Trout Fishing記事 | ティムコ

廣瀬 弘幸

Trout Fishing  プロスタッフ  廣瀬 弘幸   【解禁前コラム】九頭竜川のサクラマスと私にとってのエンハンサー

2018.01.15

【解禁前コラム】九頭竜川のサクラマスと私にとってのエンハンサー

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九頭竜川でサクラマスを釣るために

 

私が九頭竜川でサクラマスを始めて釣ってから30年目になる。以前の九頭竜川は今より蛇行しどのポイントも深さがあり、底石のサイズも大きくポイントが明確であった。近年は大水が出る度に流れてきた砂が積もってポイントは浅くなり、川底の石のサイズもいつの間にか小粒になってしまって、魚が留まれるような着き場が減ってしまった。

 

皆さんご存知のとおり、九頭竜川は人的プレッシャーも高い河川だ。人気ポイントの盛況ぶりはもちろんのこと、竿抜けが無いのではないかと感じるほどあらゆるポイントにアングラーの姿がある。休日となれば移動先を探すことすら大変なことも度々。そんな釣り人による過度なプレッシャーにより魚がルアーを果敢に追い回すことも少ないし、上方向に突き上げるようなバイトも以前に比べると減ってしまっている。

 

そう考えるとサクラマスを釣るために広大な九頭竜川の流れの中では、着き場的にもレンジ的にもピンポイントでルアーを見せることが必要となってくる。

 

②

 

九頭竜川と私の釣り

 

そんな九頭竜川で30年間釣りをしている私の釣りだが、大前提としてサクラマスの中でも大きな魚を釣りたいと思っている。希少性の高いサクラマスの中でもさらに大きな固体と出会ったときの感動が、私がサクラマス釣りに惹かれ続けている要因である。

 

サクラマス釣りを始めて間もないころには、市場にスプーンしかないのでスプーンの釣りをしていたし、数年の間フライで狙っていたことも。一時期は表層でミノーを激しく動かして魚を誘い出す釣りをしていたこともある。そうやって様々な釣り方でサクラマスを釣ってきて行き着いた持論なのだが、総じて底付近をじっくり探るとヒットするサイズが平均的に大きいと私は思っている。

 

さらにその大物をヒットさせたときのキャッチ率を考えると、できるだけ遠方でしっかりと口を使わせて魚をかけたい。先に述べた九頭竜川の状況を考えると、チェイスしてきてルアーにアタックしてくるような状況は少ないし、仮にルアーを追尾してルアーにアタックしてきたとしても追尾中に違和感を覚えてバイトが浅くなることが多いと思う。浅がかりではもちろんキャッチ率は下がるし、そのバラした魚が一生モノのビッグサイズだったことを思うと・・・。

 

現に今まで100を超えるサクラマスを釣ってきて、沖でかけた際と手前で魚をかけた際ではフックの刺さり方の安心感がまるで違う。ルアーを積極的に動かし反射的な誘いをかけるときにはフッキングミスも多いと感じるしアベレージサイズも下がる。そうした経験から私の釣りは、沖の底付近で魚にじっくりとルアーを見せて食わせるというスタイルがメインになっている。

 

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ロングロッドの優位性

 

大きなサクラマスに狙いを絞り、しっかりとその魚をキャッチするためには沖の深いレンジをしっかりと探ることが大前提となるのだが、そのためのアプローチのために必要なキーポイントの一つがロッドの長さである。サクラマスロッドの定番レングスというと8.2~8.6ftというのが頭に浮かぶ方も多いのではないだろうか。私も以前は7ft台や8ft台も使ったこともあったのだが、自分の理想のアプローチをするにはやはりロングロッドがいいと感じて9ft台のロッドを使っている。

【なぜ定番レングスではないのか?】

そういった疑問を釣り場やイベントでいただくことも多いのだが、不利を補って余る優位性を感じるからである。

 

まずは遠投性能。ロッドが長ければ長いほど遠投性能が上がるというのは皆さんご存知のことだと思うが、遠投することによってポイントを広範囲まで探れるようになる。魚の着き場が年々狭くなっている九頭竜川にあっては、1投で魚が付くポイントをいくつ探れるかというのがキーのひとつとなってくるので、この部分は外せないファクターだ。

 

ロッドが長いとラインメンディングをやりやすくなるので、ラインが流れに取られてルアーが速く流れていってしまうということを極力押さえられる。ロッドワークを加えたときにルアーにアクションが伝わるタイムラグも少なくなるので、その遠投先でのルアー操作もロッドが長いと精密にやりやすい。

 

さらにはフッキングの際にはロッドが長い分、小さな動作でもストロークが大きくなりパワーが伝わりやすいので、一発でサクラマスの硬い顎に貫通させることがしやすくなるのだ。ラインが流れに引っ張られづらいので、ラインスラッグによるフッキングミスも格段に減ってキャッチ率が格段に上がる。

 

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次にファイトの面であるが、これも利点がとても多いと感じる。サクラマスはバラシが多い魚だと言われるが、私のバラシ率の低さにはロングロッドが一躍買ってくれていると思う。ロッドが長い分、魚の強烈なダッシュに対して追従してくれるので、魚が感じる違和感を軽減してくれて楽にファイトができる。必要以上にプレッシャーをかかった際に魚が大暴れして、バラしてしまうことが多いと思うのだが、この部分に関してはロングロッドの恩恵をかなり感じている。

 

また、サクラマスは障害物に着く習性のある魚であり、テトラなどの障害物付近でかけた際には主導権を握りながらファイトに挑める。障害物にラインが擦れてプツリ・・・。そんな経験をした事のある方は、もう少しロッドが長かったらと思っていただくと違う結果が見えてくるのではないだろうか。

 

最後のランディングの部分だが、ロッドが長い分魚の動きに追従してくれて魚が大暴れしにくい。それはランディングの場面でも言えることで、ネット際で暴れさせないのが一番キャッチ率アップに繋がると思う。また、岸へのズリ上げもロングロッドの方がやりやすい。

 

このように数々の利点を挙げてきたがもちろんデメリットも。長いので背後に障害物がある際にはキャストがしにくいこともあるし、移動の際には不便に感じることもある。さらには長いロッドには重いというイメージがあるだろうが、ここは最先端のブランクスとガイドのおかげでまったく感じさせないセッティングになっている。そう考えるとデメリットよりもメリットの方が私には多く感じるのだ。釣り人の腕で道具の欠点をカバーするのではなく、道具に最高のパフォーマンスを発揮してもらうことによって、一生に一度の大物をキャッチできると私は考えている。自分の腕を磨くことは常日頃欠かさないようにしているのはもちろんのことだが。

 

 

エンハンサーカスタムの開発まで

 

そんな現場でのノウハウを活かして私が手がけたロッドがエンハンサーアグレッシブプラッガー96だった。バンブー調の薄茶色のブランクのロッドはまだ皆様の記憶に新しいかもしれない。ブランクは高弾性を使って遠投時の振りぬけを良くし、肉薄でもパワーが出て軽量化もされ、ガイドフレームはチタンを使い軽量化に成功した。バットには40tカーボンを組み込むことで大物をしっかりと受け止めるパワーを持たせ、ティップ側には30t入れてを使い食い込みを良くしながらも、ルアーをコントロールするハリは失わせなかった。そこに補強材としてザイロンをブランクに組み込むことによって、さらなるパワー向上と軽量化に成功した当時では最先端のロッドだった。そんな自分の理想としたロッドを開発して、70upをはじめとする数々のサクラマスを手にできていた。

 

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自身の手がけたロッドと言うこともあり、長年使っていてもまったく欠点を感じていなかったのだが、新しいロッド製作の話をティムコからもらったのが数年前。フェンウィックのバスロッドで使われているスーパーアラミドヴェールを使ったロッドという事で、今までにないフィーリングのトラウトロッドを期待しテストに挑んだ。数年のテスト期間で数々のサクラマスをキャッチし、フィールドで感じた点を余すことなく詰め込んで出来上がったのがエンハンサーカスタムHS96であった。

 

皆さんはアラミドヴェールの特徴をご存知だろうか。トラウトアングラーの方には馴染みのない素材であろう。アラミドヴェールは、防弾チョッキに使われる伸縮性のあるアラミド繊維をグラファイトシート状に、不織布がごとく「あらゆる方向に」「死角なく」張り巡らせたもののことである。そのアラミドヴェールをさらに高弾性化させたものをスーパーアラミドヴェールと呼び、スーパーアラミドヴェールを使ったロッドは軽量でハリがありシャープなものとなる。

 

エンハンサーカスタムはそのスーパーアラミドヴェールを全体に使い、シャープ感の際立つフィーリングで、ファイト時にはブランクがねじれやつぶれに対ししなやかに追従し、力強く復元していくトルクをもつロッドとなった。

 

⑥

 

 

実際テスト中のサクラマスとのファイトでは、「まるで筋肉のよう」と言われるアラミドヴェールのトルク感のおかげで、かかった魚が自分の思ったよりも大きかったのに寄ってくるのが早かったり、勝手に魚が浮いてくるような感覚を持たせてくれた。障害物近くで掛けた際には魚が勝手に浮き上がってくれて、手前に来た所で暴れだすようなことも多々あった。結果的に、かかった魚を暴れさせることなく半自動的にリフトアップする魔法のようなロッドに仕上がった。テストを始めた当初に初めてサクラマスをかけた際には、そのトルク感からくる魚の暴れなさや寄りの速さにはとても驚いたのを覚えている。以前のエンハンサーに比べて魚がかかってからの安心感が段違いなのだ。

 

⑦

 

 

1シーズンに1匹、さらには一生ものの大物を狙ったサクラマス釣りだからこそ、アングラーが主導権を握れるロッドが必要だと思う。エンハンサーカスタムは様々な場面でアングラーの武器になるロッドだ。9ヶ月間首を長くして待った九頭竜川解禁も気づけばもう間近だ。今年はどんなドラマが待っているだろうか。私個人としては今年も九頭竜鱒をキャッチして、サクラマス釣りを始めてから毎年続いている連続キャッチ記録を30年に更新したい。そして震えるほどの大物。もちろん新製品のテストと合わせて、新たな一手を見つけるのも楽しみだ。

 

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エンハンサーカスタム EHC-HS 96 “Aggressive plugger”
レングス:9’6”
標準自重:160g
ルアーウエイト:10.5~28g
ライン:8~16lb
価格(税別):88,000円

 


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