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小甲 芳信

Fly Fishingプロスタッフ小甲 芳信 カブちゃんの北の便り「水中流下してくるテレストリアル」

2022.12.14

カブちゃんの北の便り「水中流下してくるテレストリアル」

ご無沙汰しております、北海道の小甲です。今年は、前回のお便りでもお伝えしていたようにオフショアの釣りがメインとなっていて、ニジマスなど、川釣りでの釣果はあまり目立って良いものがはありませんでしたが、そんな中でもいつものようにサイトフィッシングは楽しんでいました。

 

マイブームの、ドロッパーにシマザキ・ヘアラーバ、リードにパートリッジをあしらったケースドカディスかMSCニンフの組み合わせで釣りをすることが多くなっていましたが、近年のハイプレッシャーな釣り場では全体的に黒っぽいカラーのヘアラーバは目立つ分だけ見切られることも多く、またソコソコのサイズ感なだけに一発勝負的な側面も持ち合わせていました。

 

♂の秋ニジ

 

そんな見切られた時のフォローとして、これまではヘアーズイヤーなどの水生昆虫を模したニンフでリトライしていたのですが、特に最近では、一度見切ったあとは不信感を憶えるらしくその場から立ち去るニジマスが増えてきました。

 

そこで、これまでのような大らかな攻め方よりも、のっけからタイトに組み立てる釣り方が求められるようになってきました。例えば、魚を見付けてからのファーストアプローチでは、#14のフェザントテールニンフと#14のクロスオーストリッチだったり、はたまた#14のケースドカディスと#12のヘアーズイヤーだったり・・・。

 

もしかしたら、本州の激戦区や人気河川で楽しまれている方々にとっては、驚くほど大きなフライでのアプローチと笑われてしまうかもしれませんが、コチラ北海道の一般的なフリーストーンの河川では大型のニジマスを狙う上でユスリカやコカゲロウに執着しているワケでもないのに、このサイズのニンフを最初から使うとなると、なかなかタイトな釣りの部類に入ってくると思います。

 

カブちゃんの北の便り2020.11.17』でお伝えした高カロリーの法則なんかのこともあるので、一概に小さなフライが効くワケではないですが、それでもハイプレッシャー下で幾つものフライやルアーを見てきた魚に対してアプローチを始めるには、この辺からが最も無難な選択だと思っていました。ですが、ボクが使うニンフには、もう一つのとっておきがありました。それは『水中流下してくるテレストリアル』を前記したフライローテーションの中に組み込むことです。

 

そのパターンとは、最初はプリンスニンフやターミネーターのようにピーコックを主軸としたニンフが取っ掛かりで、ある時はCDCで生命感を際立たせていたり、またある時はハックリングで動きを演出してみたりと、これまでは代表的なパターンのバリエーションのようなニンフをローテーションの中に組み込んでいました。

 

それで、何度か使用しているウチに、「要するにピーコックを用いてテレストリアルに寄せているのであれば、もはやズバリそのものを巻いてしまった方が手っ取り早いんじゃ?」との思いから、これらのような完全甲虫類のイミテーションを使用するようになったのです。

 

テレストニンフ

 

そして面白いことに、何度か使用していることで実感したのが「アンダーウォーター(以下UW)テレストリアル」は、サイズに関しては割とルーズなことが多い」ってことでした。敢えて言い方を変えるならば「このUWビートルだと、サイズが小さくとも大きくともだいたい反応してくる」ってことなのです。

 

以前、鮮やかな紫色の羽を広げるカワラバッタが目立ち始めた道東の山岳渓流でも、#6~12のブラックヘアーズイヤーが大変良く効いた思い出があるのですが、今考えてみれば、それはもしかしたらそれぞれの魚からはテレストリアルと認識されていた可能性が高いのではないだろうか?と、思えてくるのです。

 

これまでの『北の便り』でも何度かお伝えしてきたように、北海道では4月頃から11月頃まではテレストリアル(甲虫類)が非常に多く流下しています。もちろんそれらには、秋に起こるカメムシやテントウムシの異動期のようなある時期の特殊なタイミング以外では決まった大きさなどの規則性はなく、テントウムシからミヤマクワガタまでと大小様々なサイズの甲虫が流下しているのです。

 

テレストニンンフを猛襲!

 

それらを裏付けるように、このUWテレストリアルではマスの目に留まるや否や、フラリと近寄ってきて「パクン!」なのです。中には慌ててスッ飛んできてかぶり付くヤツさえいます。このフライを見た友人からは「コレ、小さな甲虫(コウチュウ)じゃなくって、小甲虫(コカブムシ)じゃない?」と、笑いを取れるほど反応が良かった時もありました。

 

また、ストマックポンプを使われている方には良く見られる現象だと思いますが、捕食物の中に単一のメイフライやカディスのハッチの最中でも、その中に混じってテレストリアルが捕食されている(恐らくはハッチの合間などに捕食したのでしょう)のを頻繁に見てこられたのではないでしょうか?それはアリだったり蜂だったり、時にはバッタやコオロギ、クモにインチワーム系なども見られたでしょう。それぐらい、陸生昆虫とは川魚にとって重要な位置づけのエサなのだと思うのです。

 

 

【アンダーウォーターのテレストリアルというカテゴリー】

 

もうホントにくどいようですが、決まった単一の水生昆虫を模写しているのではないのですから、それぞれに見合った場所・タイミング・使い勝手の良さなどを踏まえて、大きめのアントを沈めても良いし、小型のビートルであっても良いと思うのです。

 

しかしこれらは、プリンスニンフやピーコックニンフ、テリコニンフなどのような昔から使われてきたニンフが持ち合わせる汎用性をテレストリアルという一定方向へと絞り、突き詰めた答えがこの【アンダーウォーターのテレストリアル】なのだと思うので、何も真新しい釣り方やジャンルなどではないと思うのです。そしてその釣りは、時に季節外れとも言える11月の小春日和でさえ強烈な効果を発揮する時もあるのです。

 

14番のピーコックとレッグだけ

 

蛇足ですが、画像のニジマスを釣ったこの頃の季節は、ようやく快適に車中泊ができるようになる頃で、寝苦しかった夏が過ぎ、あまりにも熟睡できるもんだから爆睡しちゃって寝坊することもしばしばです。そもそもボクは、3月の中旬から11月の下旬まで、殆どの週末を車中泊で過ごすんです。その場所も様々で、どこかの漁港だったり道の駅だったり、山あいの温泉施設の駐車場や国道沿いのパーキングエリアなどといった事もあります。(いくつかの場所は、施設管理者や管轄部署のホームページなどで車中泊が可能かどうか確認が必要です)

※ 余談ですが、山あいの温泉駐車場にお邪魔した時には、世にも恐ろしい怪奇現象に見舞われて、深夜にも関わらず脱兎のごとく逃げ帰ったことがあり、機会があればお伝え致しますね!

 

そんな車中泊で、冬用の厚手の寝袋だと寝苦しいけど、夏用の薄手の寝袋だと明け方にかけて肌寒さを感じるような時には、是非ともオススメなのがスコーロンボックスシーツです。この薄手のボックスシーツのインナーシュラフとしての利用法は、薄手の夏用寝袋+SCボックスシーツまたは、冬用寝袋+SCボックスシーツのいずれかで、快適な夜と十分な安眠を得られることが多いです。もちろん単体での使用もできます。

 

ともすれば、スコーロンは防虫効果ばかりに目が向きがちになりますが、インナーとしての使い方によっても頼もしい商品でもあるのです。もちろん、初夏~初秋に現れる煩わしい蚊やダニなどにも高い効果を発揮してくれるのは言うまでもありません。また、ボクは首周りだけは何故か高い防虫効果を期待できるような外国製の強力な防虫剤(特にクリームタイプ)には肌が負けてしまうことがあり、これまでも何度かただれて赤く腫れ上がり、慌てて皮膚科へ向かう程酷い目に遭ったことがありました。

 

ダニ

 

きっと、ご家族でキャンプを楽しまれている親御さんの中でも、お子様の肌が弱くて防虫剤を使えなかったり、女性キャンパーや女性アングラーの方々にも同様のお肌事情の方々がいることと思います。そうしたお肌事情を持つ方々にとっては、このスコーロン衣類はとても強い見方となってくれることと思いますし、雨降りでは肌に塗った防虫剤が溶けて流れ出すことから効かなくなる場合がありますが、スコーロン衣類なら安心です!(マダニなどは、その種類にもよるのですが、肌寒くなる11月でも刺されることもあるようで、アブや蚊が減る秋口でもご注意下さい)

 

話しを釣りに戻すと、このテレストニンフなどはタイイングも簡単で、とにかく自由に巻ける筆頭格なのではないでしょうか?そもそもテレストリアルほど自分の好きなシェイプに仕上げられるフライはないので、コガネムシのようにポッテリ&ズングリムックリでもよし、カミキリムシのように縦長でもよし、テントウムシのように丸くても、クワガタのようにゴツゴツしていても、それら全てがテレストリアルなのですから。極端な話「ピーコックにレッグを付ければOK!!」みたいなノリですからね。

 

2022.03.15・カブちゃんの北の便り』でもお伝えしましたように、ボディーのボリューム感を上げるのにシェニールや不要となったフライライン、または各ダビング材などでアンダーボディー(下地)を作ってあげると、程よい膨らみが作りやすいと思います。(レッグに関しては各メーカーから販売されていますし、ラバーレッグでも問題ありません)。

 

更には、前記したピーコックボディーに、伸びることでシェイプをまとめやすいTMCストレッチフォームをオーバーボディーとして巻き上げ、それをガン玉などのシンカーを使って沈めてもおもしろいかもしれませんね。函館周辺は夏以降に活発化するフキバッタ系がとても多いので、来年の8月~9月にはバッタのイミテーションニンフを巻いて沈めてみようかな?とか思っています(笑)。

 

11月のニジマス

 

さてさて、いよいよ北海道では、外にある雪まみれの温度計では一日中マイナス気温を指すような季節になってしまいました。今年も、浜でお会いした方、川辺でご挨拶頂いた方、その他にもたくさんの方々に大変お世話になりました。本当にありがとうございました。この場を借りて深くお礼申し上げます。それでは良い年をお迎え下さい。来年が、皆様にとって素晴らしいFishing Yearでありますように!!

 


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