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Trout Fishingプロスタッフフィールドインフォ 水沼智宏 「夕刻の越冬ヤマメ」

2018.04.12

水沼智宏 「夕刻の越冬ヤマメ」

近所の桜の蕾が開き始めた4月2日。「そろそろ本流域の様子も覗いてみよう!」と思い、宮城県内某河川の中流域を歩いてみました。

 

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この日は私用があったため出掛けた時間はすでに昼近く。サクラマスが遡上する河川ではあるのですが、あまり情報が多くない川のため、ポイント開拓のつもりで1キロほどの区間を歩いてみました。水色はそこそこ良いのですが、なんとなく魚の気配を感じられない‥しばらく釣り下ってみたものの、大きな鯉の姿を見ただけで何事もなく終了してしまいます。

 

「もう一区間見てみよう‥」と思い車を走らせポイントに着いてみると、子供達が楽しそうに石を投げて水切りをして遊んでいました。邪魔するわけにもいかなかったのでウェーダーを履いたまま車に乗り込み「さて、どうしよう‥上流の沢の探検でもしてみるか‥」と再び車を走らせていると、とある沢が頭に浮かびました。数日前、釣友との話しの中にたまたま出た沢で、綺麗なヤマメとイワナが混棲する場所。ただ一昨年に一度訪れただけで、昨年の状況や今現在雪解けがどの程度進んでいるのかも全く分からない状態でしたが、何か呼ばれているような気がしたのか‥その沢に向かうことに。

 

到着時ですでに15時半。雪解けの影響でかなり増水はしていたが、濁りはなく、釣りにはなりそうな状況です。恐らく釣りができるのはせいぜい2時間ほど。時間も無いので1番入渓しやすい場所に行ってみましたが、ここには先行者らしき車が停まっていたので、この場所を諦め下流に入ることに。

 

下流の入渓点を探し、急いで準備をして沢に降りると最初のポイントで幸先よく小ヤマメがシュマリ50FSに食ってきてくれました。

 

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この沢らしいオレンジの点が入ったヤマメ。これは上れば楽しい展開になるだろうと思い、釣り登っていくと、ポイントごとに小さいながらもヤマメが姿を見せてくれます。楽しく釣り登っていたのですが、岩盤の淵を高巻きして沢に降りた途端、何故か急に沢が濁り始めてしまい、あっという間に川底が見えなくなってしまいました。よく考えると移動途中に工事車両が入る場所があったので恐らく濁りの原因はその場所‥結局1時間ほどで沢から上がること・・・。

 

日没まであと少し「このまま帰路に着くか、もう一箇所降りるか‥」何となく最初の入渓点が気になり、向かってみると、もちろん先行者らしき車はもう無く、足跡は上流に向かって歩き、戻ってきたような感じ‥ということはこのすぐ下流は恐らく釣りはしていないはず。すぐ下流にいいポイントがあったはずなので少し遠回りして沢に降りました。この時点で時間はすでに17時半‥.。

 

偏光を掛けて沢に入ったもののギリギリ見えるくらいの光量。狙っていたポイントの手前のポイントで小さなヤマメが数匹出てきてくれたので、やはり先行者はここには入ってないだろうと判断し、狙っていたポイントへ。

 

距離を置き、数投してみたものの、先ほどのポイントと同じく小さなヤマメが2匹追いかけてくるだけ「ここならいいサイズの魚がいてもいいのだが‥」と、静かにサイドに移動しシュマリ50FSをボトムまで沈め、流れを横切らせるように通すと突然いいサイズのヤマメがルアーを追いかけてきた!ヤマメがルアーを追うスピードとルアーと岸までの距離を考えると絶対に追いつかない‥咄嗟にルアーをピックアップし、すぐにキャストしようと思った瞬間、ヤマメと目が合ってしまった!

 

「気づかれた!逃げられる!」と思ったのだが、タイムロスなく上手くルアーをキャストする事ができた!こちらを見た直後に着水するルアーをヤマメが見つけ、ルアーに一直線!シュマリ50FSを襲った魚は、未だ秋の雰囲気が残るオスの越冬ヤマメ。

 

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尺まではあとほんの僅かに届かない‥でも、そんなことはもうどうでもいいくらい素晴らしく綺麗な魚。「この魚がこの後、生き延びてくれて、今年の秋には一体どんな姿になっているのだろう‥」リリースしてからはその場に座り込み、ヤマメが戻っていった流れをしばらく眺めました。

 

産卵に参加して、越冬した渓流魚の場合、個体差はありますが、比較的早い時期から流れの中に入り餌を追う魚と、ある程度雪代が収まるまで、ボサや越冬場所からあまり離れない魚がいるように感じます。釣り登っていく過程で、越冬場所になりそうなボサや岩陰、落ち葉が堆積している場所などを見つけたらあまり近づかず、通し方やレンジを変えてみたりすると今までと違う魚が出ることもあると思いますので、シーズン初期の渓流では試してみてはいかがでしょうか?

 

そしていつも意識していることですが、渓流域や沢の場合、出来るだけポイントに近づかないことや、近づかなければいけない場所でも、身をかがめて体制を低くしたり、少しでも魚から見つかりにくいように釣りをすることが重要だと思います。

 

これから4月後半に向けて、魚も活発に動き出す時期になり、また山菜採りという楽しみも増えてきます。春の山は芽吹きと色彩豊かな花々に彩られる素敵な場所。みなさんも春の山歩き、沢歩きへ出掛けてみてはいかがでしょうか?

 

【タックルデータ】
ロッド:エンハンサーEH48L-4
リール:レアニウムCI4+ C2000HGS
ライン:PE0.6号 リーダー、フロロ6ポンド
ルアー:シュマリ50FS 195HGテネシー

 


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