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Bass Fishing社員ブログ 「勝利へのターニングポイントを目撃。北大祐が制したトップ50第3戦」開発担当の観戦記 Part2

2013.07.25

「勝利へのターニングポイントを目撃。北大祐が制したトップ50第3戦」開発担当の観戦記 Part2

Part1からの続き

7/19 JBトップ50第3戦 「初日キャンセル」 

迎えた初日の朝、北東風が強く吹きつけていたため、会場となる潮来マリーナスロープは大荒れとなりました。潮来マリーナは強固な壁があるため、その跳ね返りの波が三角波を作り出し、複雑なピッチでうねる湖面に、スタート準備であらかじめランチングされ桟橋に係留された数十台のバスボートが激しく揺さぶられます。
風は一向に弱まる気配もなく、遂には係留していたロープがブチ切れ、危うく数台のバスボートが座礁しかかる始末。潮来マリーナドッグ内に避難して大事には至らなかったものの、ラッピングがはがれたり、エンジンカウルが破損したりと、選手にとっては朝からブルーな状況に。

しばらく待機、数度の協議を経て初日は強風のため中止と決定しました。

トップ50の選手レベルであれば、あの風の中でスタートしても、行きたい所へ走っていくでしょうし、釣果も出たでしょう。事実、過去にこれより強風でも試合を続行したこともありました。
しかし、帰着予定前後に最も強く風が吹くと予想されており、風下のスロープではランチングが困難になる、危険度が増すという部分と、日本を代表するトーナメント団体である以上、一般アングラーの範となるべき判断を下すという視点から、安全マージンを多目にとった判断は正しかったように思います。

初日が無くなり、全日程が2日間に短縮。しかも予選カット無しのとなった時点で、各選手の試合マネジメントは変更を余儀なくされたはずです。3日間安定して釣ってくることが勝利への近道である通常のトップ50ですが、2日間となれば1日目をハズすと上位フィニッシュの可能性が極端に下がります。マイエリアを3日間ではなく2日間保てばいい、となると、戦略は自ずと変わらざるを得ないでしょう。

私はまず、沢村選手にこの点を聞いてみました。なぜなら霞ヶ浦本湖勝負であることが確実な沢村選手は毎日リミットメイクして、ウェイトを積み上げるという展開ではなく、キッカーフィッシュをプレッシャーの低い霞ヶ浦本湖の大場所から毎日数本獲って、ウェイトを稼ぐ、という戦略が基本ベースとしてあったからです。

「俺個人としては、初日キャンセルはネガティブ要素ではないよ。この風はマイエリアの釣りにはマイナスだしね。」

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「沢村選手は初日キャンセルをポジティブに受け止めていた。」

沢村選手の軸はベイトフィネス。霞本湖の沖の地形を釣るにあたって強風は避けたいでしょう。また2日間なら続けてビッグウェイトを出す可能性も上がります。沢村選手にとってこの中止は追い風になったかもしれません。

北選手の場合はどうだったのでしょうか。プラでは持ち場所が多過ぎて困る、という強気な発言をしていただけに、日程が短くなるよりは3日間あった方が差をつけやすいはずです。また、ランガンで試合を組み立てていくスタイルなので、短期決戦よりは長い時間釣りをして試合中にパターンを煮詰めていく方が有利だと言えます。その点について北選手は、
「2日間になったら毎日全開で釣り切るだけ。ただ状況変化の激しいフィールドだけに、初日は朝から全部試しますよ。行けるところは全部行くし。だからタックルが増えるんですよね(笑)」
と語ってくれました。

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「キャンセルが決まってチームメイトの山岡選手と談笑。緊張が緩んだ瞬間。」

キャンセルになった日は、ティムコチームも我々も暇を持て余していました。結果、昼食を食べに入ったファミレスで長居をすることに・・・。
 

7/20 Day 1「釣れる」試合の始まり。
明けて7/20。実質試合初日。風は相変わらず強く吹いていましたが、ボートのランチングをスタート順に合わせて行うことで、桟橋に係留する必要が無くなり、荒れた湖面に選手達は次々とスタートしていきました。

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「荒れる湖面に勇躍スタートする北選手。いよいよ勝負の時が始まる。」

我々サポートチームはティムコチームを追ってトーナメントエリアを車で岸から走りまわりました。常陸利根エリアから鰐エリア、北浦本湖を湖岸線沿いに走るのは結構骨が折れるものです。沢村選手はおそらく霞ヶ浦本湖のため追いかけるのは断念しましたが、北選手は朝から全域を釣っていく可能性があるので、まずは常陸利根エリアを目指しました。
到着して目の前に現れたのは青木大介選手。常陸利根の護岸沿いをライトリグで丁寧に、しかし手返し良く探っています。一見何もないように見える護岸ですが、岸沿いにゴロタが沈んでいるので、護岸の壁とゴロタ部だけを探り、即ピックアップして次のキャストへと移ります。風裏とは言えそれなりの影響を受ける場所を極力エレキを踏むことなく静かに流してく様はサスガでした。

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「護岸を釣る青木大介選手。サイトマスターPROモデルとBOILのジャケット。イメージカラーのブルーでキメて、カッコいいです。」

常陸利根エリアでは選手の往来を多数見ることが出来ました。とある水門まえで待ち構えていれば、入れ替わり立ち替わり選手が現れます。同じ水門を打つのにも各選手のアプローチの違いを見ることが出来て、それはそれで興味深かったのですが、ティムコチームの姿は見えず。これは北浦本湖上流域だろうと判断して、一気に潮来マリーナよりも上流へ車を走らせました。
 

 北、沢村、山岡、それぞれの初日。
JBホームページに掲載されている選手同船のオブザーバーによる写真を確認すると、北選手は朝早くは北浦下流の流入河川(私が公式プラで山岡選手と入った川)に入っていました。そこではキャッチすることが出来ず、徐々に北浦本湖を北上しながら、石積みやドック周辺、クイ、アシをスピナーベイト、テキサス、ヘビダンを織り交ぜながら釣っていったようです。1匹目はジャストキーパー。2匹目はワンド内でスピナーベイト引いてキャッチ。3匹目はグッドサイズをドック周辺から引き出し、4匹目はアシ際で釣っています。数は順調に伸ばしているもののサイズはそれほど大きくもなく、この時点では上位をうかがうペースとは言えません。日が高くなっておそらく釣り方をシフトした5匹目はキロオーバーのキッカーフィッシュ。リミットメイクに成功しています。
その後もランガンを繰り返しながら数本をキャッチ。終了直前にキロオーバーをキャッチして入れ替えにも成功し、帰着しています。

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 「スピナーベイトをキャストする北選手を護岸の道路から発見。この時は様々な釣り方を試している様子だった。」

北選手は結果として優勝するわけですが、初日の時点では広く大きく探りながらの釣りを展開していたことが分かります。場所も釣り方もバラバラである意味広い釣りに近い展開です。キャンセルになった初日は夜も北東風が吹き続けており、風下は相当な底荒れと濁りが入っていましたし、水温も水位も公式プラ中にどんどん下がっていました。となれば状況の変化は当然で、その確認作業とキーパーをキャッチしていく作業を同時進行させていたように感じます。生きているエリア、有効なタイプオブスポット、使えるリグ、ルアー。それらを初日のなるべく早い間に把握したい、そんな考えです。

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「ロッドから想像するに、使用リグはヘビーダウンショット。巻物の釣りから、縦ストラクチャーを打つ釣りまで、この日は多彩な攻めを繰り出したようだ。」

沢村選手は霞ヶ浦本湖下流域の一文字周辺から、岸よりの壁を打ってからさらに本湖を北上したことが分かります。本命エリアは北東風の影響でザブザブとなり、アプローチも困難な状況。果敢にナックルペッパータイニーのクランキングで釣り続けるもキャットフィッシュの猛攻を受け、見切りを余儀なくされたようです。
その後、エリアを変え、マンメイドストラクチャーと流入河川でキロフィッシュをキャッチすることに成功して2匹での帰着となりました。

山岡選手は本命視していた北浦本湖のブレイクで予定通り3匹をキャッチ。クイなど数カ所をまわってリミットメイクに成功しています。クイで釣った魚がキッカーとなる1500gフィッシュ。この時点でクイの有効性には気付いたようですが・・・・。

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「北浦本湖で山岡選手を発見。既にリミットメイクに成功していました。」

また、懸念されたバッティングは本命エリアで起こっていたようで、移動した後に入った選手が数本キャッチするなど、翌日に不安を残す展開となりました。

初日のウェインの結果は、北浦水系戦としては「釣れる」展開になりました。トップウェイトは驚きの5キロオーバー。3キロで10位、2.5キロで20位、2キロで30位ということで3キロ釣って混戦から抜け出すという釣れっぷり。リミットメイクは16名が達成しました。

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「ウェインが始まると、想像以上に釣れている。ウェイン待ちも長蛇の列に。」

北選手は3610g/5匹で5位。順位は良いのですが、短期決戦なためトップとの重量差1600g超は優勝を狙う上では痛いところ。「明日3キロ釣っても、トップは1キロ釣ったらウェイト差を詰められない・・・。」ウェイトポイントが順位に付加されるトップ50ではハイウェイトは大きなアドバンテージなのです。

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「初日は3610gで5位。順位としては上出来だが、優勝するためには最終日はトップウェイトを出したうえで、上位が崩れることが条件となってしまった。」

沢村選手は結局リミットメイクに失敗し、2064g/2匹でウェイン。初日29位と大きく出遅れてしまいました。常に優勝を意識するのがサワムラ式ではあるものの、この順位では優勝は絶望的。年間順位を大きく落とさないために、明日どうするか。霞ヶ浦本湖パターンは手堅さを求めるパターンではないだけに、個人的には非常に興味のある最終日になると思いました。

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「サイズは良かったため、何とか踏みとどまった初日。本命場所のポテンシャルを発揮さえすれば・・・といったところだろうか。」

山岡選手はリミットメイクに成功し、2992g/5匹で11位。最終日次第ではお立ち台も狙える位置に付けました。心配なのはバッティング。1カ所で3匹の固め釣りをしただけに、そのスポットがバッティングしているのは懸念材料です。他のエリアを釣るのか、キッカーパターンであるクイをいかに釣っていくのか、が課題なように感じました。

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「キッカーフィッシュとなった1500クラス。クイでヘビーダウンショット・・・。」

初日を観戦した感想としては、北浦下流域、常陸利根などは選手が多く、バッティングも多発。釣り合いになっているため2日目はウェイトを落とすだろうと思いました。反面、北浦本湖については想像以上にガラガラで、戦前の山岡選手のコメント通り、メジャースポットですらバッティングは皆無。ただ皮肉なことに山岡選手の本命場所だけがバッティングしていました。
ランガンを身上とする北選手の場合、強風でエリア制限される中でも、釣り放題だったはず。

最終日は風が弱まる予報。北浦本湖がさらに良くなる可能性が高くなります。あとはパターンをいかに見つけて、ハメるか、北選手の命運はそこにあるように感じました。

Part1 Part2 Part3

 


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