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Bass Fishing社員ブログ 感動と興奮のJBトップ50第2戦 開発担当の観戦記。沢村幸弘、ベイトフィネスで遠賀川を制す。 Part 4

2013.06.17

感動と興奮のJBトップ50第2戦 開発担当の観戦記。沢村幸弘、ベイトフィネスで遠賀川を制す。 Part 4

いよいよ運命の決勝日。試合全体でこの決勝が最も難しいのは、なんといっても試合時間の短さです。初日、2日目は帰着が3時ですが、3日目の決勝は1時。2時間もの短縮です。しかも朝の8時までは全域デッドスロー走行が義務づけられた今回の遠賀川戦では、決勝でのフィッシングタイムをいかに確保するか、が選手たちの課題の一つであったと思います。

決勝日は予選を通過した30名で競われるので、選手の人数が約半減します。これはプラス要素です。遠賀川のようにピンスポット争奪戦の色が濃いフィールドでは、決勝は多少なりともスポットへ入りやすい、また移動もしやすくなる可能性が高まります。有効となるスポットをたくさん持っている選手にしてみれば、決勝こそ勝負をかける、全開で釣りきってしまえる場だと言えます。沢村選手の場合、2日目終了後の話では3匹を確保した時点で決勝のスポットを温存しながら釣りをしたとの話でした。結果的には4キロ超えを果たしているのですが、ぶっちゃけた話、1.5~2級スポットを使って釣ってきたというわけですから、決勝は前述の要素を加味すれば相当余裕を持って臨めたのではないでしょうか。

不安要素を挙げるとすれば、公式プラ、本戦を通じて初めて天気が崩れることです。朝から雨が降っており、気圧もぐっと下がっていました。ローライトで低気圧、雨、となるとピンスポットにタイトに着くバスが活発に動いていきかねない状況です。セオリーから言えば、巻物、ハードベイト日和ということになります。予選の沢村選手の戦いぶりからみてメインがベイトフィネスによるピンスポット直撃であることは疑いようもなく(シャッドを巻いている時間もあったが)、もしこの天候がピンスポットから魚を消してしまうことにでもなったら、波乱の展開もあり得る、という状況でした。

3-1
「雨の中、タックルをデッキに並べる北選手。この試合初めての雨ということで、予断を許さない展開になると思われたが・・・。」

決勝がスタートして、Basserの記者が同船している沢村選手は当然、ツイートは無し・・・・っと思ったらなんとS記者がツイート?そのツイートに基づいて沢村選手の決勝を振り返ると・・・。

6:57 スタートフィッシング。
8:07 キーパー1匹目をキャッチ。
8:19 キーパー2匹目をキャッチ。

9:11 キーパー3匹目をキャッチ。

と、9時過ぎの時点で3本のキーパーを確保していることがわかります。7時前に釣りを開始して、1匹目をキャッチするのに1時間強の間がありますが、これはおそらく8時のデッドスロー解除を機に移動して、それからすぐにキーパーをキャッチし始めたと推測されます。

正直言えば、私自身、この時点で勝負は決したな、と思いました。沢村選手の持ち込んでいる魚は予選2日間の平均が900gを超えています。となれば3匹のキーパーを確保した時点で3キロに迫るウェイトをキープしたと考えるのが妥当でしょう。予選2日間では3キロだと単日5位~6位といったところですから、決勝を前に2位と5ポイント差でスタートした沢村選手の場合、決勝単日で5位以内ならば優勝が確定する、という展開だったわけです。しかもこの朝の早い時間に3匹を釣ったとなれば、更なる魚の追加もほぼ確実。ずいぶん気楽な気持ちで決勝のウェインを迎えられそうでした。

そしてその予想を後押しするかのように、更なる情報が入ってきます。

9:23 キーパー4匹目をキャッチ。
9:43 リミットメイク(5匹目キャッチ)。

なんと、10時を前にしてリミットメイクです。試合結果によれば、決勝日にリミットメイクできたのはわずかに5人でした。もはや優勝は決まり、興味はどこまでスコアを伸ばすのか、他を圧倒するのか、になってきました。

9:54 沢村選手のヒットシーンに遭遇(陸上からのツイート)。

このツイートで釣果の情報は終わりましたが、入れ替えに成功した可能性もあるということがわかります。

では、北選手の場合はどうだったのでしょうか。同じようにオブザーバーのツイートで振り返ってみます。

7:12 スタートフィッシング。
7:34 小移動。

7:44 エレキを下ろしたまま、小移動。

と、スタート後も小刻みな移動を行っていることから、やはりラン&ガンスタイルを貫いていることがわかります。試合前に「止まったら負け。攻め続けること」を念頭に置いていた北選手。自らの戦略、信念を試合中に貫き通すことは実に大変なはずですが、どうやら自らの釣りを出来ているようです。

7:59 強烈なバイト。フックを伸ばされてバラシ。

ここで痛恨のミスが出ました。公式プラから北選手がフックの選択に悩んでいたのは、試合後に釣具店へ買い物に同行した時に聞いていました。フックが伸ばされたということは、その懸念が当たってしまった、ということでしょう。

後に北選手はその原因を以下のように語っています。
ショートディスタンス(10m以下)だったということ、テクナPMXのプロトモデルを使用していたため、ロッドに不慣れだったこと、テクナPMXが非常にトルクフルなロッドだということ、Newラインだったこと、試合のためにいつもよりも力んでしまったこと。その全てがフックに負荷を掛けたのかもしれない。」

プロトモデル供給する側としては、心苦しいところもあるのですが、やはり真剣勝負の場で試してこそ、ロッドの完成度は高まるというもの。トップ50トーナメントは究極の実験場でもあるのです。

8:24 大きくエリア移動。
8:49 エリア移動。
8:57 エリア移動。
9:17 エレキを下ろしたまま小移動。

9:30 小移動。

ワンスポットで15~20分程度しかかけない、ラン&ガン。バラシによってメンタルが崩壊しても不思議ではありませんが、攻め続ける気持ちに変化はないようです。そうしてその姿勢がようやく実を結びます。

9:34 キロアップ、キャッチ。

ついに決勝の場で貴重な1本目をキャッチすることに成功しました。サイズもキロアップ!もう1匹、同サイズをキャッチできれば表彰台を確実にできるはずです。

その後も攻めの姿勢を貫き通した北選手。途中巻物を手にするシーンもあったようですが、基本的にはラン&ガンで貫いた決勝だったようです。

3-2
「北選手、帰着。攻め続けた3日間でした。」

最終日のウェイン会場は九州のアツいバスファンで賑わいました。雨天でもこの集客ですから、晴天ならばもっと多くのギャラリーが駆けつけたでしょう。その前で戦いの成果をお披露目できる選手はわずかに30名。自らの存在をギャラリーに印象付けることができるのは日本のトップカテゴリーに参戦できるわずかな選手たちの特権です。

3-3
「北選手の最終日。1230g/1匹。サイズに恵まれたので単日11位。」

北選手の最終順位は4位。見事に表彰台に乗りました。結果を見てみると、1度もリミットメイクに成功していない選手としては最上位です。初日3匹、2日目3匹、最終日1匹。計7匹の合計は6080g。1匹平均は868gと、試合全体の平均をおよそ300g程度上回る結果となりました。徐々にウェイトを落としていったものの、クォリティーフィッシュを追い求めた、まさに攻めの姿勢が結果につながったと数字も証明しています。

さて、沢村選手はツイートの結果を見ても分かるように、決勝も順調に、むしろリミッターを解除したかのごとく釣りまくり、早々にリミットメイク。当然のことながら早めの帰着です。

O
「早々に帰着を済ませ、検量を待つ沢村選手。予選トップのため最終ウェインとなる。」

検量を待つ間もどことなく余裕を感じる沢村選手。やりきった!という充実感、会心のゲーム運びができたという満足感、そういった雰囲気を感じました。

O
「ウェインバッグへ魚を移す。沢村選手はこのような作業も無駄なく手早く済ます。フック飲みの確認、入れ替えマーカーの除去など、なんというか、すべてがスムース。」

予選2位の川口選手もリミットメイクに成功しており、沢村選手の直前でウェインに向かいます。川口選手が破壊的ウェイトを持ち込み、さらに決勝単日の成績で沢村選手と川口選手の間に数名が入り込んでこない限り逆転はないのですが、トーナメントは何が起こるかわかりませんから、ギャラリー、メディア、選手がじっと見守ります。

O
「川口選手のウェインを見守る沢村選手。一瞬緊張の面持ち。」

O
「川口選手のウェイトがコールされた瞬間、笑みがこぼれる。勝ちを確信したか。」

そして最終ウェインとして沢村選手が検量台へ。そのウェイトは・・・・。

4125g!最終日に再びトップウェイト!ウェイトがコールされると同時に、優勝決定も宣言されるという、まさに圧巻の勝利でした。

沢村選手のトップカテゴリー優勝は3度目。実はかなり久々です。早明浦ダム、琵琶湖全湖に続く3勝目ですから、10年以上ご無沙汰だったということになります。また、この遠賀川というフィールドと極めて相性がいい、得意としている、という点も見逃せません。過去の成績を紐解くと、

2010年クラシック:初日2位、2日目1位、総合1位。
2008年トップ50 :初日1位、2日目4位(予選1位)、総合4位。
2005年クラシック:初日2位、2日目6位、総合1位。

と、尋常じゃない強さ、安定感です。遠賀川はこの間、大水が出た影響でフィールドコンディションが激変したとされているにもかかわらず、です。沢村選手の遠賀川攻略のタクティクス、メソッドが、すなわち遠賀川最強への条件と言えるでしょう。九州超メジャーフィールドであり、トーナメントエリアでもある遠賀川。ここを制するためには沢村選手こそお手本であり目指す姿であるのです。

O
「最終日のキッカーフィッシュ。優勝を決めた安どの表情がイイ。」

さすがに、優勝を決めた沢村選手とグータッチを交わしたときには涙があふれました。思えば開発担当としては15年の付き合いになります。憧れの存在から、ともに開発を進める関係となり、こうして共に喜びを分かち合える。こんな素晴らしいことはありません。

O
「遠賀川戦優勝。内容、結果共に選手もメディアもギャラリーも魅了した、パーフェクトな勝利でした。」

今回久しぶりにトップ50全日程を間近で観戦することで、このカテゴリーで戦うことの厳しさ、素晴らしさを肌で感じることができました。そしてただ出場するのではなく、自己の存在意義、プライド、名誉を掛けて戦う場、それがトップ50であると再認識しました。我々がサポートするティムコプロスタッフの3名、沢村、北、山岡の各選手は、激しく、アツく、時には泥臭く、戦ってくれています。彼らの本当の凄さは今の日本ではなかなかうまく伝わらない、理解されないかもしれませんが、彼らをサポートし続けていきたいし、ともに仕事できることを心から誇りに思います。

我々の出来ることは、ベストなタックルを供給し続けることだけです。彼らが活躍することで、我々のタックルの優秀性を証明してくれるのです。

3-10
「沢村選手のウィニングタックル。言うまでもなくベイトフィネス。始祖にして最先端、それが沢村選手のベイトフィネス。」

ロッド、ルアーなどのタックルやボートなど、装備面などのネタは後日改めて記事にしますのでお楽しみに。

長文、お付き合いいただきありがとうございました。出来れば毎試合書けるといいのですが。勝っても負けても、トッププロの釣りには学ぶところがたくさんあります。

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