Fly Fishing記事 | ティムコ

小甲 芳信

Fly Fishing  プロスタッフ  小甲 芳信   カブちゃんの北の便り「北国のブリ」

2016.12.22

カブちゃんの北の便り「北国のブリ」

さて、久々の更新となりますが、決してサボっていたワケじゃありません。これまでに引き続き新たなジャンルに足を踏み入れ、そしてその成果と確固とした説明を皆さんへお届けしようと考えていたのですが、いまひとつ成果に恵まれずに今日まで来てしまいました。

 

思い起こせば2011年夏、遊び気分で船に乗ったのが間違いでした。場所は函館から程近い福島町の日本海。もっとも、オフショアからのシイラ狙いで20年くらい前に津軽海峡へ何度か出船したことはあるものの、ついぞその姿を見ることもなかった経験から今回もあまり期待はしていなかったのですが、「ブリが跳ねているみたいだよ?!」との友人からの話や、「トップウォーターのルアーで食ってきた!」などなど、「もしかしたら、フライでも可能性があるんじゃ・・・」と、ヒラメ用タックル(エサ釣り)とフライロッドを両手に抱えて乗り込んだのでした。

 

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結果から言いましてエサ釣りでヒラメが5枚のみの釣果でしたが、出会ったブリのナブラは4回。そのどれもがキャスティングレンジ内で沸き起こり、ブリだけでなくボクも血沸き肉踊る刺激的な状況!少なくとも数百匹はいるであろうブリが水面で飛沫をあげながら「ガボガボ」と騒いでいて、船の前方には直径300メートルくらいのナブラが起こっていたのですから!

 

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しか~し!!

悲しいかなオフショアでの青物未経験者のボクは、たいしたフライパターンを持っていたワケじゃなく「こんなんノリで食ってくるべや?」と、高を括っていたのでした。実際、簡単に釣れる気でいたもんですから、タモや取り込みの心配をしていたほど。まぁ取らぬ狸のなんとやらです。なめていたんです青物ってヤツを。使用していたフライはデシーバーやキャンディー、その他は海アメパターンのアレンジしたものでしたが、ナブラのど真ん中を引っ張ってくるボクのフライをブリは明らかに避けていました。まさか青物がこんなにもセレクティブだとは思いもよりませんでした。しかし、グリーンバックの背中を見せて群れ泳ぐ、そんな衝撃的な光景を目にしてから、その後はどんどん引き込まれて行き、シーズン中の殆どをブリに捧げるようになったのです。

 

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それからと言うもの、ルアーの友人らに色々と情報を頂きショアからでも狙えるエリアにも赴きながらいつかは釣れると信じ、様々なトライを試み、この間に本当に多くの事を学んできました。ここ北海道南部においてのブリのフライフィッシングのおおまかな説明をさせていただきます。

 

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①ポイント


まずはポイント選定ですが、これに関してはオフショアかショアかということになりますがここでは最近注目されているショアブリの釣りに関してのポイントについて触れたいと思います。ショアといっても港、磯場、サーフなどさまざまですがここでは磯場に関して考えてみたいと思います。磯場と一口にいっても千差万別ですが重要となってくるのは水深、潮通し、ポイントの地形(オープンエリアかいなか)などではないでしょうか

 

まず水深について。


磯場では、目の前が深ければ深いほどブリとの距離は近くなります。実際、様々な磯場に足を運びましたが、フライフィッシングの場合、バックスペースや障害物などの制約を考えると限られた場所しかなく、コチラ側の都合に合う場所は限定されてしまいます。そんな中でも、水深のある場所では沖合で起こるナブラがイワシなどのベイトを追いかけてかなり陸近くまで接岸してくれる時が稀にあります。

 

またこのような場所ではナブラの接近以外のチャンスも生まれるのです。そのような条件を満たしているポイントですと、沖合いで起こるナブラの群れとは別の個体が、エサを求めて足元の岩盤沿いに回遊してくることがあります。ボクらはそんな個体を【ハグレ】と呼んでいますが、主だって狙うのはこのハグレなのです。

 

元々ナブラは沖合いで起こり、ベイトの大量発生など特殊な状況下ではない限り滅多にフライのキャスティングレンジまでは来てくれません。(道南の場合)それ故水深のある磯場では必死に遠投を繰り返すよりも、丁寧に磯際までを攻める方がチャンスが広がるのです。事実、ルアーの友人の話ですが、岸際10メートルくらいからルアー回収に入ったとたんに「ガッパッーン!」と、ブリが食らい付いてくることが多々あるのだとか。事実ボクが初めて釣ったのも、足元3メートルから急浮上してきた個体でした。それはもうフライラインのヘッド部分を残し、ピックアップする寸前に水深2メートル辺りのところから黄色い背鰭がチラリと見えた瞬間、驚くほどゆっくりとスムーズに泳ぎ上がり、普段のマス釣りでは笑っちゃうくらいの大きなサイズのボクのフライを真っ白い口を広げて「シュポッ!」と一飲みでくわえ込み、鋭いサーベルのような尾ヒレをこちらに向けて急激な速度で潜っていきました。

 

そして水深と絡めて地形ですが、やはり重要となってくるのは目の前がオープンエリアであることではないでしょうか。水面から顔を覗かせる大小の岩礁帯がある場合、海アメマスやサクラマスには好都合に働く場面が多々あります。しかし全てではないでしょうがブリはそういったストラクチャーを嫌う傾向にあるように思います。そしてもう一つ重要なのが潮通しです。当然潮通しのよいところは多くの魚の回遊が期待できます。

 

つまりこれらを総合すると、条件としてはある程度水深があり潮通しが良くて沖から真っ直ぐに魚が接岸できて外洋に面するオープンエリアであることとなるのではないでしょうか。一方で、同じ北海道といっても津軽海峡を含む道南エリアとはちがって、オホーツク海沿岸ではサーフからのブリがにわかに脚光を浴びてきているようで、ベイトが豊富なのかサーフからでもフライで十分に狙える距離まで回遊してくるようです。詳しいことは分かりませんが、何人かの方々が素晴らしいコンデションのブリを釣り上げ、楽しまれているようです。

 

 

②ベイト


また、ベイトに関してですが、成長に合わせ小さな甲殻類からイカ、小魚などさまざまなベイトを食べていると言われています。わかりやすいのはイワシなどのいわゆる一般的なベイトフィッシュでしょう。ソルトフライにはそういったベイトの幾多のイミテーションパターンがあります。一般的に青物の場合、豪快な釣りのイメージがあるように思います。イワシなどのベイトフィッシュパターンをズバーンと投げ、リトリーブ。そしてガツンとヒットするこんなイメージではないでしょうか。

 

しかし、この釣りのそれだけではない別の面をみてしまったので今回はそのエピソードを書かせていただきます。「大胆な面だけでなく繊細な面もある釣り」それを発見してしまったのです。例えばそれは先にも少し触れた夏場のナブラ撃ちでの釣りでのことその状況をもう少し詳しく説明します。

 

「何かが違う・・・・」

そう気が付くまでは、広範囲に展開するブリのナブラに遭遇したことと、あまりの迫力に圧倒され、シャッカリキになってフライを投げ入れていました。何を補食しているのか?どんな補食行動を取っているのか?そんな初歩的な観察などもう全く頭になくて、もうその迫力に負けじと不安定な船上を転げ回りながらひたすらナブラへデシーバーを打ち込んでいました。数投したでしょうかすると…なんとナブラの本隊がコチラヘ向かってきたのです!もうリトリーブはこれでもかという勢いの“マッハ引き”で先頭集団の鼻先を霞めてやりました。しかし、食わない、食わない……。しばらくして食いつかないブリに業を煮やして直径100メートルを越す白い飛沫の塊ど真ん中へフライを投げ入れると「ザバァッッッ!!」と、瞬く間にブリの群れは海中深くへ……ラインの着水インパクトに反応したのですね…慌てて潜っていくブリの黄色いヒレがいくつも船の下を通過して行きました。ただただ圧倒され続けたナブラとの遭遇でした。

 

一匹も手にすることができなかった深い敗北感を味わいましたが、それと同時に「コレ、ぜんぜんフライでもイケるんじゃ?」と、ほんの少しの確信?自信?を手にすることはできました。その後、ナブラが見当たらない時間帯になってからエサ釣りでヒラメ釣りに興じていると、釣り上げたヒラメがパンパンのお腹から吐き出さしたベイトを見てちょっと驚きました。それは、体長3~4cmの半透明なシラス。これを見て全てが納得でした。ブリのナブラが目の前で起こっているにも関わらず、サケ稚魚やイワシのように捕食者に追われて水面上へ飛び出す個体が見えなかったこと。ナブラであっても、海峡マグロのようにブリが水面上へ魚体を見せるような補食行動ではなかったこと。群れ全体がゆっくりと移動しながら「ジュバジュバ」と吸い込み系のフォームだったこと。キャスト最中に感じていた一抹の違和感にようやくケリが付いた瞬間でした。

 

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しかしベイトの正体が解ったからといって全てが丸く収まるハズもなく、そこにはこれから始まるシラス地獄が口を広げて待っているのでした。暑さが厳しくなってくる7月早朝、津軽海峡に面した磯場では、相変わらず沖合で吸い込み系のナブラが起こっていました。もちろんベイトはシラス。遊泳力の乏しいシラスはただただ波間に漂っているだけなのでしょうか、全くと言って良いほど岸近くにまで来ることがありませんでした。いえ、もしかしたらブリの方が沖合のシラスだけを捕食しているのかそれは不明ですが、とにかくナブラがキャスティングレンジに入ってきてくれなかったのです。日がな一日中、巨大なナブラが沖合を右に左にと移動している、そんな状況もありました。こんな時はもう本当にお手上げ状態で、いつか接岸してくれることを祈っていることしかできませんでした。あれからというものポイントの選定も含めて、埋められない距離とシラスのフライパターンはボクの今後の課題となっています。

 

 

③ブリとのファイト

 

フッキング時、渾身の力で竿を立てようにも竿が下を向いたまま強制停止。「曲がるのコレ?」と笑っていた#10ロッドは明らかにコルクグリップからミシミシ言ってる。ガチ止めだったリールドラグは「ギィギィギー・・・」と。分かったつもりでいましたが、青物の“ガチのパワー勝負” 衝撃的でした。こんなファイトを強いられる青物の釣りをここ北海道で実感できるとは!オーバーな話ではなくこんなファイトを北海道の海でも味わえるようになったのです。

 

北海道のフライフィッシングでは新しいターゲットである “ブリ”。何人かの友人から「自分もショアブリをやりたいのだが、海アメで使っている#8ロッドでも大丈夫だろうか?」と聞かれたことがあります。で、結論から言いますと、シングル#8ではかなり難しい釣りになるでしょう。「時間を掛ければ・・・」と言われる方も居ますが、それでは周囲の方々に迷惑を掛けますし、地形などの状況で時間をかけてやりとりできない場合もあります。何よりも空気抵抗のあるフライを投げるのがかなり厳しくもなってきます。また、リールのドラグシステムが、青物ではとても重要だということも忘れられません。

 

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最後に

 

北海道内では間違いなく陸から釣る魚の最高クラスのパワーをほこるであろうブリ。今年10月には友人の奥様がトップ系のルアーを使っていて、確実にフライのレンジ内で掛かったという6kg超えのブリの話や、別のルアーの友人からはボクを見て「昨日のナブラは今フライを投げている距離の半分だったし、掛かったのは全部5kgぐらいのヤツだった」などなど、可能性を裏付けるには十分なお話を聞くこともできました。また、東京や新潟などで青物に奮闘している友人から頂いた貴重なアドバイスを元に、もっともっとこの釣りを探求していうこうと思っています。それと、こんな楽しい釣りを続けていくためにも、くれぐれもライフジャケットの着用など安全対策は万全に!!

 

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次回は北海道道南におけるそのシーズンと狙い目であるポイント、漁港のメリット&デメリットなどをお伝えしたいと思います。
 


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