バス開発担当の鬼形です。
JBトップ50第3戦・東レソラロームカップが7/19~21に北浦水系で開催されました。
本来なら最初の2日間を予選、最終日を決勝とするフォーマットで開催されるトップ50ですが、今試合は初日が強風荒天のためキャンセルされ、2日間に短縮、予選カットは無しというフォーマットに変更されました。
トップ50が荒天を理由にキャンセルされるのは非常に稀なことで、このことが試合の流れ、選手のプランに影響を与えたことは間違いないでしょう。選手は3日間戦い抜くことを前提としたプラを行うわけですが、日程が短くなったことでプラスに働く選手とそうでない選手がいるのもまた事実。イレギュラーなフォーマットになったこの試合では、状況を冷静に受け入れる精神的余裕と、短くなったが故に最初から最後まで全開で釣りぬく力が求められる試合になったと思います。
既報通り、この試合を制したのは北大祐選手。悲願のトップ50初優勝を、「最も勝ちたいフィールド」と自らが語る北浦水系で成し遂げました。
私を含むサポートチームは遠賀川戦に引き続き、直前公式プラクティスより現地入り。同船プラから試合後の表情までを密着してきました。勝者である北選手だけではなく、沢村選手、山岡選手にもそれぞれの思惑があり、ドラマがありました。数回にわたり出来る限りティムコチーム3名の内面に迫ったレポートをお送りしたいと思います。
公式プラクティス 「山岡選手の場合」
公式プラ初日。わりと穏やかな湖面に山岡選手のレンジャーで出撃。プリプラクティスで北浦本湖に好感触を得ていた山岡選手は、本命視していたブレイクにヘビキャロを投入。一投目でキャッチすると、その後は温存し、サブとなるであろう場所をいくつかチェックしていきます。クイ、ドック石積み、ドシャローのブッシュなどをまわっていくと、行く先々で小さいながらもキーパーをキャッチ。
「この日はメジャー場、大場所のチェックからスタート。想像以上に他選手が少ないのに驚き。」
「正直、調子がいいですね。もう釣らなくていいです。」
と山岡選手。本命視していたブレイクとその周辺にあるクイやドッグなど、サブ的スポットでも魚に触れることは、効率的な釣りができるということでも好感触と言えるでしょう。
「本命視していたスポットからすぐに反応を得た。これ以降はサブの場所、もしくは本戦では使用しない場所のチェック。」
ここまでは北浦本湖西岸を中心にチェックしてきたのですが、東からの風(北浦の場合、海からの風となるため、荒れることが多い)を想定した場所探しということで、東岸の風裏になりそうなスポットをチェック。残念ながら東岸で期待していたエリアはかなりしつこく探ったのですがバスをキャッチは出来ず。
何カ所か東岸をまわったのちに、入った乱グイで、ナイスサイズをキャッチ出来ました。
ここまでの釣果は、ブレイクではキャロ、残りはバックスライドノーシンカーによるもの。私が釣った魚はベイトフィネスによるネコリグでしたが、バイトはフォール途中でした。
「魚が浮いているのかもしれない。」
ヘビーダウンショットリグにフラッピンホッグJr.をリグり、クイを撃てば、数投でナイスサイズからの答えが返ってきます(バレちゃいましたが)。
同船している私の目から見て、山岡選手はいわゆる大場所(有名場所)とその周辺を釣ることが多いように感じました。試合本番のバッティングが気になるところですが、その点については
「過去の試合でも、意外と大場所は空いてるんですよ。みんな避けるんですかね?」とのこと。とりあえず好感触のまま、公式プラ初日を終えました。
「バックスライド系ノーシンカーでキャッチ。このサイズを何本釣るか、が重要になると予想した。」
公式プラ最終日。この日のプランは「やらない場所を釣る」ことです。山岡選手にとって試合のプランに組みこむつもりのない場所を釣ってみて、他選手の動向や釣れ具合、試合で必要なウェイトを把握するのが狙いです。試合で行くつもりのないエリアなので、容赦なく釣ります(笑)。
流入河川ではベイトフィネスクローのパンチショットにて私がナイスサイズをキャッチ。やはりフォールで食っていました。本湖が大荒れになった場合には、風を避けることができる流入河川はありでしょう。
「PDLベイトフィネスクローの2.7gパンチショットリグで。ロッドはTPMX66CLP+J。」
その後は常陸利根川や外浪逆浦の有名場所をチェックして、数本のバスをキャッチしてプラを終了しました。
「常陸利根川のメジャー場所で出たナイスサイズ。他選手とのバッティング必至のスポットなため、試合で使う可能性は低い。」
常陸利根川、北利根川が魚の濃さでは圧倒的に優れているという点は山岡選手も十分認識していました。にもかかわらず両河川を試合で使うエリアとしなかったのは、「釣りの時間を長く取りたい」「バッティングを避けたい」という理由からでした。
スタート地点から遠い上に、デッドスローエリアを通過しなくてはならないので釣り時間が短くなる、もしくは移動を控えてしまうことを避けたいとのこと。バッティングについてはやはり選手が多く、水門やゴロタエリアなど場所も被りまくりなので、リズムが狂う、釣り勝たなくてはならない状況を避けたいということでしょう。
公式プラ「北選手の場合」
北選手も公式プラ初日は北浦本湖をざっとチェックしたようです。初日終了後の話では「どこでも釣れる。プラのし過ぎで持ち場所が多すぎて困るぐらい。」とかなり強気な発言も聞かれました。
最終日は山岡選手同様に、本番では行く可能性の薄いエリアのチェックを行っていました。具体的には霞ヶ浦本湖、北利根川などです。直前プラの感触から、霞ヶ浦本湖、北利根川などは排除、北浦本湖のポテンシャルの高さを再認識したようです。
「霞ヶ浦本湖にある石積みをチェックする北選手。霞ヶ浦では全く良い反応を得られず。」
「プラの最後に軽く北浦を触ってみると、小さいながらも簡単にバイトを得た北選手。この時点で試合のプランは北浦本湖でほぼ確定したと思われる。」
公式プラ「沢村選手の場合」
沢村選手は霞ヶ浦本湖を中心としたプラを行っていました。北浦本湖や常陸利根川方面はプリプラの段階から切り捨てていたように感じます。沢村選手はプリプラ開始前にはまず勝つためのパターンを探すことから始めます。常に勝ちを意識し、なおかつ自分のスタイルに当てはまるパターンを構築し、優勝を目指すのがサワムラ式。1匹のクォリティが高いリミットメイクをすれば5キロ、6キロも狙える霞ヶ浦本湖を重点的にプラしたのも当然の流れと言えるでしょう。
「北利根川で北選手としばし談笑する沢村選手。北浦についてはほぼ切り捨てていたらしい。」
しかし感触としてはさほどおもわしくなかったようです。事実、試合スタート前に聞いた話では「何本も釣って入れ替えて・・・って展開じゃないよ。2本、3本で3~4キロの可能性があるのが霞ヶ浦本湖だからね。」と話してくれました。
プラ初日はレインウェアを着込んでも寒くて震えるくらいの冷え込み、最終日はかなり堪える暑さ。そして夕刻には吹き始めた北東風。いつものことですがこの水系の試合は、状況の変化に的確に対応する力、まさにその瞬間を釣る能力が問われる試合になります。
ティムコチーム三者三様の直前プラを終え、いよいよトップ50第3戦が始まろうとしていました。
Part1