Fly Fishing記事 | ティムコ

小甲 芳信

Fly Fishingプロスタッフ小甲 芳信 カブちゃんの北の便り「鮭チーボイルを求めて」

2020.04.02

カブちゃんの北の便り「鮭チーボイルを求めて」

皆様、大変ご無沙汰しておりました。昨年の7月以来、長らく、本当に長らく時間が空いてしまい、申しわけありませんでした。というのも、昨年の秋口より事情により、釣りどころではない状況を余儀なくされていました。そして最近になってようやく時間と身体の自由が利くようになり、釣りへと出かけられるようになりました。その節にはボクを気遣ってお酒の席へ誘って頂いたり、店に顔を出して頂いたりした友人らへ、この場を借りて深くお礼申し上げます。

 

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さて例年みられる春の風物詩、「鮭稚魚に対するボイルの釣り」について少し触れてみたいと思います。さてさて少し前の話になりますが、いざ釣りへと出向いた頃には今年の北海道が記録的に降雪量が少なかったこともあり、フィールドは拍子抜けするほど春の様相を呈していました。

 

それで、春めいてきた海を前に、ここ数年は海アメが見せる「まとまったサケ稚魚へのボイルを見ていないなぁ・・・」と思いつき、アチコチ探してみたのですが、やはりアメマスの個体数が減ってきたからなのか、なかなかお目当てのようなシーンに巡り合うことが叶いません。

 

大小の河口を覗いてみても、サケの稚魚は確認できるのにそれに伴うボイルが一向に起きないのです。たまに1回や2回のボイルがあっても、まとまった数のそれではなくて、通りすがりの単体で泳いでいるアメマスが引き起こす単発ボイルといったところ・・・どうやら近年の北海道の南西部では、そこかしこで飛沫が上がり、水面を飛ぶようにして逃げ惑うサケの稚魚を追い回すアメマスの群れを見ることは稀になってきているようです。

 

ここからは先は2019.06.19カブちゃんの北の便り「2019海アメ・前後編」でお伝えした部分を少し掘り下げながら解説してみたいと思います。

 

そもそもアメマスやサクラマスは、餌を求めて回遊している最中に偶然見つけたサケの稚魚らを捕食し、それらのエサが断続的であれ時間を置いても継続的に供給される場所(河口部など)を最重要な【エサ場】と認識するものと思われます。そしてこの時、ここを重要なエサ場と記憶した魚たちは2タイプに分かれて行動を開始します。

 

【タイプ I:クルージング型】

まず、タイプⅠの魚たちは河口部付近または河川周辺の沖合を回遊し、朝夕などの潮が動く時合が来ると共に行動を開始し、一斉に集結するタイプ。これはサクラマスにもよく見られる行動パターンで、注意深く海面を見ていると、沖合から真っ直ぐに河口付近に突っ込んできては数尾のサケ稚魚を捕食し、すぐさまUターンする個体と、サケ稚魚の移動に合わせて自らも移動していくような捕食行動を取ることが多いように感じます。

 

この手の行動パターンを取るアメマスが多数いた場合水面ではお祭り騒ぎが始まり、現場に居合わせた釣り人の間でも多くの歓声が上がり、周辺は興奮のルツボに突入するのです。この釣りを以前から楽しまれていた方々は、ご存じのアノお祭り騒ぎの瞬間です。

 

河口をはさんでの両岸凡そ100メートルぐらいを8番やら7番、もしくはダブルハンドロッドなどのゴツイ竿を握り締めたまま冬装備のウェアーにラインバスケットという重装備でボイルめがけて走り回るアレです。ですが先にも触れましたが、寂しい話ですがそんなシーンに出会えることが最近では希になってしまっているようです。

 

さて、思い出じみた話はこのくらいにして、このタイプの魚を狙う場合の注意点ですが、もはや多くのエキスパートたちにとっては“今更”なことかもしれませんが、とても重要なことなので改めて言いますと『魚を追い掛けて深く立ち込まないこと』に限ると思います。

 

河口付近の波打ち際は、川から運ばれてきた砂や小石が堆積して出来上がるサンドバンクが形成されていて、一見すると浅くて入水しやすそうに見えるかもしれません。しかし、これまでも水深がヒザぐらいの水深までやってくるアメマスを幾度となく見てきましたし、バックナンバー『スカッディーウィーク編』でもお伝えしてきた通り、無闇なウェーディングは魚を散らす要因となってしまうのです。

 

また別の側面から見ても、特に海においての無闇なウェーディングは水難事故に繋がる危険性がとても大きいのです。サンドバンクのエッジはとても脆く、簡単に足元が崩れて転倒を招くおそれがあります。そして転倒直後に起き上がろうとしても身体全体で受ける川からの流水圧は相当強く、人間の身体なんて簡単に沖合へと運んでしまうということを付け加えさせていただきます。

 

【タイプ II:潜伏型】

タイプⅠ同様にサケ稚魚に執着した魚たちの中でも、とりわけアメマスに関してはその場を離れて行くグループの他に、河口周辺の岩や岩盤などに身を寄せて影を潜め、捕食のタイミングが来ると河口へと入ってくるタイプも多くいます。日中はボサ下などに隠れていたイワナが、イブニングで水棲昆虫のハッチに伴い川の中央に出てくるのと同じような状態と言えば解りやすいのではないでしょうか?

 

そして毎日流れ来るエサに対しては、効率よく摂取できるようどんどんと流れ出し(河口)付近のストラクチャーに陣取るようになります。また、時間を追うごとに海面に集まるサケ稚魚の数も多くなってくると浅瀬で群れを作り海岸線を平行に漂う群れも多くなることから、シーズン後半になるとこの潜伏型アメマスが増えてくる傾向にあります。

 

そしてこれらの潜伏型アメマスを狙う場合ですが、判りやすくボイルしている個体やストラクチャー周辺を派手に動いているような目に見える場合は別として、とにかく岩周りや岩盤際を丁寧にフライでトレースすることに尽きます。ボクがよく『穴撃ち』と呼ぶ釣り方なのですが、幾重にも連なる岩盤であっても、必ず水の動きや潮のぶつかる場所などのピンスポットがあるものです。それはほんのちょっとした変化でしかありませんが、冷静に観察すると必ず見つけられることと思います。

 

また、以外に重要な留意点として、水面に顔を出している岩周りにプレゼンテーションする場合、潮がぶつかっている方向(潮上・潮下)を見極めることも大切です。なぜならアメマスとて本来は渓流に住むイワナですので、彼らは瀬の中の岩に対しては殆どの場合下流側にポジションをとりますよね?それと同様のポジショニングを海の中でも取るのです。

 

そして、時に日中や午後遅く、または夕刻時に河口付近に陣取る潜伏型やたまたまやってきたクルージング型が突如水面を震わすことなく静かにディンプルなライズを繰り返すシーンに出会った場合、サケ稚魚の流下シーズンと時を同じくしてスカッドの流下も起こるので、サケ稚魚パターンに反応が無い場合は#14~#12のスカッドフライを投げ入れる準備をしていても損はないと思います。

 

さて、これはボクの今季の海アメアタック序盤戦でのことでした。浜へ降り立ってスグ、浅い波打ち際から岩棚へと続く水溜りでは、自然産卵から孵化したタイプの体長3cm~4cmほどのサケ稚魚が確認できました。見渡せば、そこかしこに泳いでいます。

 

恐らくは先週からすでに流下が始まっていたのでしょう、取り急ぎ近くの河口でボイルの有無を確認してみたのですが、水面は押し黙ったまま。「これではハナシにならん!」と、次の一手でもある穴撃ちに移ると、すぐ傍には大小の岩と岩盤が点在し渓流で言うところの深瀬のようなポイント形状になっています。

 

先にお伝えしたように、瀬の中のイワナを釣る場合にフライを落とす場所は大方決まっていますから、流心ではなくてその潮の境目である脇や岩裏の巻き返しのようなピンスポットを撃っていくと、水深が腰ほどのポイントから見事な魚体を翻してボクのサケ稚魚パターンをひったくっていく魚が見えました。

 

使用しているタックルは、LOOPクロスS1スイッチCROSW7107-4MF(10ft7in #7)でラインがIIIーII、そして岩礁帯でのやりとりを考えてアクロンの0Xリーダーに1Xティペットですから、多少強引にでも魚との主導権を手放すことはないシステム。

 

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手中に収まったのは60cmを有に超える見事な太さのアメマスでした。この日、途中でお話させて頂いたフライの方からは「最近では60cmを超える魚はぜんぜん珍しくなくて、やはり70cmや80cmを目標にしている方が殆どなんですよ」と言われ、80cmなんて魚が実際に釣られていることに驚愕してしまいました。

 

そんな大物ですが、やはりシーズンの後半では砂浜よりも岩場にチャンスが多いように感じています。エサの供給量や、ある程度のナワバリ、水深・潮の流れなどを含めた環境などの複合的要素が好状況で揃っていることに繋がっているのでしょう。

 

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そんな岩場を歩く際には、何よりも品質の良いシューズが必要不可欠になってきます。ここでボクが愛用しているFoxfireの【クイックジップ6WDシューズ】などは、とにかく軽くて軽くて歩きやすい!!伊達に6世代もの間に途方もない時間と英知を注ぎ込んできたワケじゃないってことなのでしょう、様々なシチュエーションから計算されたカッティングデザインが、シューズの屈曲に負荷を与えずスムーズに曲がることと(←コレ、硬いシューズだと岩場を歩くときには捻挫の原因になりますよ!)、くるぶしの外側から包み込むように設計された靴ひもを通す穴により、シューズ内で足を暴れさせることなく安定的なフィッテイング感をもたらしてくれるのです。

 

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また、岩場では岩盤の表面にある大小細かな凸凹が地味に歩き疲れを呼び込むものですが、このシューズに内蔵されているインソールがその多くを吸収してくれるので、ありがたいことにポイント間の移動も苦にはならなくなりました。更には、柔らかな布製でありがちな外傷に弱いタイプのものとは違って、石や岩にぶつかりやすい箇所の補強がしっかりと施されていることと、脱着の際にクイックジップなので、かじかんだ指先でも楽に脱ぐことができ、またファスナーを開くことでウェーダーのかかとが破損しないのもありがたいポイントの一つだと思います。

 

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さてさて、少々遅れてしまいましたが、こんなアンバイで始まった『カブちゃんの北国の釣り』ですが、今後は雪代が終わり、若葉が芽吹き、産卵を終えたニジマスたちがドライフライで楽しませてくれる季節の到来です。それと合わせるようにブリの来遊も始まることでしょう。

 

そんな期待を胸に、今後もフライロッドを片手にあちらこちらの水辺に気の向くまま出掛けてみるつもりでいますので、何かありましたらまたお便りさせて頂きます。

 

では~。

 

 


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