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Bass Fishing社員ブログ 北大祐、優勝!2014年JBトップ50第1戦「七色ダム」、開発担当の観戦記

2014.04.10

北大祐、優勝!2014年JBトップ50第1戦「七色ダム」、開発担当の観戦記

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JBトップ50第1戦は北大祐選手の優勝で幕を閉じました。昨シーズンの第3戦(北浦)でトップ50初優勝を飾り、そのまま一気に年間王者まで上り詰めた北選手。今回の優勝は、その勢いをそのままに、むしろ昨シーズン得た自信と成長を感じるに十分な内容の優勝となりました。

今回は山岡選手の直前プラクティスに同船。北選手と併せて試合終了まで現地取材を重ねました。2014年シーズン開幕戦にして、最大の鬼門とも予想された七色ダム戦の内側をレポートします。
 


試合前 「サイト戦・・・か?」  

2回に分けて計9日間のプリプラクティスを行った北選手。状況変化の激しい早春ということで、七色ダムのバスのクセ、好みの把握に努めたようです。これは地元の山岡選手と一緒に私が釣りをした際に目撃することなのですが、ちょっとしたアクションの違い、形状の違い、レンジの違いなどでバスがバイトに至ったり、至らなかったり、あるいは逃げたり寄ってきたりするのです。言うまでもなく、魚探を駆使した地形や沈みもの、立木などの把握は北選手の得意とするところであり、徹底的に七色ダムを調べつくしていました。

「なんだかんだ言ってもサイトの魚を狙わないわけにはいかないですよ。超天才バスばかりですけど。」

夕食時に会ったサイトの名手として知られる某プロが「見えている奴ら(バス)しか狙わないけど、相当難しいよ。1匹釣ったら褒めてやりたいくらいだよ。」と語ったことからも、西の川、北山川などで多数目撃される見えバスが難易度MAX級だということがわかります。

 


初日 「9位スタート」

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「スタート前に思案顔。綿密なプランを組み立てても、大事なのは状況変化への対応力だと彼は知っている。」

スタート順が早ければ、サイト勝負の展開を考えていた北選手。しかしスタート抽選の結果は25番。これでは見えバスに一番乗りは果たせそうもなく、プラでおぼろげながら魚が増えてきていることを把握していたスポットのランガンで手堅くキーパーを集めにかかりました。ローライトに加え、風が吹いた初日は結果としてバスの活性を上げたのか、ウェイイン率は戦前の予想をはるかに上回りました。北選手はPDLスーパーリビングフィッシュ4インチの水面ピクピク系でグッドサイズを仕留めたものの、リミットメイクには至らず、2254g/3匹で9位スタートとなりました。

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「このナイスサイズに助けられる形で初日は9位。この時点では苦戦している印象でした。」

「釣れているように見えるけど、2キロで12位、1500gで19位。ローウェイト戦なのは間違いないですよ。だからこの結果は悪くはない。船団もサイトもあと二日、持つはずもない。」

戦前予想より釣れた初日にリミットメイクに成功した選手は7名。そのうち3名が同じ場所でした。その場所には朝から船団が形成されていましたが、その中から3名がリミットメイクを果たしたのです。しかしその場所であれば誰でも簡単に釣れたというわけではなく、1匹、2匹で終わる選手もいました。スポット全体でのポテンシャルは高くても、選手が集中することで、釣り分けてしまう。掛かるプレッシャーも半端ないとなれば3日間持ちこたえることは難しいだろうと予想されました。

初日を終えた印象では、断トツの4545g/5匹で首位スタートの青木大介選手や、船団以外で釣ってきている市村直之選手らが優勝争いの軸になるだろうと思われました。北選手は9位ながらもナイスサイズ1匹に助けられた感もあり、この時点ではまだ優勝の可能性は見えていませんでした。

 


2日目 「トップウェイト、予選トップ通過」

この日は朝の冷え込みが厳しく、シャローに上がってくるバスの動きに影響を与えることになりました。また日が昇ってからは快晴、無風の時間が長く、クリアな水質の七色ダムは一気にタフってきます。北選手はこの日も直前プラや初日の結果を踏まえたスポットをランガンするもバスをキャッチすることができず、結果としては1匹のキャッチのみに終わっています。しかしその1匹は3082gのスーパービッグサイズ。単日トップウェイトとなり、北選手を2日間の予選でトップに押し上げることになりました。

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「3082g!のスーパービッグ。予選を首位通過。」

傍から見ると、ラッキーフィッシュともとれるこの1匹ですが、これには伏線がありました。2008年に七色ダムで開催されたトップ50戦。この試合で釣ったバスのすべてをサイトで仕留めていた北選手は、七色ダムのビッグバスが「長くてウネウネするものが好き」ということを把握していました。このタフった2日目のワンチャンスに7インチ弱のハンドポワードストレートワームのネコリグを選択したのはその経験からくるものであり、運や偶然ではありません。そして2008年にはことごとくバラしてしまったビッグフィッシュを確実にキャッチした点も、積み重ねた経験のなせる技と言っていいでしょう。

この2日目に北選手が得たものは予選トップ通過という結果だけではありませんでした。1匹しかウェイイン出来なかった、つまりは直前プラで絞り込んだ試合用のプランが全て崩壊したことを意味していました。他選手の状況を見てもそれは明らかで、初日トップ10のうち4名がノーフィッシュ。トータルでは実に25名がノーフィッシュの憂き目を見ました。船団が形成されていた場所からもリミット達成選手は無く、状況が大幅に変わったことがはっきり結果となって表れていました。

予選トップとなれば決勝は1番スタート。入りたい場所にはおおよそ入りことができるだけに、大きな決断が必要でした。

 


決勝 「盤石の試合運び」

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 「決勝の朝、タックルを並べる。予選よりも本数を減らしてきたことで勝利への道筋が見えてきたことを感じさせる。」

1番フライトの北選手は早い順番を活かして入る価値がある場所はどこなのかを考え、意外な場所を選択しました。それは2日間にわたり船団が形成されていた場所でした。

「当然、あそこはプラで把握していました。予選での釣れ方も想定内。ただし1日浮いている選手が多いので、スタートが早くないとまず入れない。2日目の時点でその周辺のブッシュに魚が出入りしているのは確認していたから、モーニングバイトを狙う価値は十分あると思いました。」

目論見通り、朝のワンチャンスをモノにすると、北選手は2日目に得た感触を再確認するべく、従来のプランで使っていたスポットをランガンします。これは釣るためというよりも、当初のプランが崩壊したことを再確認するためだったのです。そしてその作業が終了した時に、この試合で最も大きな、そして効果的な判断を下すことになったのです。

「今の僕は、どの湖でも試合中にプランが崩壊したからってパニックになったりはしないですね。ココがダメならこっちかな?とかココがダメならあそこもダメだから、あっちに行こう、って感じで、次に取るべき行動が見えてくるんです。」

北選手が特に意識したのはレンジ。2日目まではバスがシャローに上がってくるタイミングを捉えて食わせていたのを、冷え込み、増水などの要素を踏まえ、もう一段深いレンジで待機しているバスに狙いをシフトしました。

会場付近のベンド部に位置する岩。やや深めに位置する岩には浅いレンジに行きたくても水温やプレッシャーで行きあぐねているバスが集まっていました。ダウンショットで2本目を釣ると、その後は過去に作製したワンオフプロトのロッドを用いたライトキャロにチェンジ。およそ30分間で3本を追加しリミットメイクに成功しました。会場から一部始終を目撃していたギャラリーからも「これは決まったな」と声が上がる、圧巻の30分でした。

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 「3本目のキーパーをキャッチ。一気に勝負を決めにかかる。」

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「氷雨の中、リミットメイク!優勝を確信した瞬間。」

優勝のコールを受けても雄叫びは無し。その雰囲気は昨シーズンにトップ50初優勝を飾った選手とは全く違う、何か風格すら感じさせるものでした。なんとか凌いで上位につけた初日。ビッグフィッシュ一発でトップウェイトをマークすると同時に、決勝への道筋を掴んだ2日目。そして人数が減った(半数以下)決勝では、スタート順の利を活かし敢えて大場所から入った後に、プランを大幅変更してきっちりリミットメイクしてみせました。3日間を柔軟かつ大胆に乗り切った試合展開は、豊富な練習に裏打ちされたフィールドの情報量と綿密なプラン、それを大胆に捨てる勇気、どんな釣り方も苦にしないオールラウンダーとしてのスキルがなせる業。それが今の北選手の強さなのです。

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「優勝コールを受け、静かに両手を突き上げる。王者の風格すら漂う」

「僕は嫌いな釣り方がほとんどない。ビッグベイト、サイトフィッシング、ライトリグ・・・。特に苦手意識もないし、必要ならすべてを用意します。自分で釣りたい、釣ることができるタイプのバスを探すんじゃない。今、このフィールドのバスが求めているものに合わせていく。得意技に固執するんじゃなくて、全部得意であることが一番強いし、そうならなきゃいけないと思っています。」

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勝ちを重ねることで身についてくる、勝者になるためのカギみたいなものを北選手は掴みつつあるように思います。昨シーズン年間王者が最高の結果でスタートした2014シーズン。ライバル選手にとっては、厄介なシーズンになることでしょう。

 


【タックルデータ】
ロッド: TPMX62SULJ
リグ: ダウンショット

ロッド: TPMX62SLJ
リグ: PDLスーパーリビングフィッシュ4の水面ピクピク

ロッド: GWT68SULJ(プロト)
リグ: キャロライナリグ

偏光サングラス: サイトマスター・バリケードブラック・スーパーライトグレー
 

 


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