中禅寺湖初挑戦の先輩社員と、自身数年ぶりの中禅寺湖へと赴くことに。私と言えば中禅寺湖に対しては強烈な苦手意識しかなかったのだが、スプーンで魚を釣ったことのない先輩社員JOE氏(以下JOEと記載)と「スプーンで魚を釣ってみよう!」といって今回行くことになった。実は私は中禅寺湖に過去4回挑戦しているのだがすべて丸ボウズ。トローリング船に乗せてもらったときに小さなレイクを釣らせてもらったことはあったが、岸からは1匹も手にしたことはなかった。
そんなことがあって個人的には釣れる気はしなくて、苦手意識からテンションは上がらないものの、一緒にルアーを準備したりフックのバーブを削ったりしながら目をキラキラさせているJOEを見ていると、後ろ向きなことは言えないでいた。ところでこのJOEだが、この男は帰国子女で現在はバスアングラー。特にトップウォーターの釣りが好きらしく、ハードプラグにこだわって釣りをする釣り人。へそ曲がりなのかトップの釣りで2500Cを酷使している自他ともに認める変人枠だ。トラウトと言えばエリアのニジマスしか釣ったことない彼だが、いきなり中禅寺湖に挑戦するのはいかにも変人な彼らしい選択だ。
2時半にふもとのコンビニに集合して、1台に荷物を詰め込みいろは坂を登っていく。
こんな感じで車内では明るい?会話が弾む。解禁に行っていた他の先輩社員に脅されたこともあり二人して防寒対策たっぷりなのだったが、この日は比較的暖かいからかそれともテンションが上がりすぎたからか、車内で少し汗ばんだ私たちの手は、急いで買って来た使い捨てカイロに伸びることはなかった。
そう言ったJOEの言葉に従ってシャロー系のポイントを選択。券を買い、暗い中ワクワクしながら準備をする。湖面を照らさないように注意しながら湖畔でボトムを意識したスプーンの使い方を何パターンか解説する。
本当にわかっていたのかは私にはわからないが、彼の背中からは何かやってくれそうな気はした。薄暗い中ライトニングウォブラーを結んでキャストを開始する。ボトムに着底した後、スプーンを持ち上げたり跳ね上げたりリトリーブしてみたりと色々試してみる。フォール中のスプーンにガツンとアタリがあったがフッキングまで至らず。ここでJOEに声をかけに行く。
再び釣りに戻る。色々試すなかでハンドルを3回回してスプーンを泳がせてから2カウントフォールをしていたところロッドにグッと重みが乗った。大きくアワセを入れると魚がグングンとボトムに向かっていく感覚が伝わる。
そう言うとJOEが走ってくる。彼が僕のもとに到着するとともにネットイン。途端にフックが外れる。口先1cmにも満たないところにフッキング跡が見られ、ギリギリのフッキングだったのが伺えた。
私の中禅寺湖初フィッシュは54cmのブラウンだった。朝からこまめにルアーをローテーションしていたのだが、このポイントでは14gが好感触でヒットしたのも14g。カラーは新色の217 ホワイトFLREDハハハ/SL。このカラーは低水温にホワイト系が効いた体験をもとにラインナップに加えてもらったカラーだっただけに嬉しい1匹だった。
その後は反応がなくなったので移動して今度はブレイクが近いポイントへと。風が吹き出したとともにポイント一帯が濃霧に包まれた。
攻めに攻めたJOEはこの後もう1個ルアーをロストして、シャロー系のポイントに行きたいと言い出した。
いくつかのポイントをウロウロして昼前には渓流へ。このJOE、ヤマメもイワナも釣ったことが無いのだ。湖と渓流のダブルヘッダーで初めてをたくさんやろうという魂胆だ。一番近場だしコンビニで遊漁券が買えるということで大谷川へと向かうと、入渓直後に反応が。ヒットまで持ち込めなかったものの、ルアーを追う魚の姿に興奮してるJOEがいた。
いくつかのポイントにルアーを撃ちこんでいくと再びルアーを追う影が。そのまま咥えこんでくれたので「アワセて!」と声をかけると彼のアワセがバシッとキマる。はたから見てると意外なほどに落ち着いてファイトしていたJOEだが、ネットインと共に喜びが爆発していた。トラウトルアーっぽい写真の構図を指示すると、彼はサッといい写真を撮る。JOEは写真のセンスはいいのだ。そしてリリースもかなりスムーズに行っていた。
【JOE撮影の1枚】
人生初のヤマメに喜ぶ彼を見て、こっちまで嬉しくなった。それと共に、魚のサイズや質にかかわらず、感動の量が大事だなと改めて感じさせられた。きっとお気に入りの2500CとFenwickの組み合わせでキャッチしたのは格別の1匹だっただろう。キャッチできたのはこの1匹だけだったが、JOEの後ろ姿からはチェイスする魚の姿や、次々に現れる好ポイントに心躍っている感じが伝わってきた。とはいえ、本命は中禅寺湖なので、渓流もほどほどにして夕マズメのために再びいろは坂を登る。
ルアーを無くしてノットを組みたくないJOEのリクエストでシャロー系のポイントに入ってスプーンを投げる。人がいないのをいいことにそれぞれ反対方向にランガンしていき、しばらくしてJOEの方を見ると謎のジェスチャーをしている。近づいていくとボイルが発生。「さっきからやってる」と彼が小声でささやく。
こちらの投げてというジェスチャー後に、彼が投じたシュマリの後ろが波立つ。途端、魚が暴れる水しぶきと共にアワセたシュマリが宙を舞う。すっぽ抜けだ。その場にへたり込む彼。ここからスプーンで釣ろうという名目も忘れ、二人してシュマリを投げ続けた。その後JOEが1匹バラしてしまい、私にもアタリがあったもののフックセットまでは至らず。
結局シャロー系のポイントに入ってもJOEが湖畔でノットを組むのは変わらなかった。18時のタイムリミットギリギリ。この日一番激しいボイルが起きた。射程距離まで走っていってシュマリ110Fを投げ込むとグググっとロッドに重みが乗ったのだがフッキングせず。もう時間がないので、落ち込む暇もないと思い次のキャストをすると今度はさらに激しいバイトが得られた。テンションが抜けないようにロッドテンションを張り続け、寄ってきた魚をネットインするか迷ったのだが、内径48cmのネットではランディング失敗するかもしれないと思い、魚のしっぽをイチかバチか掴む。
返事もせずに瞬時に証拠写真を撮る。
自身初のレイクトラウトは73cmといきなりの70cm台。長めのロッドも110mmのルアーもいくらか小さく見える。
嬉しさとまさかのドラマでなんだか感情が定まらないまま、最後に一緒に記念撮影をさせてもらってリリース。
JOEと握手を交わして湖畔に背を向ける。車まで歩いていく途中にもボイルが見られた。
翌日は1日渓流に行く予定だったのだが、予定変更で朝から中禅寺湖行くことに決定。さて、翌日のJOEは魚を手にすることができるのだろうか…
Part2につづく
【タックル】
ロッド:プロト8ft3in
ライン:PE0.8号×フロロ12lb
ルアー:ライトニングウォブラー14g(217ホワイトFLREDハハハ/SL)、シュマリ110F(222ゴーストワカサギII)
スタッフ田崎