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Bass Fishing社員ブログ フェンウィック・2014新モデル徹底解説 「TPMX610CMLP+JとTPMX66CMJ」

2014.03.10

フェンウィック・2014新モデル徹底解説 「TPMX610CMLP+JとTPMX66CMJ」

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いよいよ3月に入り、いよいよシーズンイン!といった感じです。今年で60周年を迎えるフェンウィックの2014年モデルが続々と店頭に並び始めました。今回はその中からテクナPMXの追加機種について語ってみたいと思います。

テクナPMXシリーズとは

そもそも、昨年登場したテクナPMXシリーズとはいかなるロッドなのか。根本的な部分を改めて触れておきます。フェンウィックはその60年の歴史の中で多くのイノベーションを起こしてきました。フェラライトフェルールの開発や真空製法など、その後のロッド生産においてスタンダードとなる技術や製法を世に送り出してきたのがフェンウィックであることに異論は無いでしょう。

同時に、新たな素材の研究開発と製品への投入を行ってきたことも、フェンウィックの特徴と言えます。世界初となったグラファイトロッドをはじめ、ボロンなどを積極的に採用し、時代をリードしてきました。その中でも1998年「テクナAV」に採用された「アラミドヴェール」の登場は、大きな出来事と言えるでしょう。軽さのみを追求したロッドではなく、真の釣り道具としての機能、効果を確実に体感できる素材と製法をロッドに反映させることは、フェンウィックのポリシーに合致するものだからです。

2013年にはそのアラミドヴェールと3M™Powerlux™を融合させたテクナPMXを完成させました。Powerlux™はナノサイズシリカ粒子を配合したレジンを使用したカーボンプリプレグにより、強度向上と軽量化を同時に実現しただけでなく、高い剛性によって感度やシャープさをも手に入れた素材です。まさに見た目やギミックではなく、リアルイノベーションであり、フェンウィックの目指す新たな高みに必要な素材でした。

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ロッドにはルアーを操作したり、バイトを感じたりする状態とキャストやフッキング、魚を寄せるという動作を行う状態の2種類があります。前者はロッドに掛る負荷は低くなり、後者は瞬間的、あるいは継続的に高い負荷がかかります。低負荷と高負荷の両方にハイレベルな対応が求められるのがバスロッドであり、ロッド作りの永遠の命題と言えます。テクナPMXは低負荷時にはPowerlux™の特徴である高強度、高剛性、軽さとシャープさが際立ちます。そしてひとたび高負荷がかかる状況になれば、アラミドヴェールの特徴であるしなやかさ、追従性、そして筋肉と称される復元力が威力を発揮するのです。

Powerlux™とアラミドヴェールの融合でしか成し得ない、まさに新世代のブランク性能であり、その性能はフェンウィックでしか体感できないのです。簡単にいえば、補強材としての進化のカタチがアラミドヴェールであり、メイン素材としての進化がPowerlux™ですね。人間の体に例えるならば、無駄なく鍛え上げられた筋肉こそアラミドヴェールであり、体幹部、あるいは骨密度の高い骨格がPowerlux™と言えるでしょう。その両者がバランス良く保たれた時、理想的な体(つまりはブランク)になるのです。ガイドのセッティングを含むアウターパーツはあくまでもその能力を最大限引き出すための道具にすぎません。60年の歴史を誇るフェンウィックですが、アラミドヴェールとPowerlux™の融合を成し遂げた今、新時代の扉が開かれたと言ってよいでしょう。

フィネスガイドセッティングは単なる小口径化(いわゆるマイクロ化)にとどまることなく、試行錯誤の末にたどり着いたフェンウィックオリジナルセッティングです。軽さやコストダウンを追求して小口径化したうえに個数を減らしているセッティングも見受けられますが、フェンウィックのガイドセッティングはロッドごとに煮詰めていって最適な数量とサイズ、位置を決めています。特にラインにテンションをかけすぎないことが、実際にバスを多くキャッチするためには重要なので、最もバット寄りのガイド、2番目のガイドのサイズにこだわっています。

では、各モデルについて解説していきます。

TPMX610CMLP+J

テクナGPシリーズにラインナップされている、TAV-GP611CMLP+Jというスペックをベースに開発されました。そもそもTAV-GP611CMLP+Jは開発担当の私がテクナAVのあるロッドを改造して密かに試していたロッドが原型です。まだベイトフィネスという概念生まれる前に、霞ヶ浦水系でのトーナメントで多用していた軽量テキサスリグ(1/16~1/8oz.シンカー+スモールワーム)でのアプローチに見合うロッドが無かったため、当時のテキサスロッドとしては極めて繊細なティップとそれとは不釣り合いなほどパワフルなバットを持ったロッドでした。食わせの間を与えるティップは、高比重ワームのノーシンカーリグなどでも大活躍し、スタッフからは「バイトを育てるティップ」と言われるようになりました。結果として霞ヶ浦水系でのライトテキサスやヘビダン、琵琶湖でのノーシンカーなど、テクナGPの中でも人気機種となったのです。そのTAV-GP611CMLP+Jをベースに、新たな素材とガイドセッティングを加えたうえで、プロスタッフの経験や意見で味付けしたのがこのTPMX610CMLP+Jです。

ベイトフィネスではない、でも典型的なテキサスリグロッドのようなパワーでは強すぎる、もっと繊細さとパワーを兼ね備えたロッドが欲しい、という時には出番が多いロッドです。TAV-GP611CMLP+Jに比べると、ベリーからバット部へのパワー移動がスムースなため、キャスト性能やライトライン(8~12lb程度)への負荷を軽減し、ラインブレイクやフック伸びを防ぎます。かといってバスを浮かせる、寄せるパワーは非常に強く、アラミドヴェールとPowerlux™の融合によるブランクの特徴を感じることが出来ます。いざ、パワーが必要とされた時(高負荷がかかった時)のテクナPMXシリーズのパワー、剛力たるや驚異的なものがあります。繊細なティップはフィネスガイドセッティングと相まって、操作性、感度、何よりもバイトを弾かない点が素晴らしいと思います。

個人的には、霞ヶ浦水系や各地の河川でライトテキサス、ヘビダン、パンチショットなどでカバー周りを撃つ時には絶対に持っていくロッドになっています。この界隈に通われている方ならすぐにわかると思いますが、1/8~3/16oz.シンカー+ワームのウェイトというリグは非常に出番が多いもの。消波ブロックの穴撃ち、クイへのヘビダン、アシ撃ちなど、その用途は多岐にわたります。一方、琵琶湖では高比重ノーシンカーワームを使う時に欠かせません。

テスト過程では敢えてオーバースペックなリグやワームをセットしてみました。具体的には1/2oz.シンカーのテキサスリグにプロトのPDLビロビローン7インチといった大型ワームです。このロッドで使用するには重すぎ、大きすぎですので、当然フッキング性能や操作性が悪くなってしまいます。しかしロッドの限界点を知るためにはアンバランスなセッティングでどこまで機能するのか、を確認しなくてはなりません。琵琶湖のウィードでオーバースペックなリグで果たしてフッキングさせられるのか、魚は寄せられるのか、といったテストです。結果として、フッキングもしましたし、グッドサイズのバスをウィードからキャッチすることが出来ました。もちろんフッキングの仕方、ロッドワークなどは無理やりリグに合わせた感がありましたが、繊細な中にもパワフルさが潜むPowerlux™とアラミドヴェールの懐の深さ再認識できました。

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「テストでキャッチしたグッドサイズ。ウィードの中に潜むナイスサイズにも主導権を渡すことなくキャッチ。」

7ft弱というロングロッドでありながらも軽く、取り回しの良い長さのリアグリップなど、使えば使うほどに良さを実感するロッドになると思います。

TPMX66CMJ

フェンウィックには常にラインナップされていると言っても過言ではないスペックである66M。中量級バーサタイルロッドのスペックとして、過去の66CMと比しても最高の出来と胸を張れるロッドに仕上がりました。メインマテリアルにPowerlux™1000を使用して、シャキッとした張りと軽さをもたらしています。バーサタイルなロッドというのは時に「帯に短し襷に長し」状態で何でも使える=何にも使えない、となる危険性があります。特に専門性の高いスペックの多いフェンウィックの上位機種においては、中途半端なロッドは結局使わない、という憂き目を見ます。ですから開発する前の段階から、高い完成度をもってなければ生き残れないスペックになると覚悟して作ったロッドです。

バーサタイルロッドとしてはハードベイトへの適性から先に考えました。3/8~1/2oz.のスピナーベイト、チャターベイト、ジャークベイトを念頭に入れています。ジグやワームへの適性も譲れないわけなので、クランクベイトロッドのような粘りやスローな曲がりは持たせていません。振った感じはシャープなのですが、投げやすく、繊細なティップにブレードやルアーの挙動が的確に伝わる感度の良さを持っています。個人的にはスピナーベイトとジャークベイトには良く使っています。

ジグ、ワームへの適性としてはやや軽めのテキサスリグ、パンチショットなどに。使用するワームが少々大きくても問題なくフッキングするだけのパワーと、ボトムを感じる繊細なティップを持っています。どちらかと言えばハードボトムでの釣りに合うでしょう。フットボールジグを使うなら野尻湖や桧原湖のようなディープフラットで使うと良いでしょう。リアクションとしての使用だけではなく、ズル引いたりシェイクしたり、食わせの要素も必要な場合のフットボールジグに使いたいところです。3/8oz.キャリラバにベイトフィネスクローやフラッピンホッグJr.がオススメです。

昨年TOP50年間チャンプに輝いた北大祐プロは遠賀川戦ではライトテキサスリグによるピンスポット撃ち、野尻湖ガイドでのフットボールジグとこのロッドの高い完成度に惚れ込んでいます。

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「2013年トップ50遠賀川戦での北プロのデッキ上。テクナPMXが並ぶ。この中の1本は既に完成形に近かったTPMX66CMJである。」

残る2本は次回に。

開発担当 鬼形 毅


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