カメラ機材の進歩など要因は様々ですが、以前に比べて鳥を撮る人が増えています。鳥に興味を持つ人が増えることは嬉しいのですが、知らず知らずのうちに、鳥の生活を脅かしてしまうケースも少なからずあります。それが僕にはずっと気掛かりでした。その注意喚起や啓蒙を中学生の頃からブログなどで発信してきましたが、人に伝えることの難しさをずっと感じてきました。そこで自分の思いを伝えていくための手段として選んだのが写真でした。僕の写真に興味を持ってくれる人が増えれば、僕の話を聞いてくれる人も増えていくと思ったんです。
野鳥撮影の講座を頻繁に開いているのも、初心者の人たちにまず最初に大事にすべきことが何かを教えたいからです。自分の著書でも啓蒙的な部分を大事にしています。鳥を追いかけ回して、彼らにストレスを与えてまで写真を撮る意味があるのか、そうまでして撮った写真に果たして意味があるのだろうかというのは、多くの人に共有したいことですね。無理に鳥の生活圏に入っていかなくても、鳥の生態を知る努力をして、正しいところで待っていればちゃんと良い写真は撮れる、そのことを教えたくて僕の場合は写真に向き合っています。その思いが僕の写真の根本にある。
野鳥写真家として人前に出て講座などをしていると、心無いことを言われることだってあります。そんなに野鳥を守りたいなら自分も撮らなければいいと。そういう矛盾を孕んでいますから。でも、誰かが啓蒙をしていかなければこの問題は変わらないので、使命感をもって自分が続けていかなければと思っています。