Fly Fishing記事 | ティムコ

小甲 芳信

Fly Fishing  プロスタッフ  小甲 芳信   カブちゃんの北の便り(2015スカッディーウィークを終えて)

2015.05.08

カブちゃんの北の便り(2015スカッディーウィークを終えて)

今年の北海道・道は近年では珍しいほど暖かな気候が続いており、桜に続き新緑の季節も目前に迫ってきました。さてさて、そんな折、今年も楽しみにしていたスカッディーウィークがとうとう終りを告げてしまいました。そこで、少し時間を戻して今年のスカッディーウィークの報告をしたいと思います。

魚1

 

まず初めに、スカッドの釣りの面白さについてです。どこがそんなに面白いのか?それはフライフィッシャーの多くが熱くなるマッチング・ザ・ハッチにも似た要素がある釣りだからなのです。「ニンフ/イマージャー/ダン/スピナー」などの変態過程はありませんがかなり変則的に動き回り、そのスカッドの生命感をいかにフライに投影させるかといった部分。魚の回遊コース、捕食ポイントを観察したうえでのアプローチ、海況に合わせシステムの変更を余儀なくされること。食いを優先させるか、魚とのファイトを優先させるかのシステムのバランスのせめぎ合い。

 

スカッド

 

これらの複合的な要素を一つ一つ掻き集めてアプローチしなければ魚を釣り上げることができないゲームです。先日の状況も北海道の釣り雑誌【ノースアングラーズ】誌(つり人社)に掲載されたのですが、思いのほか海況がよく、多数のアメマスの姿を確認しながらトライできるチャンスが度々起こり、それぞれのトライにいくつかのエピソードが生まれるようなコンディションでした。

 

そこで、取材当日も含めた今シーズン中のいくつかのシーンで、割と難易度が高かったシチュエーションのエピソードをお伝えします。それは3月も終りを迎える頃、早朝の薄暗く肌寒い海岸線、薄明かりの中、目を凝らすと少し大きめのウネリが入り、正直サイトで魚を確認するにはかなり厳しい海況でしたが、先週からの観察により魚は必ず入っていると確信し、水際へと降り立ちました。長いサラシのギリギリまで詰め寄り、やや濁りがある水中へと意識を集中させます。

 

しかし、いつものようにグリーンバックの魚影が横切るシーンはまったく見えてきません。もしかしたら、今日は魚が接岸しない潮周りなのだろうか?と、集中力が途切れ始めた頃、隣の友人が「いるいる!!」と、魚を指差してくれました。・・・・なるほど、なかなか魚影を確認できないワケです。その日はどうゆうわけか全てのアメマスが胸鰭を砂に擦る程のベタ底で回遊しているので、一見すると海底の石と同化していてなかなか発見できなかったのでした。そしてわずかに見える魚体が生み出す影に気を付けながら、回遊コースを見つけていきます。

 

「あっ、これVターンだ・・・・」

 

友人がため息混じりに漏らすこのアメマスの行動。それは、沖から真っ直ぐに岸に近寄り、流れ込む真水と海水が混じり合う、モヤモヤスポット(カブちゃんの北の便り2013スカッディー・ウィーク:参照)へ突入直後に2~3匹のスカッドをついばんだ後、鋭角的に沖へとターンして帰っていく動きのことで、魚影を見つけてからのアプローチではほとんど手遅れに近く、最もアプローチの時間が短い難解な回遊コースを狙うタイプの釣りです。

 

ちなみに沖に出払っていくアメマスへ何度フライを投じても、彼らが口を使うのは決まったかけ上がりスポットのみであって、それ以外は魚を散らす要因になってしまうのです。こんな時の攻略法は、待ち伏せに徹するほかはありません。沖から入ってくる姿が確認できないままに、気ままな間隔で姿を現すアメマスに対し、逃げ去るコースから読み取ったおおよその捕食ポイントへとフライを投じておきます。

 

この時のボクのフライシステムは、フライから20cm程のところにBサイズのガン玉を2つ。海底にシンカーを着底させたまま、潮流でフライが漂う状態をキープしておきました。(これはすごく重要なポイントで、着底後に僅かに潮で引っ張られるくらいがベストです!)

 

こちらの期待とは裏腹に、薄濁りの海底を4~5回もアメマスが泳ぎ去る姿を見送ってほどなく、波が割れる刹那、白泡の中でほんの5cm四方の緑色が僅かに揺れた気がして、同時に効きアワセを打つように軽く竿先を上げたところ、バンクのエッジの一番深いところでグネングネンとアメマス特有の重厚なアクションが伝わってきました。どうやらようやくアメマスがフライを咥えてくれたようです。

 

魚2

 

この日使っていたLOOPクロスS-1はバッドセクションからティップセクションに至るまでハイレスポンスに反応し、ロッド全体がスムーズにベンディングカーブを描くため、ティペットの先のフライまでパワー伝達が行き届き、軽いアワセのモーションでもしっかりとフッキングしてくれました。そしてここでワンポイントですが、魚と真正面に向き合ったままの状態でフッキング動作へ入り、左右どちらかへロッドを立てても口元のフックの角度はほぼ変わらない場合が多々あります。それ故いわゆる【スッポ抜け】になってしまうのですが、それを軽減させるためフックを少しだけ曲げる手法があります。

 

海アメ・スカッドで通常使用するTMC2302やTMC200Rの#12~14など、小型のフックで大型を狙う場合、フライを巻き上げた後にアイを押してフックポイントからアイ2つ分くらい左右どちらかにズラしておきます。これにより、スッポ抜けをかなり軽減できました。(パラシュートスタイルに巻くTMC2487BLなど一連のカーブシャンクのフックも同様の効果があると思います。)

 

話を戻しますが、約7割がサイトの釣り、残り3割はブラインドの釣りという状況でしたがようやくアメマスを掛けることができ、今年も楽しい時間を過ごすことができました。・・・・ですが、前の週には幾度となく目の前を泳ぎ去る60cmを優に超えるアメマスにはついぞ食わせることができなく、今年も課題の残るスカッディーウィークでした。薄明かりの中での宴が終わり、明るくなるほどゴマカシが一切効かなくなるためこの釣りは、時間の経過とともに徐々にハードルが上がり、やがては生命感のない海に戻ります。このタイムリミットも面白さを倍増させてくれるファクターの一つなのでしょう。

 

近年使用しているスカッドパターンのタイイング手順です。お役に立てれば幸いです。

 

⑤の1

松前スカッドパターン
フック:TMC2302 #14~#10
アンダーボディー:シェニール各色
ボディー:ダビング材適宜
オーバーボディー:メダリオンシート(クリアーorバギーLTダンなど)
リブ:モノフィラメントスレッド(ファイン)

 

1. 下巻きしましたら、シェニール長を1本、シェニール短を1本、シャンクに平行にのせで2段階に分けて捲きとめ下地を作ります。後でテーパー状にしあげるボディーを意識して捲きます。

 

①

 

 

2. ボディーをダビング材でテーパーをつけながら巻いていきます。次にシャンクの後方部分にリビング用のモノスレッドを巻留めます。ボディーが太くならないよう気を配りながら細身にボディーを巻いていきます。

 

②

 

 

3. ボディーが巻き上がったら、ヘッド部分に細く短冊状にカットしたメダリオンシートを巻留めます。

 

③

 

 

 

4. オーバーボディーのメダリオンシートに緩みが出ないように強く後方へ引っ張りながら、同時にリビングでメダリオンを締め付けていきます。

 

④

 

 

 

5. ヘッド部分でリビングのモノスレッドをカットしたら、少しだけボディーの前半部分からダビング材を掻き出して、程よい長さでカットして出来上がり。

 

⑤の1

⑤の2

 

 

さてさて、駆け足で過ぎ去ってしまった2015スカッディーウィークですが、また何か面白いエピソードがあればお便りします。どうか皆さんも今シーズンは始まったばかりですので、良い釣りシーズンをお過ごし下さい。また、釣行時の事故などにも十分にご注意ください。

 

 

-KABU-

 


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