「インファンテ800-4」と「インファンテ・オイカワスペシャル800-4」。この二つのロッドは元々は同じブランクだ。しかし単なる色違いというわけではない。このロッドを作った事により改めて色々な事を認識することができた。同じブランクでもブランクの仕上げ方法、グリップのサイズ、形状でアクションがこんなにも変わるものかと。
昔、ラス・ピークというロッドビルダーがアメリカにいた。このビルダーはロッドブランクに塗料を乗せて重くしたり削ったり、一本一本自分の望むアクションに調整しながら作り込み、グラスロッドとグラファイトロッドを販売していた。今現在でも高値で取引されているのも頷ける。また、スコットの創始者であるハリー・ウイルソンもグラスファイバーのブランク内部にグラスファイバー製のスリーブを入れ、硬くしたいと思うところに接着してパワフルなアクションを実現していた。スリーブのサイズを色々と変え、入れる位置を決めたりしつつ、理想とするアクションを作りだしていたのだろう。
こういった事が先人たちの知恵であり、今回のインファンテの2本のロッドには生かされている。オイカワスペシャルの方は、ノーマルのインファンテに比べトルク感や粘り感が増し、力強いブランクに仕上がっている。ブランク全体に施されている塗装膜が厚く重く、グリップが短く華奢になった相乗効果だ。今回の800-4に関してはこの効果を最大限狙ってみた。良い意味での進化と言えると思う。
反面ロッドパワーが上がるという事は繊細さはスポイルされてしまう。どちらが良いかは好みによるところなので、私からは何とも言えない事もお伝えしておきたい。これで2機種となったオイカワスペシャルの違いは、801-4はミドルアクションに対して、800-4はスローアクション。番手に関してはそれぞれ#1と#0と表記しているが、どちらのロッドもラインは0番でも1番でもお好きな方をお使い頂ければと考えている。
いよいよ渓流も解禁し、ぜひ今シーズン楽しんで頂ければと思う。
嶋崎了