2026.04.01カブちゃんの北の便り 「番長に完敗した日」

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カブちゃんの北の便り 「番長に完敗した日」

2026.04.01 小甲 芳信
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カブちゃんの北の便り 「番長に完敗した日」

先日、毎年恒例行事のスカッディーウィークへ参戦して参りました。
先に結末から申し上げますと、番長はいたものの「負けたゼ、完敗!」で御座いました。

これまで過去のお便りでも度々お伝えしていましたが、このエリアのアメマスは個体数がめっきり減ってしまい、ここ数年はスカッドの出現と流下が起こっても、河口部へ集まるアメマスはほぼ見られない状況でした。
もしかしたら、ボクが訪れていない日には魚がいたのかもしれませんが、少なくとも以前のように多数のアメマスが集結し、熱いシーンが生まれる状況とまではいかなかったように思います。

そんな寂しい状況の中、毎年のルーティンで、さほどの期待感もなくいつもの浜へと降り立ちました。
時間は、夜空から少し明るさを増してきた5時30分。そこから背面にそびえ立つ急勾配な崖を越えて朝日が差し込むまで約2時間。日が昇り海面を広く照らすようになれば、魚は徐々にスローになり沖合へと戻ってしまう――そんな焦りも手伝ってか、この時間制限のある釣りは、日没前のイブニングライズに挑むそれとどこか似ています。

さて、まずこの釣りで一番初めにすることは、現場の海岸線に流れ込んでくる小川の水際を観察すること。スカッド遡上の有無の確認です。
スカッディーウィーク期間中であっても、その日の気温や気圧で全く見られない日もあれば、波打ち際の凹みに真っ黒になるほど溜まる日もあります。

フィールドの様子
フィールドの様子

ただ、この日は予想外に少なく、水際を登るスカッドはパラパラ……。 「まぁ、気温が上がれば遡上量も増えるだろうし、魚も寄ってくるだろう」と、呑気に波打ち際まで歩み寄りました。

すると――

「おおっ!!」

久しぶりに見る光景でした。
恐らく4〜5匹ほどの群れではありますが、断続的にボイルしているではありませんか。とはいえ、捕食対象は5mmほどのスカッド。モンカゲのイマージャーでも食べているかのような繊細なフォームです。これが実は、後から効いてくる“厄介なサイン”でした。

久々の状況にボルテージは一気に上がり、アメマスは水面直下での捕食(スカッドは水面を割らないので100%水面下)なので、慌ててインジケーターからフライまでの距離を詰めてアプローチ。

しかし開始5分ほどで、少しイヤな違和感を覚え始めます。

河口付近で広範囲にボイルしているということは、スカッドは泳いでいるのではなく浮遊している状態。つまり、産卵後に弱り動けなくなった個体です。

この状態では、アメマスのボイルはメイフライのイマージャーやユスリカピューパを捕食するようなディンプル系の静かなものになります。

ハッキリ言って、このシチュエーションはスカッディーウィーク中でもダントツに厄介です。おびただしい数のスカッドが漂う中で、自分のフライを見つけさせて食わせる――正直、簡単ではありません。

それでも、この状況を前に引く選択肢は無し。
まだ光量も少なく水中が見えないため、ひとまずブラインドで攻め続けます。

フライはラスティー系#12とタン#14。(TMC2302)
敢えて目立つ色とオーバーサイズで存在感を出し、見つけてもらう作戦です。

フィールドの様子
フィールドの様子

釣り始めて30分ほど。
ボイルコースにフライを送り込むと、インジケーターが気持ちよく引き込まれました。上がってきたのは50cmオーバー。イワシを飽食していた個体らしく、幅のある見事な魚体でした。

フィールドの様子

(ロッド:LOOPクロスS1の10.7ft / 7番)

この魚をリリースする頃には、水中の様子も見えてきます。
すると、5〜6m先で中型が回遊する中、10分に一度ほど、明らかに別格の“番長”が足元から3mほどの浅瀬に入ってくるではありませんか。しかも2匹。

さぁ、お遊びはここまでです。

この日は中型には目もくれず、狙いは番長一本。
しかし、これが全く口を使わない。フライの脇を通過すること5回。うち2回は寄るも見切り。こちらは奇声を上げて身体が反るばかりで、タイムリミットだけが迫ります。

足元を見れば、打ち上げられたスカッドが帯のよう。
ここでフライをライトグレー#14、ライトオリーブ#14へ変更。2度も見切られたことからリーダーシステムも0xから2xまで落としました(ティムコ スタンダードリーダー9ft)。

フィールドの様子

待つこと10分。再びチャンス。
先ほどと同じコースで番長が入ってきたタイミングで、フライを「スッ…」と40cmほど動かし、そのまま沈下。先頭の特大個体はチラ見でスルー――しかし、その後ろの個体がバイト。

これがなかなかの暴れん坊。やたらと走り回る珍しいタイプのアメマスでした。
そしてサイズは65cm。十分すぎる魚ですが、先頭の番長はさらに一回り上でした。

フィールドの様子

久しぶりの大型をリリースし、再び水面を見渡せば、長く暴れまわってくれたお陰でそこにいたアメマスらは全て居なくなってしまいました。
ついぞ番長に口を使わせられないまま、この日は終演を迎えてしまいました。

フィールドの様子

スカッディーウィークは、道南(桧山)で終わっても(4月1週目あたりで終息)、後志、石狩、留萌と北上しながら2〜3週間ほどズレて続いていきます(※3月27日現在)。

これからの地域では、まだまだチャンスがあります。
キーワードは「広い砂浜に流れ込む小川」。ひと跨ぎできるような規模でも成立します。水際に5mmほどのスカッドが見られれば、その先には60cmオーバーのアメマスが口を開けているかもしれません。

そしてもうひとつ。

海岸には、イルカやアザラシなどの海獣また、崖から転落死するなどしたエゾシカなんかも流れ着くことがあります。こうした死骸にはヒグマが居着くことがあり、非常に危険です。

フィールドの様子

近年は海岸線でのヒグマの出没も珍しくありません。
今後は「熊一目散」など熊撃退スプレーの携行も必要になってくるでしょう。

フィールドの様子

いよいよシーズン本番。

各地で大型アメマスの釣果も聞こえ始めています。
皆さまにも、この“激アツで胸アツ”なスカッディウィークでの出会いが訪れることを願っています。

それではまた、何かあればお便りします。ではでは。

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