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2014.02.21

新製品「Rシューズ」内緒の開発ストーリー

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Foxfire発、ロングトレイルや源流釣行などのアドベンチャーをルーツにもつ、ミニマリストのための軽量ギア・レーベル「airista(エアリスタ)」から、遂にこだわりの“Non-skid rubber”を使用したラバーソールのウェーディングシューズが発売されました。

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本日は、発売までにかけた3年の歳月を、担当がたっぷり語ります。少々長くなりますが、この春のシューズをご検討中の方や、まだラバーソールのウェーディングシューズをお使いになったことが無い方、軽量化にご興味をお持ちの方など、ぜひご一読いただければと思います。


新製品「minimalist Rシューズ」内緒の開発ストーリー

開発に当たっては、「スタッドを打たなくても妥協できるグリップ性能を維持する事」を目標にしました。ラバーソールが各社から販売されて数年たちますが、フェルトソールと比較するとどうしても滑るのでスタッドを別売りするという流れになっています。滑りを止めるためにスタッドを打たなくても良いラバーシューズにするための試行錯誤が始まりました。

ソールの素材選び

各社から発売されている素材、スタッドレスタイヤに採用されている素材、氷上で滑らない靴に採用されている素材、ガラス繊維やアラミド繊維、貝殻、卵殻を砕いたものをゴムにいれ含浸してみたり、藁をも掴む気持ちで藁をゴムに練り込んだりもしてみました。(笑) (お付き合いして頂いた業者さんありがとうございました)
試せる物は全てテストした感じです。

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まず解った事は、

  1. 苔で滑る原理は、氷上の滑る原理とは違う
  2. なんでも入れれば良いという事ではない(笑)
  3. 藁だと種子が残ってしまう可能性がある(ニュージーランド等で使用できない)

ここまでやったのに、どれもこれも今ひとつ納得いく物ができず暗礁に乗り上げてしまいました。

そんな時に、一部の沢登りをする人たちが使っているという市販のシューズ(学校の上履きのようなシューズでソールにはウェーブ状のスリットが入っているもの)で滑らないのがあるという情報があり購入して試してみました。
何と!! 今までテストしてきた物とはレベルが違うグリップ力があり「キターーーーッ」という感じでした。この素材をベースにする事に決定しました。
さらにグリップ力を上げるために、色々な試行錯誤のスタートです。
ここまで既に1年ちょっと。

これで素材の方向性は決まりましたが、さらに欲を出してラバーの物性にこだわってみました。
柔らかくすると防滑性が上がるが耐久性が劣ってしまい、固くすると防滑性が落ち耐久性が上がるといったようにバランスが微妙です。さらに引き裂き強度、耐屈曲亀裂、反発弾性など全てのバランスの調整をする事に時間が掛かりました。コストを落とすために中国製のラバーも試してみましたが物性が安定せずに断念。日本製のラバーを使用する事にしました。やはり日本製は凄いですね。

ソールパターンへ

この素晴らしい素材をどういうパターンに落とし込んでいくか? 試したパターンも数知れず・・・・・。 会社からも「いったいいつできるんだ」という無言のプレッシャーを感じながら・・・・・。 まずは、素材選びの中で体感してきた事をパターンにしてみました。テストするにも型をおこさないといけないので慎重です。

  1. 石に触れる表面積が大きい方がグリップするのではないか?
  2. 全方向の滑りを抑えるために丸形が良いのではないか?

そこで、楕円形の大小のパターンを並べてみました。

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そしてテスト。んーーーーーー。なんか違う。滑る。納得がいかないぞ。金型が無駄に。トホホ。

第二弾パターン作成スタート。 やはり原型のウェーブスリットパターンに戻り少しアレンジしてみました。
前後の耐久性に不安があったので違う硬度のゴムを入れてさらに横の滑りを抑えるために縦のスリットを入れてみました。そして再サンプル依頼。この時点で上手くいかないと翌年リリースできません。プレッシャー。

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が、結果は惨敗。発売はさらに1年持ちこしです。この金型もボツに。トホホホホ。 (社長ごめんなさい) 満を持してのサンプルだったのですが、どうやら前後に入れた硬度の違う素材がやたらと滑る。縦のスリットも効果を感じない。
ここで冷静になり(かなり気づくのが遅いが・・・)「余計なことをせずに、ウェーブ状のスリットを全面に貼るのが一番じゃないの」という結論になり、ここは原点回帰。最終サンプル依頼。

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そしてテスト。良いじゃなーーーーい。よっしゃーーーーー。 かなり遠回りしたけれど、色々とテストした事により「今のパターンで間違いない」という確信に繋がりました。(何事も前向きに)

最終的に

  1. 石に触れる表面積が多い方がグリップする
  2. 柔らかく屈曲性がある方がグリップする
  3. ゴムの硬度も大きく影響する
  4. スリットが多い方がそれぞれのエッジが立ち滑りづらい(26cmのスリット数72本)
  5. 水を逃がす溝が必要

が重要である事が解りました。

これで開発の大部分を占めるソールが決定しました。ホッ。

いよいよアッパー部

足首部分にフィットし砂の侵入を防ぎ、かつ足首の動きを妨げない素材としてネオプレーンを上部に採用。シューレースを締めつけた場合も足をソフトに包みこんでくれます。

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8対のアイレットを採用。つま先から甲、足首への調節が可能

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つま先部には、成型パーツを入れて強度アップ

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屈曲部分を親指付け根位置に設定。自然な形での踏み込みができて楽に歩行できる。

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足裏の感覚と屈曲性

最終テストサンプルは、2タイプ作製しました。
ミッドソールの厚さを替えてテストしたかったのです。ウェーディングシューズは、足を入れるアッパー部と3層のソール(ウェッジソール・ミッドソール・アウターソール) から成り立っています。アウターソール(non-skid rubber)とウェッジソールは厚さが決まっているのでミッドソールの厚さを2mm替えて依頼しました。
防滑性としては、薄くする方が

足裏感覚を感じ易い
屈曲して石に張りつきやすい

但し、あまり薄く作製すると疲労の原因になるので、どこまで薄く作るかがキーポイントになります。 この2mmの差が随分と足裏感覚に影響を及ぼす事がよく理解できました。最終的に薄く作製したサンプルを採用する事にしました。

こんなに屈曲します。

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これでやっと最終形の完成です。やったーーーーー。

フィールドテスト

ここから耐久性を調べるためのフィールドテストが始まります。これをクリアしないと商品化できません。社内には“ツワモノ”ばかりいるので、このテストをクリアする事が大きな最後の障壁になります。(皆さま、ツワモノ呼ばわりしてスミマセン)

発売が遅れた事によりテストはみっちりとできました。(プラス志向で・・・)。 雪がある時期からテストをスタート。フェルトのように雪がへばり付きません。 春の渓流は、まだ苔も少なくかなりグリップしてくれます。 そして6月の中流域。関東でも屈指の滑る川と言われている渡良瀬川へ。他社製品ではスタッドを打たないと歩けない状況でも“non-skid rubber”はある程度のグリップ力を発揮してくれました。 そして夏場の山岳渓流へ。ここはこのシューズの一番得意な場所で、全く不安を感じませんでした。
2~3時間の登山道は快適そのもの。ここがフェルトソールとの一番の違いですね。特に帰りの道のりは歴然と差がつきます。(ソールが水を吸わないため軽い)

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最終チェックの耐久性

最後にクリアしなければならないのはソールの耐久性です。2~3ヶ月でソールが摩耗してしまってはどうしようもないですからね。 耐久性は最後まで心配で眠れぬ夜を随分?過ごしました。 ところが当初の心配はよそに十分な程の結果を得る事ができてひと安心。

Foxfireフィールドスタッフやガイドをしている方にもテストして頂きましたが沢山の「いいね」の声を頂きました。その中でも、毎シーズン何百キロという距離を歩いて釣りをしている佐藤成史さんが、今シーズンの主力ウェーディングシューズのひとつとしてブログに掲載してくださいました。 佐藤成史さんブログの記事

最後に

2014年  “non-skid rubber”を使用した“minimalist Rシューズ”は3年の開発期間を得てどうにか発売する事ができました。フェルトと同等の性能まではたどりつけませんでしたが、使い分けをする事によりその長所を感じて頂けるものと確信しております。また、「スタッドを使用しなくても妥協できるグリップ性能」という当初の目的は達成する事ができたと自負しております。 日本発信のブランドとして、日本の渓流に合ったラバーソールを発表する事ができたと思っています。

今シーズン、皆さまの足元を飾って頂く事を願って開発レポートを終ります。 永く付き合って頂きありがとうございました。
既に店頭に並んでいると思いますのでぜひご覧になって下さい。

開発担当者  Sより

▼ラバーソールの性能をご活用いただくために
当社で開発した「Non-skid Rubber」はウェットコンディションにおいて防滑性能が高く、源流遡行やアプローチにも使用でき、ソールが水を含むことによる重量増も抑えられます。しかしながら、ぬめりの着いた平滑な石や苔の状態によりましてはフェルトソールより防滑性能が劣るフィールドもございます。
この点も十分留意されて、フェルトソールと使い分けいただきますようお願い申し上げます。


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