この3月に新製品【Loud45S-ラウド45S】が発売される。アップストリームでのアプローチに焦点を当てて開発したヒラウチ系シンキングミノーだ。皆さんはSNSやHP、YouTubeなどでもうチェックしていただけただろうか。
【Length:45mm/Weight:3.4g/Type:Sinking/Price:¥1,500】
ひとくちにアップストリームでのアプローチと言っても様々なシチュエーションが思い浮かぶと思う。その中でも渓流から小渓流のアップストリームでの快適さを求めてラウド45Sは開発していった。
求める要素としては大きく分けて3点。
- 狭い距離でもしっかりとアピールできるレスポンスの良さ
- 移動距離を抑えられる水中での抵抗感
- アップストリームの軽快なテンポを崩さないバランス
渓流のアップストリームの釣りで求められる点の一つとして、狭い距離でもしっかりとアピールできる点が挙げられるだろう。ラウド45Sはその偏平形状から連想できるように、ロッドワークを加えることによって機敏にヒラウチアクションをしてくれるようになっている。小さなスポットや狭い範囲で多くのアクションさせたいときにきっと活躍してくれるはずだ。
【こういった規模の渓流ではきっと活躍してくれるはずだ】
次に移動距離を抑えるために水中での抵抗感を重視した。アップでの釣りとなるとどうしてもルアーが流されながらのアプローチになるので、できるだけ流される速度を抑えたくなっていくことがあるだろう。そうなった際に移動距離を抑えるために、抵抗感は大事な部分なのではないだろうか。
ステディリトリーブでは大ぶりなウォブンロールで抵抗を持たせ流されづらいようにするとともに、ルアーの挙動が手元に伝わりやすいようにしてある。シェイキングやトゥイッチ時は期待通りのヒラウチを発揮してくれる。そして強めのトゥイッチを加えてもらった際にはテーブルターン気味に角度を急に変えてくれるので、偏平のボディの側面に対して水を受けることができ、これもまた流されにくい要素の一つとなっている。
【初期プロトの時の釣果。まだボディがとても角ばっているのが見て取れる。性能面でも完成度は低かった】
このようなアクションを出すためにヘッド面での水受けを良くしたかったので、特徴的かつ大胆なセッパリデザインを採用。水受けが良すぎるからかフラフラとした意図しない不規則なアクションになってしまう事もテスト中にはあったので、ボディやリップのサイズ、角度なども様々なパターンをテストしていった。この現場でのトライ&エラーは楽しくもあり、うまくいかない部分もあって苦心したところでもあった。
【実際にプロトを手で削って調整していった。同じことを現場でも繰り返していた】
最後にアップストリームの軽快なテンポを崩さないために沈下スピードは速くなりすぎないようにしていった。また、着水と同時にストンと落ちて根がかりを起こすのを減らすために水平沈下のシミーフォールを採用。ゆらゆらとボディを左右に揺らしながら沈下してくれるので、沈下中もターゲットにアピールしてくれる。ウエイトも3.4gとあって、キャストの軽快さを損なわない軽さにとどめてある。スピニングタックルでもベイトタックルでもキャスト面では苦にならない重さだろう。さらに潜行深度だが、20~40cmのレンジを一番得意としている。
【調整を重ねたプロトで釣れた冬の色を残した1匹。春先の水温5度の小渓流でもしっかりと結果が出てくれた】
テストした場所は多岐にわたり、まだ無垢な魚の多い上流部や、都市近郊の里川などでも行った。アップストリームのアプローチをするシチュエーションであれば出番は少なくないと思う。タックルも色々試していったが、スピニングに比べて連続したアクションがつけにくいベイトタックルでも機敏に動いてくれるので、使い手の好きなタックルでぜひ使って欲しい。
【桂川水系の里川での1匹。リップも透明になり、だいぶ調整が進んでいる様子が感じられる】
小渓流は小渓流でもボサ川などでの使用もオススメだ。川のタイプ的に流れがストレートになりがちなので、レスポンスの良さと流されにくさを活かしてもらうといい釣果に結ぶ着くこともあると思う。
【この河川でも実際にテストでいい手ごたえを得ることができた】
様々なタックルでテストしてきたと前述したが、ロッドの硬さによっての動かし方のコツは若干感じた部分がある。大まかに2タイプに分けさせてもらうが、硬めなロッドと柔らかめなロッドでは多少分けてもらった方が快適に使えるだろう。
硬めのロッドの場合
硬めのロッドの場合はシェイキングや細かいトゥイッチをメインに使ってもらうのがいいだろう。強めなアクションも有効だが、硬いロッドで強いアクションを加えるとラインスラッグが多めに出る場合があるので、ラインスラッグが出すぎないように気を付けて欲しい。
柔らかめなロッド
逆に柔らかめなロッドでは細かすぎないロッドアクションをオススメする。細かいロッドアクションを加えるとコントロールできないスラッグが出てしまい過ぎる可能性がある。なので、少し遅めなテンポで少し強めなアクションを加えるようにしてもらってスラッグが出すぎないように調整してもらえるとトラブルが少なく使ってもらえると思う。
とはいえ、ロッド・リール・ラインのタックルバランスや、それぞれの癖などによって違ってくる部分もあるので、どちらもあくまで参考にしてもらってご自身のテンポを見つけて欲しい。
【しなやかなベイトタックルとローギアなベイトリールの組み合わせでもテスト済みだ】
バタバタとかなり水押しが強く、ギラギラとフラッシングも強いので、威嚇を誘発させたいときにも有効だ。最終テストをしていた秋の釣りなどでも好実績だった。深いポイントでは食い上げでのバイトも多く、ベリーフックへのアタックも他のルアーと比べると多少多く感じた。
【秋の最終テストで深場から食いあげて来た尺ヤマメ】
イメル50Sやラクス50Sのようなオールラウンドさはないものの、アップストリームでのアプローチに関しては一芸に秀でたものがあるルアーだ。シーズンに入ったらきっと皆さんの手助けをしてくれると思う。操作していて感覚的にも視覚的にも伝わるものが多いマニュアル系のルアーなので、思いのアクションを演出でさせてぜひ楽しんでほしい。
【最終テストでヒットした1匹。機会があれば別の機会に詳しく紹介したいと思う】
カラーは全10色。ラウド45Sだけにラインナップされているカラーも多く、フラット面を活かした明滅を期待できるようなカラーを揃えたつもりだ。「このカラーにはビビっと来た!」そう思って気に入ってもらえるカラーがあったら嬉しく思う。
【半分以上がラウド45Sだけにしかないカラーだ】
ここまで「アップストリームでのアプローチにマッチします!」と繰り返し言ってきたが、ダウンストリームで泳がないわけではないので、その点は安心していただきたい。最後になってしまったが、ぜひ皆さん安全で楽しい釣りを‼
スタッフ田崎