ホローボディ開発裏話

2006.6.15 Update

革新的フライデザイナー島崎憲司郎氏考案の画期的エクステンドボディ「ホローボディ」を製作するためのタイイングツール、シマザキ・ホローボディツールおよびシマザキ・ホローボディ・メイフライ・スリーブバーナーがいよいよ発売になります。発売に先駆けて、関連ツールを使用した「ホローボディドレイク・モンカゲロウバージョン」のタイイングムービーを配信します。

このホローボディのユニークなシステムはすでに8年前の1998年に島崎氏によってデザインされていたものです。当初は金属素材で計画していましたが、加工精度や価格の問題が中々解決できませんでした。これを一気に解決したのは、グラスファイバーコンポジットによる強化樹脂です。このハイテク技術によって充分な強度を保った上で原型の忠実な再現が可能となり、適度な弾力性もあるために金属製よりもタイイングしやすいという利点も得られました。島崎氏がこのタイイングメソッドを考案したのは1988年にまで遡ります。当時はエアロドレイクという名称でいくつかのパターンが発表されており、1999年夏にアメリカその他で発表されたファンタジックな巨大フライ「ジュラシックフライ」のシリーズなども、このホローボディの手法により製作されたものです。


ホローボディドレイク・モンカゲロウバージョン


ホローボディパターンの実物を初めて目にした人の多くは、そのリアルな生命感に驚かれるようです。皆さんを驚嘆させるこのきわめてリアルな生命感が、この手法で製作されたフライに共通する印象だと言えるのですが、これは極薄のポリエチレンフィルムを基材として使用しているため、光の透過性に優れているという構造的特徴が関与しています。考案当時の島崎氏は“光の透過性”を大きな研究のテーマとしていたようです。もちろん、光の透過性については、ほぼすべてのフライタイヤーが掲げる課題の一つには違いありません。
しかし、島崎氏のこのテーマへの取り組みが、人並みのレベルで終わらなかったことは、1985年に発表されたトルーライトスピナーという、当時としてはきわめて斬新なパターンからも見て取ることが出来ます。ホローボディが放つ“本物の虫らしさ”は、島崎氏の“光”への取り組みの延長線上で生み出されたのだと推測することは難しくないでしょう。そして、このアプローチこそが、巷に見られる従来のエクステンドボディのタイイングテクニックとは一線を画すところでもあるのです。


ここで一つ開発裏話を紹介しましょう。ちょうど一年前、ティムコ本社にてシマザキ・フライウィングIIIの最終校正の打ち合わせをしていました。フライウィングIIIのデザインは、一つ一つ島崎氏の手書きによるものなのですが、これを特殊な不織布に印刷するためには、Macによりデータ化する必要がありました。その打ち合わせに同席していた某大手印刷メーカーの女性Macオペレーターにサンプルとしてホローボディドレイクを見せたときのことです。彼女は目を見開き、とっさに身を引いたのです!もともとこの女性は、虫の類が苦手だったようですが、相当ホローボディドレイクが本物っぽかったのでしょうね。

今回商品化されるのはメイフライタイプとなりますが、メイフライのパターンだけに限らず、ブナムシなどのテレストリアルや小型のミノーなどにいたるまで無限の可能性を秘めています。フックサイズにして20番くらいから6番くらいまで対応することも可能です。今回ホームページで配信するタイイングムービーはモンカゲロウのパターンになりますが、追ってその他のバリエーションについても配信してゆきたいと思っています。是非ご期待下さい。とにかく、ここは“百聞は一見にしかず”。これをご覧いただき、是非ご自身でホローボディのタイイングを実践していただければと思います。ちなみに、ホローボディドレイクのタイイングには、「シマザキ・ホローボディツール」、「シマザキ・ホローボディ・メイフライ・スリーブバーナー」、「シマザキ・ホローボディ・ベーシックマテリアルキット」、「シマザキ・フライウィングIII」、および何色かの「シマザキ・フライトーン」が必要になります。まずは、この動画でそれぞれの使い方をご理解いただき、忘れ物の無いようにお買い物をしていただければと思います。


ホローボディ関連開発担当 早津茂
今回のムービー用に島崎憲司郎氏ご本人にタイイングをお願いしました。


ステップ1:ホローボディ製作
ステップ2:ホローボディドレイク・モンカゲバージョン・タイイング

ステップ3:ホローボディドレイク・モンカゲニンフバージョン・タイイング1
ステップ4:ホローボディドレイク・モンカゲニンフバージョン・タイイング2
ステップ5:ホローワームA タイイングNEW

ステップ1・2ダウンロード用ムービー
ステップ3・4ダウンロード用ムービー
ステップ5 ダウンロード用ムービーNEW

(マウスを右クリックして「対象をファイルに保存」してください。)

※ムービー再生には「Windows Media Player」が必要です。

<関連リンク>
◆タックルトーク
シマザキ・フライウィングIII&フライトーン オンライン・マニュアル(フライウィングIIIの成形方法については、こちらをご覧ください)

◆オンラインカタログ
シマザキ・ホローボディツール

シマザキ・ホローボディ・メイフライ・スリーブバーナー

シマザキ・ホローボディ・ベーシックマテリアルキット

シマザキ・フライトーン

シマザキ・フライウィングIII


◆ カディスウイング成形のコツ

2005.4.1 Update
基本的には、製品付属の取り扱い説明書に記載したように、モノスレッドでウイングを結ぶ方法が簡単ですが、
次に紹介する方法もなかなか便利なやり方です。
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クイルウイングの要領でフックにセットしてもOKです。ウエットフライを巻く要領ですね。また小さなサイズの場合特に有効ですが、ウイングをスレッドで結ぶ代わりに、ウイングの尖った方(ヘッド側)を指先でコヨリ状にねじって形成する方法もあります。このときも、指先にドライシェイクを忘れずに。作業性が断然違います。
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●カディスウイング取り付けのコツ

photo 上記のいずれかの方法により成形したウイングを写真のように取り付けます。あとにも述べますが、このときウイングが上の方に跳ね上がってしまう場合、ウイングをボディと平行(または希望の角度)に軽く引っ張りつつ、ウイングの付け根に瞬間接着剤を少量、そのまま数秒~数十秒保持すれば目的の形になってくれます。(この方法はストーンフライの場合も有効です。)

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あとはハックリングするだけで写真の作例のようなリアルなカディスパターンが完成します。ちなみに、この作例はFW9を使用しています。FW7やFW9、FW12の白抜きの部分を着色せず使用すれば視認性の高いフライを巻くことができます。

◆ フライトーンによる着色と色のコントロール

2005.4.1 Update
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フライトーンによる着色例


●フライウイングIIIを裏紙付きで着色し、後からはがす方法
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フライウイングIIIのパッケージに印刷されている説明書には、裏紙をはがしてから着色する方法で書いてありますが、裏紙が付いた状態で着色してからはがすという手順でもかまいません。ここではこの方法で着色や混色のプロセスを説明します。もし裏紙がしっかり付き過ぎていてはがしにくい場合、裏紙ごと着色した方がはがしやすくもなります。これは裏紙とフライウイング・の間にフライトーンの溶剤が作用するためです。説明書には書いてありませんが、長方形のシートの短辺と平行に裏紙をはがすと、よりきれいにはがれます。( ←つまり、その目の方向にシートの目が通っており、この方向が引っ張りに強い方向になります。したがって、たとえばシートの余白部分を利用して無地+フライトーンでウイングを作る場合は、この「目」の方向にウイングの長い方向が来るようにカットしてください。ニンフのウイングケース等に使うテープ状にカットする際も同様です。ちいさなカディスやBFD(バックファイヤー・ダン) やガカンボなどの場合、余白部分を利用した無地のウイング+フライトーンでも十分ですので、どうぞ余白部分も有効利用なさいますように。) 裏紙からがしたフライウイングIIIはカールして丸まってしまう場合があります。そのときは、2枚目の写真のように手で軽く引っ張れば、カールを取り除くことが出来ます。すぐに使うのでなければ、厚い本に挟んでおく方法も有効です。

実際に写真を見ながら着色の方法を見て行きましょう。

●単色
photo フライトーンを単色で使用した例です。写真はFW1にフライトーンNo.08オリーヴイエローを使用しモンカゲロウのウイングを塗っている様子です。

●色を薄める

photo 写真は、モンカゲロウより色の薄いフタスジモンカゲロウのウイングの作例です。ウイングの中心線付近にフライトーンNo.08オリーヴイエローを塗り、その後フライトーンNo.01ウォッシュでこするようにして左右均等に色を薄めながら塗り広げて行きます。No.01ウォッシュはいわば薄め液の役割を果たすアイテムです。この手法を用いれば、フライトーンNo.05ダークグレーやNo.06ダークブラウンなど、濃い色合いのインクも思い通りに使いこなせるようになるでしょう。

●色を混ぜる
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どちらの写真も、複数のインクとNo.01ウォッシュを用いて好みの色を作り出している作例です。薄める作業同様、ウイングの中心線を基準に左右均等に仕上げるのがポイントです。フライトーンは全10色のラインナップですが、この手法を用いれば、使える色合いは無限に広がるのです。

●フライトーンのフライウイング・以外の用途の例
タイイング・スレッドの部分的に着色(特にTMCモノスレッドはこの方法が活きます)、これの応用でフロス等のリビング材をフライトーンで着色する(→写真(上)のフライのボディはこの方法でリビングしてあります) 、ニンフやアダルトのボディの背側をフライトーンでサッと撫でて腹側より濃いトーンにする、クリアやバターイエローなどのモノスレッドでタイイングしたフライのヘッドの部分だけダークグレーやダークブラウンのフライトーンをチョコっと塗る、これの応用で異なるウエイトのニンフのヘッドの色をフライトーンで変えて自分なりの目安にする、釣り場でフライをティペットに結んだままボディなどにフライトーンを塗ってイメージを変える、ティペットやリーダーにフライトーンのオリーブやグレーなどを塗ってカムフラージュしてみる、インジケーターの水中に沈む部分をダークグレーやダークブラウンなどの地味系の色でカバーする、その他色々に使えます。
(フライトーンはまた、次期発売予定のホローボディ(→写真(下) 右のフライ)という8年越しの革新的エクステンド・ボディ用ツールにも対応、今回のフライウイング・もホローボディのシステムに相互リンクしています。)
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◆ ストーンフライウイング成形のコツ

2005.4.1 Update
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切り出したストーンフライウイングは、写真のように両端を持って軽く引っ張って伸ばしてください。虫の翅らしい適度なコシが得られます。

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二つ折にし、メイフライウイング同様、TMCモノスレッドを掛けて引き絞ります。指先にドライシェイクをつけるのを忘れずに。

●ストーンフライウイング取り付けのコツ
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二つ折りにしたウイングをスレッドに掛けます。
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そのままシャンクの上にもってきたら・・・。
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下の方のウイングをスレッドで留め、次に上のウイングを留めます。こうすることでウイングが跳ね上がらずにおさまりよく巻きとめることが出来るでしょう。
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上から見たところです。

カディスやストーンフライのウイング→ボディハックルを巻いたボディにセットする時などにウイングがハックルで押し上げられてしまいやすい問題の解決方法
セットしたウイングをボディと平行(または希望の角度)に軽く引っ張りつつ、ウイングの付け根に瞬間接着剤を少量、そのまま数秒~数十秒保持すれば目的の形になってくれます。

シマザキ・フライウイングIII &フライトーン オンライン・マニュアル

2005.4.1 Update
文:島崎憲司郎+ティムコ開発担当スタッフ

photo フライウイングIIIに付属の説明書には印刷スペース等の関係でごく大雑把なことしか書いてありませんので、より詳しく具体例をあげて解説してゆくのが、このオンラインマニュアルの目的です。ここで述べる方法に限らず、自由な発想で色々工夫してみて下さい。(4月22日発売のFlyFisher 誌にもフライウイングIII&フライトーンについての記事が掲載されます。併せてご覧ください。) この一連の記載の大部分は具体的なタイイングについての内容ですが、最後の部分はフライウイングIIIの各デザインパターンと水生昆虫との関係、フライトーン各色の解説と混色のガイドなどになっています。


フライウイングIIIとフライトーン
昆虫の翅(はね)は、その虫を特徴付ける大変よく目立つ部分のひとつです。問題の部位は昆虫の身体の中で普通最も面積が大きいので、いやでも目についてしまうのです。フライにスレまくった魚が、レネ・ハロップの巻いたノーハックルダンをうっかり口にしてしまう事情の一つもこの辺にあるのかも知れません。
フライウイングIIIは、フライタイイングで昆虫の翅/ウイングを表現する場合に従来にない可能性を秘めた新しい選択肢の一つです。素材は光や風をよく通す柔らかな極薄不織布。厚さは0.06m/mしかありません。フェザー並みの超軽量素材です。これに長年の研究による極め付きのオリジナル・ウイングパターンを特殊印刷してあります。後で説明しますがフライウイングIIIの場合、ベースの色はあえて白地のまま残し、翅脈=ベインや模様だけを印刷してあります。これらのウイング・パターンは、一見するとどれも本物の虫の翅をそのままコピーしたかのようですが、実はそうではありません。よくご覧になると分かりますが、フライフィッシングに関わりの深い昆虫の翅の特徴をフライタイヤーの眼で入念に再構成してあるのです。
こうしたフライフィッシング的な微調整によって、フライウイングIIIはフライタイイングに伝統的に使われる様々な羽根類や獣毛類などとも良く調和し、たとえばスタンダード・スタイルのドライフライのウイングに使っても違和感なく収まります。FW4(フライウイングIIIのシートには、すべてデザインNo.が振ってあります。FW4はデザインNo.をあらわしています。)などは、見ようによってはウッドダック・ウイングのおもむきが感じられるほどで、ブラウン+グリズリーとかジンジャー+グリズリーなどのミックスド・ハックルとの相性も抜群です。フライウイングIIIのそれぞれの形も実物の翅とは微妙に違っています。例えば、メイフライのウイングは実物に比べるとかなり直線的な形です。この相違は、フライウイングIIIを絞り整えてフックにセットした時に目的の形になるように調整した結果ですので、「こんな形じゃなくて本物のダンのあの形に最初から切った方が絶対いいはずだ」などのありがちな思いつきは実行に移さない方が何かと無駄がないようです。

フライトーンは、フライタイイングの色々な場面で活用できるアルコール・ベースの耐水性デザインマーカーです。フライウイングIIIは、このフライトーンで着色して使います。フライトーンに使われている染料は、透明感のある柔らかな色あいですので、フライのどこに使用しても違和感がありません。フライトーンでフライウイングIIIを着色した場合、まるで水生昆虫の翅そのもののような、印刷インクでは出しにくい柔らかくしっとりした質感を得られます。フライトーンの各色は、どれも混ぜ合わせることができます。薄め液に相当するウォッシュ(色番No.01) を使えば、色を無段階に薄めたりボカしたりすることもできます。
フライウイングIIIを最初から色も含めて工場で印刷してしまえばカットするだけで使えるわけですが、その代わり繊細さやリアリティは数段レベルダウンすることでしょう。僅かですが目方も増すことになりますし、色の微妙なコントロールもできません。それでも簡単な方がいいと思いますか?もしそう思う人なら多分こういうものも買わないでしょう。それに、冷静に考えてみれば再認識するはずですが、そもそもフライフィッシングいう釣り自体、あれやこれやの面倒の集大成なのです。フライウイングIIIは、ちょっとした手先の器用さと手間がかかりますが、その代わり、これまでにない飛びきりリアルなウイングを作り出せます。料理でもそうですが、本当においしいものを作るには多少の手間や工夫を要するものです。


ワンポイントアドバイス
◆ 大きいサイズのウイングが余ってしまった場合の活用例
    アウトラインの内側で1~2サイズ小さめにカットしても実用上問題ないウイングを作れます。パターンによってはもっと小さくしてもソコソコ使えます。ただしFW1(モンカゲロウ) の場合は、ウイングの中央の斑紋がある関係で小さめに調整するキャパシティが狭いです。また、大きめのメイフライのウイングをカディスやストーンフライ用などにカットしてみるのも面白い使い方です。逆に、ストーンフライやカディス用のウイングをメイフライに流用しても魚が釣れないわけではありません。
◆ 前にちょっと述べたシートの余白部分も有効利用例
    ニンフのウイングケース、特に模様が無くてもいいようなメイフライ( たとえばコカゲロウ、アカマダラカゲロウなどのバックファイヤーダンのウイング) 、ナガレトビケラなどの小さなカディス、小型ストーンフライやクレインフライ(ウスバヒメガガンボ等)の無地のウイング、イマージャーの未発達なくしゃくしゃしたウイングetc.
◆ ニンフのウイングケース
    フライウイングIIの時のようにテープ状にカットしてタイングすればOK。その場合、白い状態のテープでタイイングしてからフライトーンで必要部分を着色する方法でおやりになると無駄がありません。フライトーンNo.05(ダークグレー)とNo.06(ダークブラウン)はウイングケースに対応する色でもあります。水生昆虫のほとんどのウイングケースはこの2色でカバー出来ます。
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◆ フライウイングIIIの仕上げたウイングのストック方法
    一度にウイングをまとめて作るとタイイング効率が上がります。(写真はフロッピーのケースにストックした例です。)

◆ フロータントについて
    シマザキ・フライウイングIIIを使用したパワーにはどのようなフロータントが使えるのか気になるところですね。ご安心下さい。シマザキ・ドライシェイク/シマザキ・ドライシェイクスプレーは言うに及ばす、リキッド系(ドライディップスーパー等)やジェル系(ドライマジック等)まで、すべてのフロータントを使用することが出来ます。


各ウイングパターンの解説
以下はフライウイングIIIの各ウイングパターンの特徴を説明しています。 これらを目安にFW1 ~FW13の中からウイングパターンをお選び下さい。(例にあげた水生昆虫は説明のための一般的な例としてあげたもので、現在のフライフィッシングでの重要度とは必ずしも一致しません。) 選んだウイングパターンを後で述べる「フライトーン各色の解説と混色のガイド」を参考にして着色します。

◆ MAYFLY - A
  FW1 モンカゲロウ専用
例→モンカゲロウ
グリーンドレイク(Ephemera guttulata)
ブラウンドレイク(Ephemera simulans)

FW2 網目状の細かな翅脈の大型メイフライ
例→フタスジモンカゲロウ/アミメカゲロウ/キイロカワカゲロウ
Hexagenia(Hex)属etc.
(このFW2 をFW5 のところに例にあげたマダラカゲロウ系のウイングに流用する手もあります。)

◆ MAYFLY - B
  FW3 翅脈が特に目立たない中小型メイフライ
例→ヒラタカゲロウ各種/コカゲロウ属/アカマダラカゲロウ/ヨシノマダラカゲロウetc.
このFW3 はTMC 100 系のフックサイズに対応していますので、他のメイフライ系のウイングパターンのスケールとしてもお使い下さい。FW3a~FW3iの順に#8 ~#24となっています。(フライのタイプやタイヤーの考えによってサイズをずらしてももちろんかまいません。例えば#14対応のFW3dを#12のフックに使うという具合に。フライの場合、各部分の寸法よりフライ全体のボリュームが優先されるので、実物のウイングの実寸より意図的に小さめにすることも多いです。)

FW4 翅脈の横紋が印象的な中小型メイフライ
例→アメリカン・マーチブラウン(Stenonema vicarium)
ウエスタン・マーチブラウン(Rhithrogena 属)
グレイフォックス(Stenonem fuscum)
ヒメフタオカゲロウ etc.

FW5 格子状の翅脈の中小型メイフライ
例→オオマダラカゲロウ/ミツトゲマダラカゲロウ/オオクママダラカゲロウ
ウエスタン・グリーンドレイク(Drunella grandis=Ephemerella grandis)etc.
(これらの例の場合、FW4 のパターンを使うのもフライの表現としては面白い方法です。)

◆ CADDIS
  FW6/
FW7
前翅の全面にスペックルド模様(斑模様) が目立つカディス
例→ヒゲナガカワトビケラ/シマトビケラ/コガタシマトビケラ/ムラサキトビケラ/
ヤマナガレトビケラ/ヒロアタマナガレトビケラetc.

FW8/
FW9
前翅の全面に模様が無いか、あっても目立たないカディス。または模様より翅脈の方が目につくカディス。
例→ニンギョウトビケラ/クワヤマカクスイトビケラ/ヤマトビケラ属各種
コカクツツトビケラ/コバントビケラ/ムモンエグリトビケラ/ヒラタコエグリトビケラetc.

◆ STONEFLY
  FW10 ジャイアントストーンフライ(Pteronarcys 属)
→少し工夫するとトンボ類のウイングにも流用出来ます。

FW11/
FW12
印象的に見た場合に翅脈が斜めに交差するタイプのストーンフライ
例→オナシカワゲラ/ヤマトカワゲラ/ヤマトフタツメカワゲラ/オオクラカケカワゲラ/
カミムラカワゲラetc.

FW13 翅脈が目立たない小型ストーンフライ
ミドリカワゲラ/クロカワゲラ/クロホソカワゲラetc.
クレインフライにも使用可。FW13c,FW13d はウスバヒメガガンボに対応。
(FW13はアウトラインだけで模様が無いので、各フライウイング・の余白部分を利用して
同様のものを作ることが出来ます。)



フライトーン各色の説明と混色のガイド
選んだウイングパターンをフライトーンで着色するわけですが、難しく考えることはありません。小学生時代にやった水彩絵の具による「お絵描き」の要領でやればいいのです。つまり、小学生でも難なくできる簡単な作業です。主な水生昆虫に対してフライトーン各色の色番や混色の比率等をキッチリ漏れなく一通り書いてくれと言われそうですが、そこまで手とり足取りする必要もないでしょう。そこはフライタイヤーであるあなたがお楽しみになる部分です。

01 ウォッシュ
水彩絵の具で言えば水にあたる無色の展色剤です。フライトーン各色の色を薄めたりボカしたり修正したりしますので、無色ながら最も出番が多い色番です。タイイング・スレッドを部分的にフライトーンで着色する手法を使う場合、モノスレッドがお勧めです。(モノスレッド+フライトーンですと塗り過ぎた部分があったら01で簡単に消すことが出来ます。) 作業中、指先などに付いてしまったフライトーンも01で簡単に落とせます。

02 ライトブルーダン
ライトグレー。淡いグレー系のウイングのヒラタカゲロウのダンやストーンフライはこの02か04(またはこの2 色のミックス) でカバー出来ます。この02と04はナチュラルでありながらも水面で大変見やすい色です。もう少し濃いグレーが必要な場合、05(ダークグレー) を混ぜるとダークからミディアムの微妙なグレーを無段階で作り出せます。02を全面に塗った上に04(サンディグレー) を全面塗り重ねると「オッ」というようなナチュラルなグレーが得られます。

03 → ( 空き番号。色数追加の際にミディアムグレーとなる予定?)

04 サンディグレー
02がブルーダン系(青みがかったグレー/クールグレー) であるのに対して、この04はウォームグレー系(ほんのり茶系のグレー) です。フライフィッシングではグレーと言えばブルーダン系のグレーが定番のように思いがちですが、フライの対象になる昆虫の翅を広く見てみると、むしろウォームグレーまたはほとんどニュートラルなグレーの方が多いようです。04の色はまた、ほとんどの昆虫のウイングの色に含まれている色で、色々なフライのマテリアルにもよく馴染む色の一つですので、「迷ったらサンディグレー」と覚えておきましょう。
02と04は、作った色を「もうほんの少しグレーがかった、くすんだ感じ」にしたいような場合、その色の上をグレー系でカバーするというコントロールカラーとしても使えます。

05 ダークグレー
墨色のような濃いグレー。01が色を薄くするウォッシュであるのに対して、この05は他の色に混ぜてその色を無段階でグレー側に調整するコントールカラーでもあります。例えば色A + 色B に少量の05を加えて01でウォッシュするという使い方。05は、このまま使うと羽化期のニンフのウイングケースの色の一つであります。(ウイングケースの第二の色は06) 。ブラックアントの色にも使えます。黒い蟻だから真っ黒でなくてはだめというわけではありません。例えばシナモンアントの18番に釣り場でフライトーン05を塗ったフライは魚にとっては十分ブラックアントです。
05 + 02 → ダーク~ミディアムブルーダン、05 + 04→ダーク~ミディアムスレートグレー

06 ダークブラウン
ナチュラルな焦げ茶色。グレーがかったブラウン(グレイッシュ・ブラウン) が必要な場
合、06 + 05を01で薄めると様々なトーンを作り出せます。例えばダンのウイングでほのかに茶色がかったグレー(オオクママダラカゲロウなど) の場合がこれですが、コツは06と05をウイングパターンの中央にほんの少し置くように塗り、これを01で早いストロークでウォッシュすることです。(ていねいにやろうとする余り、チョコチョコと時間を掛けて塗るよりもサササーッと筆先を走らせた方が良い結果になります。) これとほぼ同様の色を、ごく少量の06をまず01でウオッシュした上に04を塗るというアプローチでも出すことができます。もう少しグレーを強くしたい場合は05をチョコンとさして01か04でウォッシュすればOK。濃過ぎたと思ったら01でウォッシュすれば薄まります。このあたりの微調整は慣れると何のことはありません。頭で考える前に直観的に手が動いてくれるものです。
モノスレッドのクリアやバターイエローでタイイング中にボディのリビングのためにモノスレッドの色を変える場合に効果的なのはこの06と05です。また濃い色のボディのフライにあえてクリアまたは淡い色のモノスレッドでタイイングして、ヘッドの部分をこの06ふ09や05などの筆先でチョコッと着色してやると一味違う「虫っぽさ」が出たりします。06はまたウイング・ケースの色でもあります。(モンカゲロウやフタスジモンカゲロウ、ヒゲナガカワトビケラ、シマトビケラなど)

07 ベージュ
日本のカディスで欠かせないあのヒゲナガ(ヒゲナガカワトビケラ) のウイングのベース
カラー。FW6/FW7 に07を塗るとウイングパターンの模様の色もこの07に微妙に影響されて調和し、思わず笑みがこぼれてしまいうそうな仕上がりになります。( ←シマトビケラ類も共通) 。
メイフライウイングでは特にお勧めなのがFW4 に 07 を塗るとレモン・ウッドダック・フェザーのような雰囲気になります。この07をさらにコントロールして例えばFW4 に07+04でアメリカン・マーチブラウン、FW4 に 07 + 01(グレイフォックス) というバリエーションも簡単に作れます。

08 オリーブイエロー
FW1 +08=モンカゲロウ。FW2 + 08 + 01=フタスジモンカゲロウ。
生息地域によってはモンカゲロウのウイングやボディがもっとオリーブがかっていることがありますが、この場合ウイングの中央にごく少量の09(オリーブ) を置いて08でミックスすると、そのようなローカルカラーもカバーできます。

09 オリーブ
ニンフやアダルトのボディカラー。オリーブ系の体色の水生昆虫はたくさんいます。 09 に05や04を混ぜればオリーブグレー、09 + 06(+04) でブラウンオリーブという具合に混色で色々なオリーブを作り出せます。ウイングに使う場合は08で述べたように主にコントロールカラー。

10 パンプキンオレンジ
オレンジ系のボディカラー。ジャイアント・ストーンフライ(Pteronarcys californica,Pteronarcys princeps,Hesperoperla pacifica)グレート・オレンジ・セッジ(Discoecus ati pes)、アキアカネ、ハルゼミ類などのボディ(オレンジのトーンは06、05、 04 、08などで微妙なコントロール可) 。

11 リーフグリーン
黄緑色系のボディカラー。テレストリアルカラーのいわゆる「インセクトグリーン」は、多くの場合植物の葉に対するカムフラージュと言えます。バッタ、カメムシ、芋虫、毛虫その他色々。小型のセミ類にもこの色のものがいます( ←特にニュージーランドのシケーダパターンでは欠かせない色) 。水生昆虫ではエルモンヒラタカゲロウの雌のダンとスピナーはアブドメンにこの色を含んでいます。セスジユスリカのアダルトもこの色です。



オンラインカタログはこちら
フライウイングIII
フライトーン

◆ フライウイングIIIのカット

2005.4.1 Update
カッター+カッティングボードの方法(最も正確にカットできる方法)
製品付属の説明書には、ハサミを使用した方法を紹介しましたが、市販のデザインカッターを使用すると簡単かつ正確にウイングを切り出すことができます。
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裏紙からはがしたフライウイング・を写真のようにウイングの中心線に従って二つ折りにします。あとはデザインカッターで切り出すだけです。正確にカットできるのでお勧めの方法です。


◆ メイフライウイング成形のコツ

2005.4.1 Update
●モノスレッドによる絞り込み
photo 中心線より二つ折りにしたウイングにTMCモノスレッドを掛けます。(写真では、見やすいように太目の糸を使用しています。)お勧めはMサイズです。

photo 掛けたモノスレッドを絞り込んでゆきます。このとき指先にはドライシェイクをつけておくのがコツです。滑り止めになるばかりか、ウイング表面の質感がぐっと良くなるのです。

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ここがメイフライウイング成形のキモです。絞り込んだモノスレッドをさらにウィングの前方向に引き絞ります。これによってウイングの前(風を切る側のエッジ部分)が直線的になり、後ろ側にアールがついたリアルな形状を作り出すことが出来ます。

●メイフライウイング取り付けのコツ
基本的な取り付け方法を紹介します。(バックファイアーダンの方法と同じですので、以前のHP記事も参考にして下さい。バックファイアーダンは、このフライウイングIIIで巻くとさらに良くなります。)

photo ウイングを結んでいたモノスレッドを取り除き、写真のようにタイイングスレッドにウイングを掛けます。

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そのままウイングがシャンクの上に来るように留め、タスキ掛けにしてウイングを固定します。

photo この取り付け方法をベースに、スタンダードタイプにハックリングした作例です。

◆ フライウイングIIIを使用した作例

2005.4.1 Update
皆様のタイイングの参考にして下さい。今後も折を見てフライウイングIIIを使用したパターンを紹介してゆきたいと思っています。

●フライウイングパラダン
フライウイングIIIを使用したパラシュートパターンですが、ウイングがねじれてしまわない工夫を盛り込んでみました。このパターンは翅を立てたダンからスペントスタイルまで表現できる便利なパターンです。

photo まずADW(エアロドライウイング)を二つに折りフックシャンクに引っ掛けます。
このセット方法は、ガルバースペシャル(アル・トロース・パターン)のパラシュートポストのセット方法を簡素化したものです。
photo 次にこのADWを従来のパラシュートを巻くように、スレッドで巻き上げてゆきます。巻き上げる高さは、ハックルを巻く厚さ+ボディの太さに合わせます。スレッドを巻くほどにフックシャンクの下側のADWも締ってゆくのが、この取り付け方法の良いところです。
photo 巻き上げたADWを数ミリ残してカットします。
photo 先に作ってあった成形済みウイングを取り付けます。(この場合成形時ウイングに結んだスレッドは切らずに残しておいて下さい。)スレッドつきのウイングを写真中の左側のウイングのような角度にして取り付けます。
photo ウイングを後ろに傾けた状態(前の写真の状態)のままスレッド部分をウイングポストであるADWの前側にセットし、ハックリングスペースの上端がウイングの付け根となるように巻き上げます。
photo ウイングの位置を決めたら瞬間接着剤で固定します。
photo この状態を後ろから見たところです。ボール状にフレアしたADWがウイングを左右均等に分けるセパレーターの役割をし、これがキャスティング中のスピンを抑え、釣り人側からはひかえめなインディケーターにもなってくれます。
photo ハックルを留めます。

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フライウイングパラダン各種の作例です。

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素材が柔らかいのでウイングを閉じたり開いたり、状況に応じて使い分けることが出来ます。

●その他フライウイングIII+フライトーンによるフライ作例

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ディスプレー上でも見やすいように大型のフライを集めてみました。