ウィップフィニッシャーと言えばフランク・マタレリが有名で私も長く愛用していました。スレッドを掛けて回して抜くまでの一連の動作にひずみが無く快適なフィニッシュワークを約束してくれたからです。今では入手できなくなりましたが完成度が高いツールとして殿堂入りは確実です。
また、フランク・マタレリは販売していないレアなツールや販売されているツールに本人がチューニングを施し著名なタイヤ—や関係者などに配っていました。フランク・マタレリのタイイングのスキルなどは知りませんが作ったものを見る限りではかなりのタイイング好きであろう事が伺えます。
それらのチューニングツールのうちの一つにウィップフィニッシャーのエンド部にV字カットを入れて刃を付けたものがあります。フィニッシュした後にスレッドカットが出来る細工でした。以前アメリカのショーでマイク・ローソンのタイイングデモの時に自慢されたこともありました。TMCツールではハーフヒッチャーには付けて販売していましたが一個一個を熟練工が作るのであれば出来るのですが製品として安定を図るとなると難しくやめてしまった経緯もあります。
それではどんなものを作ろうかと思い手がけたのがTMCデュアルフィニッシャーです。初めに手がけたのはミッジサイズです。ミッジフィニッシャーのワイヤーを流用し、安直ですがウィップフィニッシャーとハーフヒッチャーをニコイチにして利便性を図りました。そして従来の色々なフィニッシャーよりも柄の部分を長くし使用時の安定感を向上させました。しっかりとホールドできるので慣れてくると戻れなくなるほどです。
それからスタンダードタイプを手掛けたのですが一つの問題が生じました。製作工場の機械の都合で先端部のテーパーがスローテーパーにしか加工できない事が判明しました。しかし取り敢えずその状態で使用してみるとこのテーパーは最後のスレッドを抜く工程の時に非常に使いやすいことが分かりました。
きついテーパーはストンッとかスッと抜く感じですが緩いテーパーはスーッと抜けるので気持ちよくフィニッシュできたのです。これは使ってみないと分かりませんがかなり快適なのではないか・・・との印象でした。不幸中の幸いでしたがこのまま商品化することを決定しました。
ハーフフィッチャーは最大公約数的なホールサイズにしてあります。フックアイサイズにもよりますが、ミッジは12番以下でスタンダードは12番以上くらいが目安になります。
先端部を極力薄くしてフックとの段差が出ない様にしてあります。ニッケルメッキを施し滑りがよいのが特徴です。
ホールド性が良く、安定感良く、気持ち良くフィニッシュ出来るTMCデュアルフィニッシャー。最後の締めの道具としてお使いいただければ幸いです。
