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Trout Fishingプロスタッフフィールドインフォ 水沼智宏 「藪を抜けたその先に」

2017.05.30

水沼智宏 「藪を抜けたその先に」

5月下旬。真夏のような気温になった前日、前々日とは打って変わっての曇天に小雨。仕事の休みが取れたので宮城県の某渓流へと向かいました。到着したのは正午過ぎ。水量も若干高めで、タイミング的にはベストなはずとレインウエアと万が一の為の膨張式のライフジャケットを腰に巻きタックルを準備する。規模的には渓流域なのでEH53Lでちょうどいいのだが、ロングキャストが必要な場面もあるだろうとEH64ML-4をチョイス。

 

向かった場所は数年前に仲間と一度歩いた区間。駐車スペースに車を停め、しばらく歩く。確かこの藪を抜けるといいポイントだったはず‥藪を抜けた瞬間、いいポイントのいい流れに鴨が2羽‥目が合ってしまい、大きな水音を立てながら飛び立って行ってしまった‥.。

 

さすがにダメだろうと、数投するも当然ながら無反応‥気持ちを切り替え上流へと向かう。腰まで水に浸かりながら川を渡りしばらく歩くもチェイスすらない状況。歩きにくい区間と思ったのだが、考えることは皆同じなのだろう‥足跡もあったので竿抜けと思われる場所や、水深のある場所ではボトムを意識しながら釣り上がっていくと徐々に反応が出始めた。ところがなかなかルアーを喰うまでに至らない‥低活性の魚に大苦戦するも退渓地点付近まで歩き、ようやくまずまずの型のヤマメを釣ることができました。

 

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一旦車まで戻り、まだ時間があったので上流へいこうか下流へいこうか‥悩んでいるときに、ふと入渓時の鴨を思い出した。だいぶ時間は経っているしダメ元であのポイントだけやってみようと何故か先ほどの入渓点へ向かっていた‥正直、この展開でいい思いをしたことは一度もないのだが‥.。

 

藪からそっと川を覗くと鴨はいなかった。静かに準備し手前の流れにシュマリ50FSをキャストすると18センチくらいのヤマメがチェイスするのが見えた。魚はいる。奥の流れにもきっとヤマメがいるだろうとキャストしたシュマリ50FSの後ろに何かが見えた!一瞬茶色の背中も見えたのだが魚種が分からない。明らかに尺を超えている大物だった!次の一投が勝負!

 

魚の目の前を流すようなイメージでシュマリ50FSを通すと狙い通り喰った!が、アワセた瞬間にすっぽ抜けてしまった‥.。やってしまった‥魚の姿は見えなくなり何度か同じ流れを探ったのだが、反応はなかった。ただフックが刺さった感覚もなかったので、もしかしたらまだチャンスはあるかもしれない。立ち位置を変えたりロッドの角度やルアーのレンジ、ターン位置などを変えながら流れを探る。

 

30分弱は粘っただろうか‥やはりダメだったか‥と、軽くトゥイッチをした瞬間、ドンッという衝撃と共にエンハンサー64ML-4がバットからぶん曲がった!さっきのヤツだ!!!流れの中でローリングしている!ヤマメか?とっさに上流側に走りロッドを寝かせ、耐えていると今度は流れの真ん中にある岩の裏に入り込んでしまった。PEラインが完全に岩に擦れてしまっている。また川の中を走りロッドで岩をかわすと、今度は魚が手前に走り自分の周りを一周し、また岩に突っ込む!エンハンサー64ML-4が綺麗に曲がり魚の引きを吸収してくれていた。

 

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無事にネットに収まった魚は41センチ。この魚に出逢うまでの出来事や出逢ってから掛けるまでのプロセス、掛けた後のやりとりなど、数日経った今でも鮮明に思い出せるくらい印象に残る、価値のある1匹でした。

 

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リリースすると弾丸のように流れの中に消えていってしまった‥きっとこの川を訪れるたびにこの魚を思い出すだろう。いつかこの魚の子孫達と出逢えることを楽しみに渓を後にしました。

 

 


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