【GLASS MASTER】進化を遂げた第7世代のグラスマスター

グラスマスター
グラスマスター

Accuracy & Controllability

日本の渓流に合わせて、進化を遂げた第7世代。
目指したのは「軽快感に富んだグラスロッド」。
グラスの持つしなやかさと柔軟性を活かしつつ、
操作性やキャスタビリティを追求。
ティムコが長年にわたって積み重ねてきた
グラスロッド開発のノウハウを結実させた、
現代的かつ実用的なグラスロッド。

それが「グラスマスター」。

GORE-TEX ACTIVE
商品ページはこちら
Material
グラスマスター

マテリアル「グラスファイバー」

ブランク素材には従来通りグラスファイバーを採用しているが、今シリーズではその中でもUD-Sグラスをメイン素材として選定しました。

UD(ユニディレクション)とは、ブランクの元となるプリプレグ(=グラスファイバーのシート)が、平織りではなく、一方向に繊維が整列している構造を指します。これに対して、前モデルでは平織りのEグラスを採用。SグラスはEグラスと比較してやや弾性が高く、反発力にも優れています。これにより、ブランク自体がより軽量に仕上がり、反発力も増加。その結果「ブレ」が抑えられ、アキュラシー(精度)性能の向上に繋がりました。

すなわち、「軽量で、ブレが少なく、反発力の高いグラス素材」がUD-Sグラスであるということになります。

またUD-Sグラスは、グラス素材特有の柔軟性を保ちながら、同時に高い反発力も持ち合わせているという特異な素材です。向上したアキュラシー性能は、釣りのシチュエーションが目まぐるしく変化する渓流において、大きなアドバンテージとなります。

前モデルと比較してラインスピードそのものに大きな差はありませんが、「ブレ」の少なさや、程良い強さの反発力によりキャスティングは一段とスムーズになったと感じます。さらに、持ち重り感の軽減や、振り抜けの良さも明確に改善されている点もポイントです。

一言で要約すれば、「軽快感に富んだグラスロッド」に仕上がったと言えるでしょう。

ディファレンス

グラスロッドと
グラファイトロッドの違い

ティムコがグラスロッドを手掛けてから27年が経過した。グラス製フライロッドが日本で確固たる地位を築いている背景には、懐古主義的な側面も否定できないが、日本の渓流魚を対象とした場合、性能面でグラファイトロッドに劣らないと捉えられているからではないでしょうか。では、グラスロッドとグラファイトロッドの違いについて、キャスティング、フッキング、ランディング、そして楽しさといった釣りの一連の流れに沿って説明します。※渓流で5~10ヤード程度の距離で釣りをする前提とします

  • キャスティング
    キャスティング

    硬質なグラファイトロッドでは、キャスティング時にキャスターが竿を曲げて、リザーブしたパワーを解放することで力強いループが生まれます。反発力が強いため、速い復元速度でブレにくく、シャープなループを作りやすいのが特徴です。一方、素材が柔軟なグラスロッドでは、軽い入力でもブランクが曲がりやすいという特徴があるものの、慣れれば楽にキャスティングできるようになります。グラファイトより反発力が弱いためラインスピードは出にくいですが、10ヤード程度なら速く振ることでカバー可能です。また、よく曲がるため「ブレ」が出やすく注意が必要ですが、慣れれば問題ありません。いずれの素材でも共通して言えることは、キャスティングの基本は「真っすぐにバックキャストし、真っすぐに前方へ振ること」です。

  • フッキング
    フッキング

    魚がフライに出た際のフッキング性能については、グラファイトでもグラスでも大きな違いはないですが、グラスは柔軟性があるため、やや強めの合わせが必要となります。いずれの素材でも、合わせの際にはロッドのバット部を利用します。極端にスローでマニアックなアクションでなければ、若干の力加減の違いだけで適切なフッキングが可能です。

  • ランディング
    ランディング

    ランディング性能については、柔軟な特性を持つグラスロッドの方がバレにくいと感じています。例えば、春先のライズの釣りで8Xティペットに#20のフライを用い、35センチほどのヤマメを掛けた場合、高弾性で硬いグラファイトロッドではハラハラしますが、グラスロッドであればラインブレイクや口切れのリスクが少なく、安心してやり取りできます。2024年に北海道でグラスマスターの764-4をテストした際には、大型のニジマスやアメマスでも余裕を持ってランディングできています。

  • 釣りの楽しさ
    釣りの楽しさ

    最終的には釣り人の好みによります。粘りや柔軟性といった特性をブランクに求める、あるいはそういった特徴が好きな人にとっては、グラスロッドでの釣りは楽しいものとなるでしょう。また、クリスピーなアクションや軽快さを好む人には、グラファイトロッドが向いています。魚の引きについては、ロッドが硬いほど魚も強く抵抗するため、引きをダイレクトに感じられるとして、高弾性グラファイトロッドを好む人もいます。自分自身は様々な素材・アクション・強さのロッドを、様々なシチュエーションで使ってきた経験から、釣り人の好みは千差万別だと実感しています。乗り物でたとえるなら、バイクが楽しいのか、車が楽しいのか、それとも自転車かといった話です。高回転型のピーキーなバイクが好きか、低回転型のトルクフルなバイクが好きかも人によって異なります。ちなみに自分はどれが楽しいかと問われれば、すべてが楽しいと答えるでしょう。それぞれの素材特性を理解し、それをコントロールしながら魚と戯れること自体が楽しいのです。ついでに言えば、グラスやバンブーといった素材は、我々人間の身体に不思議と馴染みやすいと感じます。

feature
  • グラスマスター

ブランクカラーと
スレッドデザイン

ブランクカラーの選定は毎回悩む部分ですが、今回のUD-Sグラス素材自体が白色であったことから、その特徴を活かす方向性で、明るめで透け感のあるカラーに仕上げることを考えました。その中で、過去に試作段階で検討していたいくつかの候補から、今回はトランスルーセントグレーを採用することとしました。

このカラーはいつか製品化したいと構想していたものであり、今回ようやく実現できたという思いがあります。メインスレッドにはブラウンを選択し、ロゴ周辺には透けないイエローとブラックで飾り巻きを施しています。

  • グラスマスター

グリップとリールシート

ロッドにおけるグリップは、釣り人の意思をロッドに伝える上で最も重要なパーツの一つです。しかし、同時に「機能美」も重要です。フライロッドに限らず、ルアーロッド、タナゴ竿、その他すべての釣竿において、この考えに基づいてグリップ設計がなされるべきです。

アメリカのバンブーロッドには、「この小さなグリップを大柄なアメリカ人が果たして握れるのか?」と思うようなものも存在するが、それらにはビルダーの強い“美学”と“意図”が宿っており、ある種江戸前の“粋”に通じるものが感じられます。

もっとも、プロダクションロッドとなると、バンブーロッドビルダーのように一本一本細部に至るまで手を加えることは難しく、そこが歯痒いところでもあります。その中でも、可能な限り理想に近づけるようなデザインを心掛けています。

今回のグラスマスターシリーズでは、ロッドのレングスとアクションを見据えた上で、グリップの長さと形状を個別に設計しています。

最もショートな5113-4には、極小のパンプキングリップを採用。
703-4には、レギュラーサイズのパンプキングリップを採用。

763-4および764-4には、前モデルと同様の形状である小型のフルウェルズグリップを選択しています。
リールシートにはコルクをチョイス。その理由は、ポケット&リングタイプの金具を使用した際にも、コルクの柔軟性によってリールのフィッティング性能が非常に高いからです。加えて、コルクは飽きが来ない、シンプルで美しい天然素材でもあり、長く使う上での満足感が得られるという利点があります。

ただし、昨今ではリールシートに使用できるハイグレードのコルクの入手が難しくなっている点が悩みの種となっています。

Detail

Lineup

各モデルの解説

以下に、現行の代表的なグラスマスターシリーズのモデルと、その特性を簡単に紹介します。

  • グラスマスター

    テストは前モデルとの比較を交えながら実施しました。率直に申し上げますと、前モデルは3番ラインではロッドにかかる負荷をやや感じにくく、4番ラインの方がさまざまな場面で扱いやすい印象でした。フライキャスティングにおいては、投げる距離によってロッドにかかるラインの重みが変化するため、近距離では重めのラインの方が扱いやすく、逆に距離が伸びるほど軽めのラインの方がコントロールしやすくなります。前モデルは実質的に3/4番相当であったと考えられます。

    しかし、今回のグラスマスター5113-4は、明確に3番ライン専用の設計となっています。前モデルに比べて、より柔らかくしなやかな調子となっていますが、決して弱くなったわけではありません。これはUD-Sグラスが持つ反発力が大きく貢献している結果であり、コンパクトな6ピースロッドとして高い完成度を誇るモデルとなっています。

    商品ページはこちら
  • グラスマスター

    3番ライン指定でありながら、非常に力強さを感じさせるモデルです。ベテランから初心者まで、使用者を選ばないクセのないアクションが特徴です。ティップからバットにかけての曲がりが実にスムーズで、キャスト時にラインが引っかかることなく、滑らかに放たれる感覚を得られます。3番ラインでフライを軽快にポイントまで運ぶキャスタビリティは特筆すべき点であり、ブランクスの「抜けの良さ」をどなたでも実感していただけるモデルです。

    ラインコントロールも容易で、実釣で使用する距離としては、足元から12ヤード程度が最適といえます。ほぼすべての小渓流から中規模渓流に対応し、汎用性の高さを備えています。強さとしなやかさのバランスが取れており、使うたびに「釣りが楽しくなる」と感じさせてくれる一本です。

    商品ページはこちら
  • グラスマスター

    3番ラインを使用し、日本のあらゆる渓流を釣りたいとお考えであれば、このスペックが最適です。レングスは、小渓流から開けた本流の瀬をブラインドで釣り上がるスタイルに非常に適しています。対岸の巻きを狙うような場面でも、バット部がしっかりとラインの荷重を受け止める構造となっており、同時に素直に曲がるティップによって、ロールメンディングが容易に行えるのが特徴です。

    柔軟なティップセクションは、魚のファイトに追従しやすく、魚を不必要に暴れさせることなく自然なランディングへと導いてくれます。結果として魚に無駄なダメージを与えず、持続可能な釣りを可能にするモデルです。

    商品ページはこちら
  • グラスマスター

    現在は3番ライン全盛の時代ですが、もしこれからグラスロッドをお使いになろうとお考えであれば、私は4番ラインを選ぶことをおすすめいたします。これはグラファイトロッドでも同様の傾向が見られますが、764というスペックは日本の渓流で最も使いやすく、汎用性に優れた設定となっています。

    仮に「日本の渓流で1本しかロッドを使えない」とした場合でも、私は迷わずこの764スペックを選択いたします。4番ラインはロッドへの荷重を感じやすく、それによってラインスピードの調整が容易になります。特に風のある状況では、3番ラインよりも明確に有利に働きます。また、使用できるフライサイズの許容範囲も広く、大型のホッパー系パターンなども無理なく扱うことができます。

    スペック選びにお悩みの方には、まずこの764-4をお試しいただくことをおすすめいたします。

    商品ページはこちら