Fly Fishing記事 | ティムコ

小甲 芳信

Fly Fishingプロスタッフ小甲 芳信 カブちゃんの北の便り(初秋の渚滑川)

2013.10.31

カブちゃんの北の便り(初秋の渚滑川)

ご無沙汰しております、北海道の小甲です。
もう7ヶ月ぶりとなるお頼りなのですが、実は今年の夏はすっかりショゲていました。
と言うのも、春の終わりに25年来の付き合いだった大親友が病を患い、そのまま天国へと旅立ってしまいました。
深く落ち込んだ自分の気持ちを整理するのにも長い長い時間を必要としてしまい、周囲の友人にも大変ご迷惑をお掛けしてしまいました。もちろんアチラコチラへと釣りに出向いてはいたのですが、その先々で亡くなった友人と過ごした時間ばかりを思い出してしまい、川原に腰掛けて水の流れを眺めてばかりいました。そんなボクを見かねた友人らが色々と誘ってくれて、ようやく自分らしさを取り戻せたような気がします。

さてさてそんな折、塞ぎがちな自分の気分転換も兼ねて北海道を代表するC&R河川でもあり、魚影の濃さもトップクラスの滝ノ上町渚滑川へと行ってまいりました。

kokabu-yoshinobu201310-22003-06

結果から言いますと、今回は大型を釣り上げる事は叶いませんでしたが、それでも毎年訪れているにも関わらずその素晴らしい景観に心満たされ、渚滑川の素晴らしさに癒されてきました。

この川は、今やその知名度は全国区となり、多くのエキスパートからビギナーまでも満足させられる川へと進化しつつあるようです。

kokabu-yoshinobu201310-22003-05

それは、地元NPO「渚滑川とトラウトを守る会」の方々が20年以上もの時間を掛けて川を育み、釣り人が最も楽しめる形を追い求めた努力の賜物なのでしょう。そんな彼らの尽力の下でボクらは楽しみ、魚を釣ったのではなく、釣らせて頂いていると考えるべきなのかもしれませんね。

今回は生憎の増水により水面への反応が悪く、終始ニンフでの釣りを強いられました。しかし、濁りが少ない場合には水中を流れるフライに対して魚の捕食物としての許容範囲はとても幅広く、オーソドックスなパターンで十分対応が可能ですし、場合によってはエッグやラバーレッグニンフなどのアトラクティブなパターンでも効果的だったりするでしょう。

また、この渚滑川のような川底が岩盤質と大小の石で構成されている典型的なフリーストーンの場合、ボクが好んで使用するニンフに、ケースドカディスがあります。それは、ウルマーシマトビケラやヒゲナガなどのタイプは造網性ですから強く石などに固着していて、移動する際のラーバとしての流失があるくらい。

一方、ニンギョウトビケラやコカクツツトビケラなどの可携性のカディスは、小砂利や木の葉などでケースを構成していて、その脆弱な6本の足で石などにしがみついているだけなので、突発的な水圧を受けることで流される個体も多くいることは想像に難しくありません。昔は、「イワナは増水で流されないよう砂利を食べて体重を重くし、難を逃れる」と言う言い伝えがありましたが、あれは諸説ある中でも、増水により多く流下してくるケースドカディスを食べているという見方もあります。それくらい水中流下の重要種になり得るエサですので、ボクも多くの場面で多用しているのです。

kokabu-yoshinobu201310-22003-01

で、ケースドカディスをつくる場合ですが、やはり水馴染みが良く耐久性があり、濡れることで圧倒的な雰囲気を醸し出せるマテリアルが必要条件となり、ボク自身も様々なマテリアルを試しましたが、ペレットダブが発売されて以降、一気に全てを補ってくれたこのペレットダブがダントツで結果を残してくれています。タイイングもシンプルですし、大・小2通りのサイズバリエーションさえ揃えておけば、アトラクターにスレてしまった魚にも効果的だったりします。

kokabu-yoshinobu201310-22003-03

実は、成魚放流が盛んなこの渚滑川では、アトラクターパターンに高いレスポンスを示す固体の多くは放流魚なのに対し、この川で生まれ野生魚として育ってきた大型ニジマスには、アトラクターではなくシビアーなパターンを要求される場合も多く見られますので、何本かストックしておいても損はないと思います。

・・・・・放流魚の影にワイルドな大物アリ!!です!!

kokabu-yoshinobu201310-22003-04

凡そほとんどの方は、この渚滑川の流れを前にポイントの選定やその時々の旬なフライパターンなどに不安を覚える方も多いと思います。ですが、渚滑川の流域沿いにあるNPO法人「渚滑川とトラウトを守る会」事務局、通称「釣り小屋」へ顔を出すと、理事長さんやメンバーの方々が親切に教えてくれるでしょう。今や北海道内水面遊漁の最先端と言える基盤を携えたこの川の創設者が集まる場所ですから、初めて訪れた方にとってこれほど強いアドバイザーはいないでしょう。メンバーの皆さんはとても親切で、面倒見も良く、釣れない時間を模索し続けるよりも思い切って小屋へ飛び込み、気さくなメンバーからのアドバイスを伺った方が、最初の1匹を手にする最もな近道となるでしょう。

  • 渚滑川周辺は川を遡上してきたサケやカラフトマスなどを食べに来るヒグマの出没があります。 また、上流域には極めて頻繁に親子連れヒグマが出没するエリアなどもありますので、滝上町役場や釣り小屋のメンバーなどによく確認し、鈴やベアスプレーなどの携帯も忘れないようご注意下さい!!
  • kokabu-yoshinobu201310-22003-02

心に空いた穴を埋められず、ただボンヤリとしていてあっという間に過ぎ去ってしまった夏ですが、もうまもなくこの街にも雪が降り始めます。木枯らしが吹きおろす山並みを眺めながら、ようやく笑ってフライロッドを振れる日々に感謝しつつ、また何かありましたらお便りしたいと思います。

-KABU-

kokabu-yoshinobu201310-22003-03

フライレシピ(ケースドカディス)

フック:TMC2302#14~#10
ボディー:ペレットダブ(01ペレット)
アブドメン:タシロニンフダブ各色
ヘッド:ラビットファー(ナチュラルブラウン)
リブ:コパーワイヤーS
レッグ:パートリッジ


Like
小甲 芳信:最新記事