アンダーハンド・キャストとは

アンダーハンドキャストはシューティングヘッド専用のキャストです。シューティングヘッドを使ってコンパクトなショートストロークでとても静かにDループからオーバーヘッドと同じループでキャストすることができるキャストです。
同じタックルでオーバーヘッドキャストも自在にでき、フローティング、シンクティップ、フルシンクと様々なタイプのラインを使え、シングルハンドもダブルハンドも同じキャスティング理論となっています。
アンダーハンドキャストの歴史

アンダーハンドキャストは1952年にスウェーデンのヨラン・アンダーソンがシルクラインをカットしてモノフィラのシューティングラインにつなげ、木の下のブラウントラウトを釣り上げたのがスタートです。フライラインは長くなるにつれ、下にさがって直線的に飛びにくくなる。これを何とかストレートにしたいというのが目的でした。ストレートラインを追求した結果、ラインをカットして短い"ヘッド"を作り細いライン(シューティングライン)を接続するシステムがとても有効だと気付きました。それは後に世界中で"シューティングヘッド"と呼ばれるようになりました。シングルハンドでスタートしたこのシステムはアトランティックサーモンフィッシングの盛んな北欧という土地柄、ダブルハンドロッドにも応用されていきました。
ダブルハンドでは下手を使うことでシューティングヘッドをストレートに飛ばすことに成功し、同時にアトランティックサーモンに有効な90度角度変換を簡単なものにしました。結果的にアンダーハンドキャストと呼ばれるようになったそのテクニックは短いラインゆえにDループ形成時にアンカーという概念から解放され、静かで音のしないリーダータッチという方法を用いてオーバーヘッドと同じように全てのジャンルのフライフィッシングで使えるものとなりました。それはとても神経質なトラウトの釣りも可能にしてしまいました。アンダーハンドキャストは時に北欧スタイル=スカンジナビアンキャストともいわれ、次第に世界中の多くの人がその有効性を認識し始めていったのです。
シューティングヘッドはDループでキャストした場合に最小限のバックスペースでキャストでき、シュートすることではるか遠くも釣れ、今まで不可能だったフィールドでの釣りを可能にしました。DTやWFのように距離に応じてフライラインの重量が変化することがないため一定範囲の重量に合わせた最適なフライロッドのアクションが生み出せるようにもなりました。結果、ロッド、リール、ライン、リーダーに至るまでトータル設計ができ、驚くほどコンパクトなショートストロークで全く疲れないキャストになりました。また全く同じタックルシステムでバックスペースがあればオーバーヘッド、なければアンダーハンドと自在に使え、どちらも当初目指したストレートにラインが飛んでいくことが可能になったのです。
また長いランニングラインを処理するアンダーハンドキャストは1980年代にラージアーバーリールを誕生させました。シューティングヘッドシステムとラージアーバーリールはLOOPタックルの特徴となったのです。
タックルの組み立て
「OH&D(オーバーヘッドアンドディー)」と表記のあるものはすべてアンダーハンドキャスティングとオーバーヘッドキャスティングの両方に対応しています。
シングルハンド
ロッドとラインの組み合わせは同じ番手となります。つまり4番ロッドなら4番ラインを選びます。シングルハンドではヘッドとランニングラインがあらかじめ一体に繋がったフローティングラインをお勧めします。

OH&Dシューティングヘッドのリニューアルバージョン。初代OH&Dよりもほんのわずか重く、全長は短くなっていながら理想的なループ展開でプレゼンテーションできます。リーダータッチで静かにキャストできるアンダーハンドキャスト対応の為、透明度の高いフィールドや表層近くの魚にも充分対応できます。

初心者でも投げやすく、簡単に飛距離が出ます。 4番は北海道の川のニジマスや本州の本流大ヤマメなどにお勧め。5番は重いビーズヘッドやビッグドライフライも楽に投げられます。6番は湖のドライフライ、7番8番はシーバス、ライト青物や大河川のシングルハンドの大型ウェットフライなどにお勧めです。3番ライン以下は同シリーズOH&Dヤマメをお勧めします。

アンダーハンドライン用リーダーのシングルハンド用をお使いください。バットからティップにかけて長いテーパーで、スカンジナビアンSTヘッドとテーパーが連続するようになっており、スムーズなターンが可能になります。通常はティぺットをつないで使いますが、大きなフライの場合は直結しても構いません。
ダブルハンド
ダブルハンドもロッドとラインの組み合わせは8番ロッドなら8番ラインと同じ番手となります。

OH&Dシューティングヘッドのリニューアルバージョン。初代OH&Dよりもほんのわずか重く、全長は短くなっていながら理想的なループ展開でプレゼンテーションできます。リーダータッチで静かにキャストできるアンダーハンドキャスト対応の為、透明度の高いフィールドや表層近くの魚にも充分対応できます。

ダブルハンド用スカンジナビアンシューティングヘッドの決定版。グラムと番手の両表示でロッドに適合させやすくなっています。計算されたベリー部が理想のループを作り、安定したキャストを可能にし、フィッシングにおいて使いやすさを実感していただけるSTヘッドです。

OH&Dダブルハンド用STヘッドのチェンジャブルバージョン。もちろんそのままでもお使いいただけますが、複数本の異なるラインを組合わせることでフローティング+S4ティップや、S1+S3ティップといったシンクティップや複合シンクレートのフルシンクヘッド等フィールドにマッチしたヘッドを作ることが可能になります。

OH&D専用ランニングライン。シューティングヘッド用に硬めのランニングラインです。片側溶着ループ付き。ミストグリーンカラーの全長100ft、太さは2種類で026と030の2種類。基本的に026はシングルハンド、030はダブルハンドと使い分けていただくとOH&Dエボシューティングヘッドとマッチします。シンキングラインを遠投したい場合などはダブルハンドでも026を使っていただくとより飛距離が出ます。

アンダーハンドライン用リーダーのダブルハンド用をお使いください。バットからティップにかけて長いテーパーで、スカンジナビアンSTヘッドとテーパーが連続するようになっており、スムーズなターンが可能になります。通常はティぺットをつないで使いますが、大きなフライの場合は直結しても構いません。
キャストの仕方
シングルハンド
リフト
下流にラインを伸ばしきったらリフトを行います。リフトとは、ロッドを持ち上げることによって水面からフライラインを離す動作のことです。リフトをしないと、ライン全体が水面に張り付いたままで、ラインを移動することができません。
ボディターン
ボディターンはリフトが完了した次の動作です。足はそのままにして(あらかじめシュートしたい方向に向けておく)動かさずに上半身を上流側に15度開いていきます。腕だけで行わず、リフト完了後の上半身をそのまま保ちながら行ってください。またリフトとボディターンは動作を明確に分け、同時に行うことがないようにしてください。
ハーフサークル
ハーフサークルは、ボディターン完了後、ロッドを身体の右外側を半円を描くようにして、バックストップまで持っていく動作のことです。ハーフサークルは、アンダーハンドキャスティング独特の動作です。ハーフサークルによって、ラインははじめて大きく移動します。
バックストップ
バックストップは動作ではありませんが、ハーフサークル完了後に必ず含まれる要素です。バックストップでは意識的にロッドを止めてください。ロッドは耳の横を目安として止めます。
バックストップに含まれる重要な意味
ハーフサークルにおいてはラインが大幅に移動します。このとき、ロッドはラインの負担によって大きく曲がります。ロッドが曲がるということは、ハーフサークル完了後のバックストップの時点でも、なおラインは飛行中ということです。つまり身体の動作(ハーフサークル)が完了(バックストップ)した後に、ラインがロッドの曲がった分のタイムラグを経て後から追随してくるのです。バックストップ時は、その飛行するラインを目で追いながらコントロールする瞬間が発生します。このことは、ラインをコントロールすることを意味するだけでなく、バックストップの後に行われるドリフトができる時間が生まれるということも意味します。常に動作が先に完了し、ラインがそれを追って飛んでいき、そのラインをコントロールすることによって、正確なキャスティングが可能となるのです。バックストップでは、この間を発生させられているかどうかが重要なポイントです。
ドリフト
ドリフトは、バックストップ後にロッドティップの高さを変えずにわずかに肘を前にスライドさせ、次に行われるシュートの準備となる大切な動作です。実際にはロッドハンドを身体にわずかにひきつけ肘を時計の6時から5時に前に出し行います。ドリフトは、この前段階の動作がすべて正確に行われていなければ不可能な動作です。はじめのうちはなかなかできませんが、練習して上達していくにしたがってできるようになります。
シュート
シュートは、曲げ込まれたロッドが、その反発力でラインを前方の目標に飛ばしていく動作のことです。力強く放たれたラインは目標に向かって飛んでいきます。シュートの完了時にはロッドストップを明確にしてください。
ダブルハンド
リフト
ダブルハンドの場合は、グリップエンドをあらかじめ下腹に当て、上手の肘が伸びた状態からスタートし、肘を体の横に入れ込んで、肘の角度が90度くらいになるようにしてリフトが完了します。また、グリップエンドはシュート後にスタート位置と同じところに再び戻ってきます。
ボディターン
ボディターンはシングルハンドの場合と同様に、リフト完了後の状態をそのまま保ち、上半身を上流側に15度開きます。
ハーフサークル
ハーフサークルもシングルハンドと同様ですが、ダブルハンドの場合、下手があるため上手ではなく、下手を水平に半円を描くようにしてください。 上から見た場合、上手は支点となります。またロッドティップは同じ高さで移動させます。
バックストップ&ドリフト
シングルと同様です。
シュート
ダブルハンドではドリフト後、下手を強く下腹にひきつけてシュートします。リフトの時のグリップエンドの位置と、シュート後のグリップエンドの位置が同じになるようにしてください。
アンダーハンドの基礎(スライド)
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