昨年の秋に湧水の川に行く機会があった。その川はとても小さい川で水草がいたるところ生えていて、両岸も草で歩くのが困難な状態だった。聞けば天然のニジマスがいるという。この釣り旅は山岳渓流の釣りをメインに考えていたのでイワナ用のGASS288を使ってみた。川は水の中も外も草だらけで、オーバーヘッドでもフォルスキャストを何度もすると後ろの草にフライが取られる。
真昼間、しばらく釣り上がるも魚は出てこない。まあこんな天気なら仕方ないだろうとイワナ釣りに出掛けて、夕方再びその小さな川に戻ってきた。
リーダーをイワナ用から6Xからニジマス用のOH&Dシングル11ft3Xに変えて、4Xティペットを60cmほど結んだ。フライは同行者からもらったマシュマロ・カマドウマ。カマドウマとは湿気のある場所に居るぴょんぴょん跳ねるあの虫のことだ。TMC102Yの#9に巻かれたそのフライは何となく釣れそうな感じがした。
昼間に釣って何の反応もなかったポイントを再びやってみようと思い、草にラインが絡まないようにリールから出したラインを手にまとめておいてバックキャスト1回でフライを水草のない水面にとりあえず投げた。まだ釣りを始めた意識はなかったが川からゴボッと
音がした。次の瞬間GASS288は大きく曲がり、魚は水草に向かってまっしぐら。どうしよう。数秒して何が起きたかが整理できた。夕方になり、やはり魚は出てきたのだ。しかもかなりのやる気でフライに飛び出てきたというわけだ。
徐々に冷静になりティペットがロッドに対して充分太いということを思い出し、少し強引にファイトした。小さな川にしては大きいそのニジマスはとてもきれいな天然ニジマスだった。
しばらく水草の上に横たわる魚を眺め、リリースして岸に上がると秋らしい景色が目に入ってきた。
【タックルデータ】
ロッド:GASS288
リール:オプティクリーク
ライン:OH&DヤマメWF3Fサンライズ
リーダー:OH&Dシングル11ft3X(バット1ftカット)
ティペット:ミスティティペット4X
フライ:マシュマロ・カマドウマ(TMC102Y#9)
近藤記