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Trout Fishingプロスタッフフィールドインフォ 水沼智宏 「『楽しむ』事の大切さ」

2023.10.16

水沼智宏 「『楽しむ』事の大切さ」

トラウトルアーアングラーとして、今年は自然環境や状況の変化、例年と違う魚の動きなど、様々な事を感じたシーズンでしたが、全国的な猛暑とメディアに映る各地で起きる豪雨災害に心を痛めたシーズンでもあったと思います。

 

私の仲間がいる秋田でも豪雨で草木が流され、川が埋まり、さらには猛暑、渇水や鳥獣被害など、魚にとって厳しい年であった事を聞きました。また、4年前ではありますが私の生まれ育った地域の渓流も、東日本台風の豪雨により壊滅的な被害を受け、子供の頃父や祖父と釣り歩いた景色はどこにも残っていないのです。

 

そんな事が全国各地で起こっているのかと思うと、今、自分が釣りができる環境がある事の有り難さも感じますが、それよりそもそも釣りを楽しめない環境の人達の辛さ、悲しさを感じずにはいられませんでした。

 

被害があった地域のトラウトアングラーの皆様には心よりお見舞い申し上げますと同時に、皆様のホームリバーの回復を心よりお祈りいたしております。

 

私自身も9月に仲間と共に毎年訪れていた川に向かいましたが、いつも綺麗なヤマメが顔を見せてくれていた渓にはヤマメの姿は皆無‥。時折、イワナが出てくる程度で、あまりの生命感の薄さに違和感を感じて周辺をよく観察してみると、直近ではないもののかなりの水が出た痕跡を確認。仲間と共に渓を後にした事がありました。

 

魚に出会うだけでも難しい地域もある‥。自分が釣りが出来る環境に居る事は有難い事。大きさや魚種関係なく、魚に出会える環境を『楽しむ』事が一番大事ではないかと思うようになりました。

 

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ここ数シーズンに比べると釣行回数が少なかった8月後半〜9月。釣りが出来そうな沢を探し、1またぎで渡れるようなチョロ沢を数箇所歩きました。キャストするのが難しいようなボサ沢も歩きましたが、時折良型のヤマメやイワナが食わないまでも顔を見せてくれるのが何より嬉しく、魚の逞しさを感じる瞬間でもあります。

 

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来シーズン発売のムックリ52Fをボサ下に流し込んで出てきてくれた秋の雰囲気漂うヤマメ。フローティングならではの釣り方で出た魚に暫し見惚れ、リリース。その後はなかなか釣果を出せずにいましたが、相当な水が出たであろう川でも避難場所になりそうなポイントでは魚を見かけていたので一安心。来シーズンにまた会おう!と、気温も下がり始めた秋の渓歩きを楽しみました。

 

禁漁間際の最終盤。午前中の仕事がひと段落し、午後の仕事まで3時間ほど休憩がとれそうだったので、「これが最終釣行かな‥」と、愛竿のフェンウィックGFS50SL-5Jを片手に昼過ぎに細流に向かいました。この時は水位が若干高かったのでミノーはナビア50FSを選択。カラーも細流や源流で抜群に強いグリーンハイランダーを結び、ボサをかき分け水辺に降りました。

 

シーズン終盤の攻略の鍵になるのはボトムレンジ。ウエイトのあるナビア50FSを着底させてリアクションで食わせるイメージで釣りをすると数投後、何も見えなかった流れから突然黒い影が現れナビア50FSを襲いました。

 

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出てきてくれたのはオスの秋ヤマメ。釣りたかった魚である事に間違いは無いのだけれど、釣れた嬉しさよりも先に思った事は、「早くリリースしなきゃな‥」ということ。急いで写真を撮りすぐにリリース。流れに戻って行く魚を見てその場に座り、沢の流れをしばらく眺めました。猛暑や豪雨など、辛く厳しいシーズンを乗り越えて今から産卵に入る魚達。心の中で感謝を伝えシーズンを終えました。

 

釣り人として、大きな魚やかっこいい魚を釣りたい気持ちはもちろんありますが、私の渓流ルアーフィッシングはそれ以外にも沢山の楽しみがあります。

 

知らない地を探検し地図にも載らない細流で釣れた魚は私にとっては貴重な魚ですし、仲間と共に釣り歩いた先で出会う魚は、大きさや長さだけではない『自分にとって価値のある魚』です。

 

アングラーの皆様それぞれに考え方やスタイル、価値観をお持ちだと思いますが、共通しているのは釣りは『楽しい』という事だと思います。年々変わっていく魚達との知恵比べを楽しむ事、綺麗な水と景色に癒される事、仲間と共に笑いながら釣りを楽しむ事など、様々な楽しみを感じながら来シーズンも水辺を歩いて行きたいと思います。

 

【タックルデータ】

ロッド:フェンウィックGFS50SL-5J
リール:カーディナルC3
ライン:ゴーセン ルーツPE×4  0.6号
リーダー:LDLフロロティペット3X
ルアー:ナビア50FS、ムックリ52F

 


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