内では強風に煽られ電信柱が折れてしまうくらいですから、サイアクのコンデションでした。
周辺河川も、雪代と重なった増水がアチラコチラで岸辺を削り、今年最初のリセットが始まったようです。
しかし、この時期は多少の増水でも夜間のマイナス気温のお陰で、雨水は凍りつき増水を食い止めてくれることもしばしばですから、早朝の時間帯だけでも釣りは可能になるワケです。
まぁ“物好き”と言われればそれまでなのですが、そんなコンデションにもかかわらず、僅かな期待と過剰なまでの楽天的視点から川まで足を運んでしまいました。

河川水位の増減を繰り返す3月下旬には、岸辺をウロチョロしているサケ稚魚を確認できればそれは同時にアメマスらが最深部からヒラキへと移動を行う合図でもあるのです。
もちろんボクが使うフライも、サケ稚魚パターン。
多少の濁りがあるときなどは、通常のストリーマーでも好反応を示してくれますが、やはりそれはこの時期のセオリーですから。

システムは、 ロッド:オプティダブルハンドOPDH9140-4
リール:メガループ
ライン:オプティカスタムOCT9/10-2&3
リーダー:アクロンス・タンダードリーダー・0x
ティペット:ミスティープラス・ティペット・0x

そしてこの日は、増水が引ききっていなかったので、エクストラシンキングリーダーを接続してのシステム。

このようにしてうまくシステムを考慮し、ボトム付近をトレースできれば、画像のような魚に出会う確立も高いシーズンです!
通常のアベレージは40cm前後しかありませんが、もしかしたら大きな群れに遭遇し、腕が痛くなるくらい釣れることだってあるのです。

今はまだ遡上系アメマスの釣りは始まったばかり。
また良い魚が釣れたらお便りします。

ティムコプロスタッフ小甲 芳信

追伸
余談ですが、この釣りは、どんな大物が掛かるかわからない釣り。
ほんの小一時間だけ様子を見るつもりで投げたフライに、とんでもない大物がかかることも良くある話。
言い換えれば、キャリアや技術に分け隔てなく、フライを投げ入れる全ての人にチャンスがあるのです。
ただし、増水気味の河川ではバックスペースに限りがあります。
そんな時、アンダーハンドキャストを上手く使いこなせると、攻められる範囲が断然広がります。
それは当然、アメマスとの出会いの数も数段増えると言うもの。
もちろん、開けたポイントにも沢山のアメマスが潜んでいますから、どうか及び腰になることなく、機会がある方は是非ともチャレンジしてみてください。


~ 「やっちゃいました!」 新春竿初めでのハプニング ~(新春釣日記)

2010.1.13 Update
毎年のことだけど、年末は家業が大忙しとなり、釣りになんかはとても出掛けてはいられない状況が続くんですよ。
それでその忙しさから開放されたお正月となると、蓄積された疲労が土石流のように溢れ出し、朝から近所の温泉に浸かっては、生ビールを飲み飲みストーブの前でまどろんでいるという体たらく。。。
まぁ、たまたまその温泉に置いてあった新聞の片隅に釣りの記事が出ていたんですよ。
それを目にして、このとき正直言って、「まぁ、明日もせっかくの休みなんだし、釣りにでも行くか・・・・」程度の気持ちでしかなかった。

小甲芳信

もちろんコンデションがすこぶる悪い厳冬期とは言え、日本海に出れば海アメが釣れるだろうし、近郊の川で立ち込めば遡上系のアメマスも釣れるでしょう。
でもこの日はなぜかテンポ良く釣り上がりたくって、システムのヘビーな釣りではなく、ライトな感覚で楽しめるお気軽ニンフの釣りに出掛けてみたんです。

一般河川では禁漁期が殆ど無いここ北海道、しかし晩春からは近郊河川随一のハッチ量を誇るその川も、今は全てがモノトーンの冬景色。
生命反応なんざこれっぽっちも感じられない・・・・・

呆れ顔のまま、来てしまったことをちょっと後悔したんですよ。
目の前に広がる雪壁を見てね。
でもまぁ「温泉に来たついでの釣りだから」と、ニンフボックスを一つだけポケットに押し込み、お尻でズルズルと滑り降りたその先に広がる目の前のポイントへニンフをポッチョンと・・・・・
所詮、アベレージが15cm~25cmくらいのニジマスしかいない小さな流れ。
期待するものなど何も無く、正月早々にお魚の顔を見られれば御の字だったんです。

ヤル気の無い、ダラダラとしたキャストで1投目を打ち込みます。
インジケーターもヤル気の無さが乗り移ったように、ダラダラと流れてきます。
ダラダラついでに、もう一丁打ち返します。
やっぱりダラダラと流れてきたまま、ダラダラと沈んでしまいました。

「アレ?」

とりあえず竿を上げると、インジケーターのスグ下で恐ろしく大きな尾ひれがユラユラしています。

「何だアレ?」

正月ボケとは恐ろしいもので、自分に起こっている事態をまったく飲み込めていません。

クイと引っ張ると、ユラユラ。
クイクイと引っ張るとユラユラ、ユラユラ。

・・・・クイクイ?クイクイ?
・・・・ユラユラ、ユラユラ。

「・・・・・!!」

慌てましたね。
そんな魚が掛かるなんて、これっぽっちも思っちゃいないワケですから。
取り急ぎ、ダッシュでラインを巻き取り、浅瀬に誘導し始めたところでソイツに気が付かれちゃったもんだから、さぁ大変。
“行きがけの駄賃”にしちゃ、あまりに大き過ぎた。
狭い小川を文字通り縦横無尽に走り回るニジマス。
ボクも何度もコケそうになり、全身ずぶ濡れのままふと橋の上を見ると、排雪作業中の2台のダンプカーが止まっている。

小甲芳信

なんとオジサンが二人、窓から身を乗り出してコチラを見ているではないですか。
オトコとは悲しい性を持つものですね、ギャラリーを見つけたとたんにシャンと背を伸ばし、余裕をブチかませて寄せるフリをするボク。

小甲芳信

バイカモの中でもんどりうってるニジマス相手に、「それはイカン、イカンと言うとるに!」と小声で呟き、顔は必死の形相なのに背中では余裕を演出している。
自分に呆れてモノも言えません。

その後、とりあえず寄せた魚に幾度かのシャッターを切り、ダンプカーが走り去ったことを確認してから雄叫び上げちゃいましたわ。

小甲芳信

こんなヘタレなぼくにも、川の神様から大きなお年玉を頂いた気分です。
またキレイな魚が釣れましたらお便りします。

では~

~それは生まれて初めての経験だった~

2009.9.16 Update
毎年北海道の短い夏が過ぎる頃、本流域で育ったすばらしい体高を誇るヤマメ達は、来るべき産卵へ向けて一斉に源流域へと動き出します。
そこは北海道の中央部に程近い、湧水が豊富な一級河川。
道内でもトップクラスの人気河川で、札幌から程近い距離にあると言うことも重なり、週末ともなれば関東並の混雑振りで、時にはポイントを前に、前にも後ろにも釣り人がつっかえていることさえあります。
しかし、そんな混雑振りとは裏腹に毎年相当数の尺ヤマメが釣られ、訪れる釣り人を翻弄しながらも十分楽しませてくれるのです。

そんなヤマメ釣りの盛期も終わりに近づいた頃、ボクは前日に巻いたドライフライをボックスに詰め込み、一日中続くガガンボのハッチと午後遅くから始まるフタバのハッチを目当てに高速道路に飛び乗りました。
今年はこれで3度目のトライとなります。
前2回は、前夜の雨量による増水とロッドのトラブルとで満足な釣りが成立していませんでした。
今回は正直言ってあまりに渇水した流れを前に酷く落胆し、今年のヤマメには既に諦めのムードが漂い始めていたのですが、半分は投げやりな気持ちと、もう半分は釣り人の裏を欠くつもりで普段は見向きもされないような無機質な流れに入ってみました。

しかしこれはどうしたことか、そこかしこから大型のヤマメが次々とフライを咥えてくれるではありませんか! こんなにも魚が残っていたのか?と、キツネに摘まれた様な心境のまま、「そこは出る!!」と確信に満ちたプレゼンテーションを繰り返しました。


実はこの日神懸り的だったのはここからで、他の釣り人の間を移動する先々で大型ヤマメに恵まれたのです。
グループで移動を始めたヤマメ達にドンピシャでぶつかり、次の移動先でもまたまたライズの嵐・・・・ 一方、道路ですれ違う釣り人から聞こえてくる言葉は「もうダメですね・・・・」「カラッポの川になりましたねぇ・・・」
としか言われないのだから、ボク自身、首をひねるばかりでした。


この日使用したシステムは、Jストリーム733-4に、アクロンスタンダードリーダー7x12ft ミスティープラス・ティペット7x8ft前後。
#16~#20ほどのフライでやや長めのリーダーシステムを組むのであれば、凡そベストマッチではないでしょうか?
当日、このシステムを用いて感じたストレスは、「あれ?グリップが生臭くなった?」くらいでしょう(笑)

ドリフトを最優先させる為に必要なティペット部分のスラック、しかし、ブッシュのギリに落とさなければならないコントロール性能。
それらを含め、ボクの様なヘタレなキャスターでさえ気持ち良く釣らせてくれるこのロッドには、その日最大のヤマメをランディングした時、日本の河川での使用に特化した、とても扱いやすい竿だと再認識させてくれました。
しばらくはこの竿を使い、北海道内の様々な川でイワナやヤマメをストレスフリーなまま楽しく釣ることができそうです。


また、面白い出来事などがあればお便りします。
では~