「ランカースティック1155へのオマージュ」

1966年生まれ。兵庫県加西市出身。ブライトリバー社代表。トップウォーター用のロッド作りがライフワーク。1970年代のオールドフェンウィック、とくにグラスロッドを愛する。子どものころからフェングラスはあこがれ の素材で、それを使った1155、FC-38、FC-60などを開発したジム・グリーンを敬愛する。
●ブライトリバー
住所:大阪府摂津市西一津屋2-12
「1oz」の相棒を探して
兵庫県加西市で生まれ育った松本さんは、家の裏の池で毎日のように釣りをしている少年だった。小学3年のときに近所の池にバスという魚がいるという噂を聞いて、エビをエサにして一撃で釣ったのがバスとの出会い。ルアーフィッシングに夢中になった少年は『フィッシング』という雑誌でルアーの記事を読んでは記憶していった。
松本「雑誌で見て憧れたのがフェンウィックとアブ。とにかくかっこいいからフェングラスがほしく てしゃあなかった。当然買えないままガーッと釣りに行ってました。中学からブラスバンド部に入って大学時代まで音楽に夢中になってました。社会人になって一生懸命働いてストレス溜めますやんか。そのころ釣りを再開して、給料のほとんどを釣り道具に使う勢いでフェンウィックを買っていたのが27歳のころだったと思います(93年前後)。当初はスピナーベイトやクランクベイトも使ってましたが、そのあとトップウォーターだけやるようになってオールドのグラスロッドを探し始めました」
松本さんが当時メインで使っていたルアーの重さは5/8oz(18g)だったことから、ロッドはランカースティックFC60を愛用。ルアーメーカーで働き始めると1oz(28g)級を使うようになり、それに合わせてランカースティックFC64を愛 用するようになった。


1ozのルアーをライナーで遠投して静かに着水できる。1155と出会うまで愛用していた

松本「FC64は僕が憧れるフェンウィックのイメージそのもの。開発者のジム・グリーンさんが作るロッドは美しいファストテーパーが特徴で、1ozのルアーをライナーでピンスポットで遠投できました」
その後もヴィンテージロッドを集めるなかで2000年代に出会ったのがランカースティック1155というグラスロッド。
松本「1155は職場の後輩だった藤原雄一が見つけてきました。当時はFC64を愛用してたので、これいいよと言われても、なに言ってんのやと思ったけど、投げてみたらめっちゃよかった。1ozのルアーを近距離から遠距離までライナーでピンスポットに着水できます。さらにルアーのアクションが出しやすいんですよ」

1ozのルアーをライナーでピンスポットにキャストできる。ルアーの操作性も高い。この個体は1972年~1974年製。グリップはザ・ランカースティック・ハンドル(金属製) (下) ブライトリバー・モデル1155 /グラス(ブライトリバー)
長さ5.5ft。ルアー重量3/8 ~ 3/4oz、ライン8~20Lb。1ozクラスのルアーをライナーでピンスポットにキャストできる。ジム・グリーンさんが作り上げたファストテーパーの概念を復活させたロッド。ブランクは天龍のエンジニアと開発。バットのクロスラップは当時のグデブロッド社のスレッド(デッドストック)を使用。グリップはリバ ーマスターグリップ・ラバーガングリップ。現場でガシガシ使ってほしい
2008年に松本さんは藤原さんとブライトリバー社を創業する。会社を作る前に健康診断を受けたところ、腹部エコー検査で脂肪による反射光で肝臓が映らなかったことから、bright liver(輝く肝臓)という社名にしたという。



松本「自分でオリジナルロッドを作るとき、オールドフェンウィックを先生にすることがあります。ジム・グリーンさんが作るロッドは、バットとティップのバランスがよくて、キャストするときの力の抜け具合いが素晴らしいんですよ。愛用していたランカースティック1155は入手困難なので、70年代に比べて進化した今の素材と技術を使って、その素晴らしさを共有できるようにしたのがブライトリバーのモデル1155です。ジム・グリーンさんに会いたかったですね」