Fly Fishing記事 | ティムコ

小甲 芳信

Fly Fishing  プロスタッフ  小甲 芳信   カブちゃんの北の便り「夏ブリとの駆け引き」

2017.08.04

カブちゃんの北の便り「夏ブリとの駆け引き」

前回のお便りでは、シャローを回遊するブリの観察まででしたが、今回はその続きです。

 

前々回のお便りで、ブリには意外にもエサに対する厳しい選択眼を持っていて、その場のノリでは食ってくれないケースもあることをお伝えしましたが、どうやら今回もそのようなシーンに陥ってしまったようでした。シラス同様に捕食対象物が極小であると、フックとティペットの強度に限界が生まれ、逆に強度を保とうとするとイミテーションできないもどかしさ。それはまるでユスリカのマッチザハッチを思わせる状況です。

 

ポッパー

 

また、海釣り、特にフカセ釣りなどを楽しまれている方であれば、細糸の方が絶対的に『食わせ』に有利で、しかもタナが何よりも大事になってくることはご存知だと思います。・・・何か以前にも同様のお話をお伝えした気がしませんか?

 

そうです。それはこれまでお伝えしてきた『海アメ・スカッディーウィーク』の攻め方そのもののようでした。果たしてブリは何を捕食しているのかも解らないまま、パズルのピースが散乱しているかのようで何も手立てを見いだせずにいるボクは、とりあえずTMCソルトフックの中で最小サイズの811Sの#8にシュリンプ・スカッド・クレイジーチャーリーに果てはヘアーズイヤーなど、思いつくままのパターンを携えて時間の許す限りアプローチしていました。

 

色々と試行錯誤を巡らせ、あるときは数ある試作フライの中で、シンカーとしてリードに結んだクレイジーチャーリーがボトムノックをすると、僅かな砂煙が巻き起こり、それに反応したブリが「ビャー!」っと近寄り、フライが目と鼻の先といった距離まで来てやはり咥えてはくれません。

 

ルースニング

 

そこでタナ取りの要領でインディケーターを装着し、ブリが入ってくるコース上にリードフライをBHヘアーズイヤー、ドロッパーにグレーカラーのスカッドのシステムでトライしてみました。一度目はBHへアーズイヤーが巻き起こした砂煙に反応したものの、やはり食わせまでにはいかず、泳ぎ去ってしまいました。次の一手ではリードのスカッドを敢えて明るめのホワイト&ピンクにして、更にはイチかバチかの16lbまでティペットを細めてのリトライです。先週の友人からの電話では、ここいら辺の磯場で掛けたブリがあまりに強すぎて「竿が折れるかと思った!」と言っていたのを思い出しました。

 

「竿折りてぇ・・・・」

 

なんかヘンなテンションにまでなってきました。

 

アプローチしているのは、岸壁から僅か3メートルの距離で水深は1メートル。そしてそのシステムとは紛れもないルースニングです。これではまるで堰堤の上からのイワナ釣りのようで、もはやブリ釣りとは言い難い状況です。

 

10分ほど経った頃でしょうか。5~6匹の群れが入ってきました。インディケーターの真正面で絶好のコースです。しかし、あろう事か、ボクの方で砂の上に鎮座させておいたフライを見失ってしまったのです。

 

「あ・・・ヤベェ・・・・」

 

そう呟いた時でした。タナ取りをしていたインジケーターが、もの凄い勢いで沖へと走り出しました。

 

「うっわ!」

「食った!」

「食った!」

「ホントに食っちゃった!!」

 

「ビシッ!」とアワセを入れると「ブルンブルンブルンッ!」と頭を左右に振り出したあと、ついぞ待ちわびた鬼の疾走が始まったのです。

 

「シュシュシュシュー!!」

 

手元のラインが一気に跳ね上がり、とんでもない勢いですっ飛んで行きます。「よっしゃ、こっから、こっから!」と、自分に言い聞かせ、足元のラインをクリアにした時でした。

 

「ビンッ!ブッ・・・・・」

 

なんということでしょう、ようやく掛けたと思ったのに、跳ねたラインがリールのハンドルに一回転してしまい、勝手に“ガチ止め”させているではないですか!大凡70cmを超える魚体は、4kg近いサイズだったと思います。そんな青物を16lbで釣り上げるには、たったひとつの小さなミスが全てをフイにしてしまうことを強く思い知らされました。(涙)

 

回収したティペットには両方のフライが残っていなかったということは、やはりタナを合わせたスカッドの方を食ってきたと考えても良いのではないでしょうか?この日、僅かではありますが暗く長いトンネルに一筋の光を見つけたような気がしました。針掛りさせておきながら切れてしまってブリの方には可哀想なことをしましたが、ボクはソルトFFの青物であってもミノーも含めて全てバーブレスにしていますので、早期に針が抜けてくれることと思います。

 

さて、こんな珍事にも似た函館近郊の夏ブリ釣りですが、今後も途切れることなく続いていきそうな気配です。この前々の週は、近郊の磯場でトップウォーター系のポッパーフライに、とんでもない水しぶきを上げて出てきてくれた(一気に潜られてブレイク!)ゴリマッチョなブリもいましたし(トップウォーターでの釣りは、ブリのフライへのアタックが超ド派手に出てきてくれます。ボクは最もエキサイテイングな釣り方だと思いますので、皆様も一度試してみては如何でしょうか?)、ポッパーフライの後方1メートル弱を何度も追尾してきたブリもいました。一方では“夏場のお約束”なのか、相変わらず沖では数百匹の単位でシラスにボイルしているブリなども見られるようになってきました。

 

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また、川や湖を問わず特大ニジマスハンターでもある友人は、道北方面へ遠征し、ブリ釣り初挑戦にも関わらず、数百メートルも走るであろう“ナブラ・ダッシュ”をものともせずに、特大のブリを立て続けに釣っていました!ボクはアタックしたことがない地域なのですが、この時期は道南のブリの不安定な接岸のタイミングを考えると、ベイトが安定している道北の方が釣れる確率は高いのかもしれません。ですが「闇雲に投げれば釣れる」というものではありませんから、キャスティングやプレゼンテーション、そして魚に対する観察眼などが揃った上での結果だと思います。

 

最後になりますが、今後の夏の釣りにとって十分な注意が必要となる事をお伝えしておきます。それは、8月ともなると強い日差しと海面からの照り返しも一際強さを増してきます。しかし、海風に吹かれるとその気持ちよさについつい腕を出し、半袖などになりますが、その後の日焼けによる皮膚の炎症を考えると、やはり長袖での釣りをお勧め致します。

 

幸い現在では、発汗時に真価を発揮する通気性と速乾性に優れた素材であり、またシャツと地肌の間に生まれる熱を滞らせることなく放出する生地のシャツが次々と販売されていますので、強い日差しの下でも快適に釣りができるようになりました。フォックスファイヤーでも販売されているボーダーポロや、SCガイドジャケットなどが代表的なウェアーですので、一度チェックされてみてはいかがでしょうか?

 

結果的にはラインブレイクという失態で釣り上げることは叶わずじまいでしたが、今後もタイミングを見計らい『シャローのサイトフィッシング』やオフショアのシイラ、そして秋の戻りブリと、ますます意欲が沸いてきました。ボンヤリしているとあっという間に過ぎ去ってしまう北海道の夏ですが、今後も地元の少ない友人らと共にフロンティアを求めブリへの挑戦は続いていきますので、もし「自分もフライでブリを釣ってみたい!」と思われる方は、いつでもご連絡ください!

 

それではまた面白いシーンに出会えたら、皆様へお便りしたいと思います。

 

 


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