トラウトスタッフ 下山大輔「夏色の渓と山女魚」
ここ最近は育児中心の毎日となり、渓流へ足を運ぶ機会も少なくなっていた。
しかし、この日は家族に小一時間だけ時間をもらい、季節が進んだ渓流へ向かった。
今回の目的は、以前から気になっていたオールドリール「ミッチェル408」の初使用。慣れ親しんだ渓流で、この一台の初陣を迎えられたことも今回の楽しみの一つだった。
TIEMCOのロッドシリーズはオールドリールが取り付け可能な機種が多く、リールフットを無加工で取り付ける事ができるのも魅力である。その中でもfenwickシリーズはオールドリールと組み合わせる事で、クラシカルなスタイルで楽しめる。
私は現行リールも使用するのだが、性能面よりも一手間かかるリールやギアが好きな事もあり、とても気に入っている。
アンチリバースを切り替えたり、ベールアームにラインが絡まない様に人差し指をラインに当てながらルアーを回収したり。そういった一手間に楽しみがあると感じる。
昔ながらの技術が込められたリールと現代の技術が加わったロッドを片手に意気揚々と夏色の渓を歩いた。
まずは瀬をテンポよく探りながら釣り上がる。魚影は確認できたもののバイトには至らなかった。それでもオールドリールのフィーリングを楽しみながら、釣りのリズムを少しずつ取り戻していった。
その後たどり着いたポイントは大場所ではないものの、適度な水が流れ、岩盤際が深くえぐれたポイント。魚が定位する条件が揃った期待できそうなスポットだ。
まずはアップクロスで流れ込みへミノーを送り込み、アクションを加えながら探っていく。すると、駆け上がり付近でターンする魚影を確認。反応を見る限り活性は悪くない。それでも口を使わないことから、立ち位置やトレースコースに原因があると判断した。
一度ポイントの外側へ回り込み、クロスからアプローチする。ルアーはラクス50S ライムシャートヤマメORベリーを選択。この時期は流下する昆虫を意識したアプローチも有効なため、ラインメンディングを行いながらナチュラルドリフトで魚の定位するであろうポイントへルアーを送り込んだ。
一投目は翻る反応があったものの、バイトには至らない。その後もアクションやトレースコースを変えながら探るが反応は続かず、あと一歩で口を使わせられない時間が続いた。
最後はポイントの緩やかな流れを最大限に利用し、余計なアクションは加えずルアーを自然に流下させることだけを意識してアプローチ。すると、手元にずしっと明確な重量感が伝わった。
慎重に寄せ始めると、水面に姿を現したのはコンディションの良い良型の山女魚。
フッキングが浅い可能性も考えられたため、穂先で軽くラインを煽る程度の追い合わせを入れた。追い合わせといっても強く合わせるのではなく、フックポイントをしっかりと掛け直す程度で十分。過度な入力は身切れやフックホールを広げ、かえってバラシの原因にもなりかねないため、あくまでも適度な力加減を心掛けたい。
この時期の山女魚はランディング直前のローリングや突っ込みでフックアウトすることも多い。最後までテンションを一定に保ちながら慎重に寄せ、無事ネットイン。ミッチェル408の初陣を飾る、納得の一尾となった。
短時間の釣行ではあったが、思い立った時にすぐ渓流へ向かい、美しい渓流魚と出会える環境が身近にあることを改めて実感した。限られた時間だからこそ一尾との出会いの価値は大きい。
これからも家族との時間を大切にしながら、自然への感謝を忘れず、一回一回の釣行を楽しんでいきたい。
【タックル】
ロッド:Fenwick GFS410SL-5J
リール:ミッチェル408
ルアー:ラクス50S(ライムシャートヤマメORベリー)