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小甲 芳信

Fly Fishingプロスタッフ小甲 芳信 カブちゃんの北の便り(タイイング:シェニール編)

2015.06.12

カブちゃんの北の便り(タイイング:シェニール編)

本州では渓流釣りの中盤戦を迎える頃だと思いますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?こちら北海道道南ではようやく雪代も収束に向かい、各渓流では良形のイワナも釣れだしてヤマメの釣果も聞こえてきました。

 

さてさて、そんなドライフライシーズンへ突入する北海道ですが、今回はいつものようにご当地フライパターンの手順とともに先日のびっくりハプニングも併せてお伝えしたいと思います。まず、今回の題材となっているシェニールに関してですが、数あるマテリアルの中でもひときわ扱いやすく、またデザインしだいては様々な捕食対象物を表現できることからボクにとってはかかせないマテリアルの一つです。

 

オーストリッジバッガー+(6)

 

そしてなによりもウーリーバッガーやビッチクリーク、ラバーレッグニンフなどに見られるように、今も最前線で活躍しているニンフのベースとなるマテリアルであり、多種多様なサイズとカラーのバリエーションがあること、またほとんどのシェニールが安価であることなどもユーザーとしてはありがたいところです。今回はそんなシェニールを使ったフライで釣れた魚を当日のエピソードと共にお伝えしたいと思います。

 

少し前のお話ですが、晩春のある日、それはいつものように日本海へと出向き海アメ&海サクラを狙っていた頃のことです。その日はあまりにも波と風が強く、ショアで釣りをするには非常に危険なコンデションになっていました。なんとか風裏での釣りを展開しようと試みたのですが、高波とサラシの長さにメゲてしまい、諦めていつもの川へアンダーハンドキャストの練習へと向かいました。その川は道南では割と流量のある河川だけに、雪代が交じるとそれなりの迫力がある流れとなります。いつもの橋の下には先行者が入っていたので、少し上流に向かって車を走らせ超メジャーポイントと言われる場所の下流に降り立ちました。キャス練のつもりで来ていますから場所などどこでも良かったのですが・・・。

 

この川の特徴としては周囲を水田で囲まれていて、それらの排水が随所で流入してくる川であり、それは水質が富栄養化するに十分な理由となっています。それ故、ヌルついた川底にはカジカやウキゴリなどの底生小魚の他にも畦から流れ落ちるドジョウなども多く見受けられます。そんな格好のベイトを多くのマスたちは見逃すはずもありません。水生昆虫の流下にはまだ少し早いシーズンですから、そんなベイトを想定したフライセレクトでキャスティングの練習に勤しむつもりでいました。

 

いまだに重いシンクレートのラインを使ったアンダーハンドキャストはスムーズに飛ばず四苦八苦するなか、この時もヘッド部分を出して目の前の流れ込みに落とし、再びランニングラインを出してだらしなく下流に流れるラインを打ち返しました。どこが悪くてタイミングが掴めないのか、流芯の手前で失速し落ちてしまうライン。首をかしげながら少し長めにとったランニングを指に掛け、ピックアップ動作へ移行しようと視線を前方に移すとフライラインがUの字を書いています。しかもそのUの字がどんどん上流へと動いているような気が・・・・。「アレレ?」気前の良いアメマスが食らいついたのでしょうか……。ほくそ笑んでガッツリとフッキングした途端、なんと恐ろしく太いニジマスが「ドッパ~ン!!」と空高く跳ね上がりました!

 

パワーのあることで定評のあるLOOPロッド14ft#9-10【OPDH9140-4】でしたが、海アメのデカイのを掛けた時だってここまで曲がった記憶はありません。それはもう根掛りしてブンブン竿を煽っている位の曲がり方です。14ftのテップが目線の高さまで曲がっているような気さえしていました。オプティメガループのリールからどんどん出て行くラインを止めるに止められないまま、雪代の増水に乗ったニジマスはいつの間にか遥か下流へと流れ下っていきます。

 

「フックが伸びちゃうかな・・・」そんな不安がよぎる中でも、ラインの先のニジマスは疾走を止めようとはしませんでした。どれくらいのやり取りがあったでしょう、ドキドキのやり取りにどれくらいの時間を費やしたでしょうか。とても長く感じられましたが最後には、疾走の塊がボクの足元に横たわっていました。

 

68cmニジマス+(1)-(2)

68cmニジマス+(4)

 

さてさて、この日結んでいたフライですが、前記したようにドジョウやカジカをイミテーションしたパターンですが、もちろんアトラクター的な要素も多く含んでいて、オールシーズンで使えることと思います。また、カラーバリエーションの他にもラバーレッグなどちょっとしたマテリアルの多様な組み合わせで、皆さんのオリジナルなパターンから様々なベイトに至るまでをカバーできると思いますので、何かのお役に立てれば幸いです。

 

オーストリッチバッガー(ドジョウイミテーション)
フック: TMC5262 #4
アンダーボディー: 毛糸など
テール: マラブー
ボディー: アントロンシェニール
1st リブ: ミラージュ
2nd リブ: オーストリッチ
3rd リブ: モノスレッド

 

1. ウールやナイロンの毛糸をシャンクの半分ほど巻きつけて、ボディーのメリハリを作り、テールにマラブーを巻留めます。

オーストリッジバッガー+(1)

 

 

2. ボディーの後ろにシェニール・ミラージュ・モノスレッドを巻留めます。

オーストリッジバッガー+(2)

 

 

3. 隙間ができないようにシェニールを巻いて、次は逆回転でミラージュを巻きます。この時、緩みが出ないようにしっかりとスレッドで固定します。

オーストリッジバッガー+(3)-(1)

 

 

4. 次にシェニールと同じ方向でオーストリッチを巻き、再び逆回転でモノスレッドを巻いていきます。モノスレッドは、ミラージュと重ならないように気をつけながら巻留めます。指先でオーストリッチを後方に撫で付けてファイバーに方向性を持たせて完成です。

オーストリッジバッガー+(4)-(1)

 

 

非常にシンプルに巻くことができて、釣果も上々のフライです。この他にも、ブラックやオリーブ、ダークグレイといった定番系のカラーで巻いたストックがあれば、様々なベイトのイミテーションとして働いてくれると思います。また、チャートリュースやピーチなどのカラーバリエーションでアトラクターパターンとして使っても面白いかもしれません。

 

 

 


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