フィールドスタッフ小林 祐二「夏の終わりのヤマメ釣り」

私の住む福井でも、猛暑続きだった夏も少しずつではあるが弱さを見せ出した9月最初の週末。
7月、8月とまともな雨が降っていないため、谷は乾ききっていた。
ちょうど釣りに出かける3日前くらいに、良い雨とまではいかないがほどほどに降ってくれた事もあり、当日は若干ではあるが水位が回復していた。

前日までどこの川に入ろうか悩んでいたが、雨も降って条件が良くなったと思い今シーズンあまり釣果の出ていない谷に向かう。
なぜこの谷に向かったのかというと、この川のヤマメは9月に入ると早い段階で色が入り始めるからだ。

つづら折りの峠を抜け源流に降り立つ。
朝の気温は長袖シャツ一枚では肌寒いくらい。

準備を済ませ本流から遡行し始めるが一向に魚からの追いはない。
厳しいことは覚悟していたがここまでとは…。

最初は小場所を含め細かく探っていたが先ずは魚からの反応が欲しかったため、絶対にここはいるであろうポイントのみ打っていく。
結局いつもなら2時間くらいかかるコースを1時間くらいで釣り上がってしまったが、ほぼ魚からの反応は得られなかった。
とりあえず支流がぶつかるまでの一区間を終え、ここで退渓するか支流を少し進んだ先で退渓するか悩む。
支流はもう一つ水がなく厳しい状況。魚なんて居るはずがないと最初から期待はしていなかったが、折角だからとダメ元で支流に向かった。
本流から支流に入ると岩盤帯の滑床で形成された細い谷がつづく。まだまだ緑が濃い木々で覆われており、昇り切っていない太陽の光が葉の隙間から差し込んで眩しい。
歩みを進めると最初に現れた小さなプール、水面がキラキラと光り水中の様子がよく分からなかった。
ほとんど期待していない最初の一投目を一番奥の落ち込みに入れる。

ルアーはスローシンキングミノーで来春発売予定のモルフ50SS。

着水から少しポーズを入れてからの連続トゥイッチ。
そのまま誘って引いてくると手前で一瞬魚が見えたような気がする。
すかさず引っ張りすぎないように左右のダートと、一瞬のポーズを織り交ぜると食ってきた。
眩しくてよく分からなかったがランディングネットに収まるまでは一瞬の勝負だった気がする。
キャッチしたのは狙い通りのヤマメ。
まだまだ夏の装いで秋には少し早かったようだ。
体表に少し傷みは感じられたものの欠けることのない綺麗な鰭と厚みのある魚体、しかりとした大人の顔つきがカッコいい。
この猛暑を乗り越えた魚体はしっかりと成長していて、自然に生きる強さを改めて感じる事ができた。

この後も欲を出して釣り続けたがやはり反応は薄く、この日の釣果はこの一尾のみとなった。
毎年こんな猛暑が続き川の水がなくなればいずれ渓魚も絶えてしまうだろう。
この釣りをいつまでも続けられるのか?ついつい考えてしまう。

【タックルデータ】
ロッド:パスプルーバー PRV411SL-4 "Balsa Connect"
リール:2000番ハイギア
ライン: PE0.6号
リーダー:フロロ6lb
ルアー:モルフ50SS(2026年春発売予定)

パスプルーバー(PRV52SL-2 "Crisp Twitcher")

パスプルーバー

¥38,000(税別)

パスプルーバー グラスモデル(PRV48GSUL-2 "Glass Breath")

パスプルーバー グラスモデル

¥39,000(税別)