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小甲 芳信

Fly Fishingプロスタッフ小甲 芳信 カブちゃんの北の便り「イワシ爆食いアメマス」

2024.05.09

カブちゃんの北の便り「イワシ爆食いアメマス」

皆様ご無沙汰してます、北海道の小甲です。釣りシーズンもたけなわとなりました。皆様は、良い釣りされていますか?

 

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ボクの方はと言うと、今年の日本海ではちょっとした異常事態が起こっていました。それは、これまで聞いたこともないような重さのアメマスが、そちこちで釣り上げられていたのです!SNSなどでいくつかの画像を見せて頂いたのですが、もはや“モンスター”というよりも殆ど“ジュラシック”。「ぶったまげた!」って言葉がよく似合うほどの巨漢のアメマスたち。

 

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海アメのハイパーエキスパートが仕留めたド迫力の70超え!!

 

このアメマスの超大型化を手伝ってくれる大きな要素は単純に豊富なエサによるもので、昨年の北の便りでも書いた記事と同様に、今年もイワシの接岸によるものでした。そして今年は、そのイワシの接岸が大規模で長く続いたことにより、アメマスらが絶え間なくイワシを食べ続けられた結果、恐ろしいほどに見目麗しい魚体の魚が次々と産み出されていったのです。

 

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そもそも、北海道でイワシが越冬するなんてことはこれまでなかったことなのですが、もしかしたら温暖化により魚類に於けるバーティカルラインが崩れたのでしょうか?バーティカルラインは地球規模で見たら数十キロ~百キロ単位の“僅かな”移動や変動は日々起こり得ることですから、地球史からみたらほんの一瞬の出来事なのかもしれません。

 

さて、一方ではベイト(イワシ)が大量接岸していても、そこには釣り人側にとっての落とし穴とも言える良し悪しがあるのです。確かにアメマスは大型化し、迫力ある風貌に育ったとしても、イワシによって24時間目一杯フルで満腹な状態なのですから、たかだか10センチに満たないボクのフライなんかにゃ食ってくるワケがない!(笑)

 

あまりの反応の悪さに業を煮やし、ブリやシイラに使っているイワシに寄せたバカみたいに大きなストリーマーを「スバーン!!」と投げ入れ、イワシの如く「シャッ!シャッ!シャッ!」と引っ張ってみても、目の前のジュラシックはモノすっごく面倒クサそーに「ユラユラ~リ・・・・」と、後ろを追尾するだけ。しかもたったの1度だけで帰らはります。まったく持ってイケズの極みです(涙)

 

そんな折り、磯海苔を摘みにきた老人が釣れないボクを見かねて

「イワスっこガジャガジャってわいでるもんだもの、マスだっかかぁーねーど?」
(訳:イワシが大挙して入ってきてるんだもん、マスはソレを食べてるから釣りエサには掛からないぞ?)

「この浜さうずってゴンジュウ年以上たづけど、こったらごとオレァ初めでだ!」
(訳:私はこの海辺の町へ移り住んで50年以上経つけど、こんなことは初めて見た!)

と、仰っていたほど。

 

とは言え、先にも述べましたがこのような状況であってもちゃんと現状を把握して、釣られてる方もいらっしゃるのです。そのような方々は、もはやエキスパートと言った言葉だけでは収まらない超ハイパーエキスパートな方々なのです。両手で抱えられたそのアメマスの画像は、もはやアメマスの範疇を越えたシルバーサーモンのような見た目の迫力に目を奪われるばかり・・・・

 

また、さすがと言うかやはりと言えば良いのか、エキスパートの方達は、決してボクのような“まぐれ当たりのラッキーフィッシュ”などではなくて、ちゃんと状況を把握して場所やフライを選び、その結果として複数匹を釣り上げていらっしゃるのです。ここら辺が、行き当たりばったりの出たトコ勝負的なボクとは大きな違いがあるのです。もう、毎度のコト反省する事しきりです。

 

そしてそんな釣果を見聞きすると、今年はとにかく“7”というキーワードが目立つ年回りでした。70cm、75cm、77cmまたは7kg越え・・・・どれもがサケなどではなくて、正真正銘アメマスのフライ釣果報告というのだから驚きでした。

 

ボクはといえば“掛かっても37cm”で、このイワシスクールを襲う大型が多数釣られる中、ようやく手にしたのはギリギリイワシを襲えるかどうか?の47cmぐらい!(笑)。自分の下手さ加減にはホトホト呆れるばかりです。ところでボクは、ロングキャストが下手クソだから単純に水深を稼げる磯周りをテンポよく打ちながら移動するスタイルが好きで、よく居着きのアメマスらを拾い歩いています。

 

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そして磯周りで釣りをする際、皆さんにもご注意されて欲しいのは、海アメに限ったことではないし、北海道限定での話しでもないのですが、とにかくラインを傷付けてしまいがち。足元に落としたランニングラインなど、岩のエッジやフジツボなどに軽く引っ掛けたり、キャスト&シュート時に加わった瞬間的なテンションによっては、まるでカミソリで傷付けたかのようにささくれてザラザラになってしまいます。

 

また、ラインバスケットから溢れてそのまま足元に落としてあるランニングラインが、カラス貝(イガイ貝)なんかの二枚貝に挟まれてしまえば、軽く引き抜いただけで最悪切れてしまうのです。そうなっては釣りどころではないですし、高額なラインシステムを総入れ替えしなければならなくなります。ですので、釣りの最中のライン処理には、十分に気を配るようにして下さい。

 

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そして今回、海アメや湖などのリトリーブを中心とした釣りを行うにはベストマッチなフィッシングベストがFoxfireより出来上がりました。その名も「Jストリームバラストメッシュベスト」。そもそも、ドライフライフィッシングのように様々なケミカル材や小物などを入れる小さなポケットをさほど必要としないこの釣りでは、Lサイズのフライボックスを収納する大型のポケットが装備されていてとても便利。

 

そしてなおかつ、冬場の厚着でも着脱が楽に行えるサイドストラップと前側のワンタッチボタンは、とても有難い機能です。また、特にラインバスケットを必須とするこの釣りでは、ウエスト近辺がクリアになっているのはとても有り難く、リトリーブする腕や掌の動きの邪魔をさせません。

 

それでいてこのような機能性を保持していながらも、ベストの重量が分散されるような肩付近の生地の構造が、重量による肩こりなどの首回りの疲労を軽減してくれるのが良いですね!そして、これほどの機能性と利便性がありながら、2万円台前半で買えるのも「◎」!

 

さて、そろそろ終わりを迎える海アメマスのシーズンですが、なんと今年はイワシに続いてオキアミも大量接岸してしまい、それらを目の前でボイルするアメマスに手も足も出ない日もありました。そして、たくさんのドラマが生まれた今年の海は、きっと来年への可能性も産み出してくれるのでしょう。

 

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今後のボクは、夏に向けてのシイラやブリへとシフトしていきますが、また何か面白い出来事があれば、お便りしたいと思います。

 

 


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