フライタイイングの基本の材料。毛ばり釣り入門

フライタイイング入門

フライタイイング入門

STEP 3「基本の材料」

フライタイイングマテリアル

よく使われる材料
フライタイイングマテリアル解説

フライタイイングに使われる材料をタイイングマテリアルと呼びます。鳥の羽や獣の毛などの自然のものから化繊まで、多種多様な材料が販売されています。色々なフライを巻いていけば自然と覚えていくものですので、ここではよく使用される基本的な材料をご紹介します。

  1. フライフック
  2. タイイングスレッド
  3. ハックル
  4. 獣毛類
  5. ダビング材
  6. ワイヤー類
  7. ビーズ類
  8. ヘッドセメント
  9. シンセティック材

とても種類が多いので、全てを始めから揃える必要は無く、まずは基本的なフライを巻くための材料を準備してフライタイイングの基礎を学習し、その後に巻きたいフライに必要なマテリアルをその都度揃えていけば良いでしょう。

それでは各材料について順番に見ていきましょう。

フライフック
フライフック

フライ専用に開発された釣り針をフライフックと呼び、この釣り針そのものにマテリアルを巻き留めていきます。少しの違いがフライの性能に大きく影響を与えるため、フックの形やサイズのバリエーションがとても多く用意されています。

各部の名称
フライフック フライフックには図のように様々な要素があり、釣り人の様々なアイデアを具現化することが可能になっています。フライの目的やパターンに合わせて適切なフックを選ぶことが重要です。
スペック表記
フライフック 実際のフライフックにはこのような表記がされています。スペック表記を読み解くことで、ある程度はフライフックのシルエットや用途をイメージできるようになっています。
Dry Fly 用途 主に想定しているフライパターンの用途。ニンフやストリーマーなどなど、様々に書かれています。フックの特性を理解した上で、アイデア次第で違う用途に使うこともあります。
D/E アイの向き この場合はダウンアイ(Down Eye)というアイが下向きになっているデザインを表し、他にストレートアイやアップアイなどがあります。
1XF ワイヤーの太さ この場合は1エクストラファイン(1 Extra Fine)という基準から一段階細いワイヤーを使用していることを意味しています。反対に太いものはヘビー(Heavy)と表現されます。
Wide gape ゲイプの広さ ゲイプ幅がどのくらい広いのかを表しています。数字で2X Wide(この場合は二段階広いゲイプを表す)などと表現する場合もあります。またシャンクの長さを合わせて2X Shortなどと併記する場合もあります。反対に長い場合は2X Longなどとなります。
Forged 平打ちの有無 フックの両サイドをプレスして開き強度を上げる加工。ただしあくまでもフックの強度は全体のバランスですので、単純にこの有無が強度を決めるものではありません。
Barbless バーブの有無 この表記があれば、バーブ(針先の返し)の無いバーブレスのフックということになります。
Bronze カラー TMCではブロンズの他にブラック、ニッケルシルバー、ゴールドなどの色があります。反射の具合によってフライのシルエットに影響を与え、釣果が変わってくることがあります。

フライフックは20本入りのケースに入って販売されています。とても種類が多いので、はじめはスタンダードなTMC100の12番~16番のサイズを用意して練習していくと良いでしょう。

【製品リンク】TMCフライフック
タイイングスレッド
タイイングスレッド

フライフックに糸で材料を巻き留めていきますが、そのための専用の糸をタイイングスレッドと呼びます。現在では扱いやすく強度もあるナイロン製のスレッドにワックスを施したものが主流となっています。ボビンホルダーにセットして使用します。

太さ
タイイングスレッドには太さが数種類があり、太い方から順に3/0(サンゼロ)、6/0(ロクゼロ)、8/0(ハチゼロ)、12/0(ジュウニゼロ)となっています。基本的にはフライのサイズによって使い分けます。当然細くなればなるほどテンションを掛けた時に切れやすくなります。はじめは標準的な6/0サイズを持っていれば良いでしょう。
  • 【3/0】8番以上の大型フライ
  • 【6/0】10~18番ぐらいのフライ
  • 【8/0】14~22番ぐらいのフライ
  • 【12/0】20番以上の小型フライ
タイイングスレッドは多くのカラーが用意されています。フライは水に濡れると色が透けるため、基本的にはフライのボディに使用するマテリアルと同系統のカラーを使用することが多いです。慣れてくるとこだわりのあるカラーを使用することになるでしょう。
【製品リンク】ユニプロダクツ・6/0スレッド
ハックル
ハックル

鳥の羽はもっとも毛ばりらしい材料と言えます。鳥の羽と一口に言っても様々な種類の鳥の様々な部位がありますが、それぞれに特徴があり、使い分けることで目的のフライを作っていきます。その中でも代表的なものが鶏の体の毛で、ハックルと呼んでいます。はじめは最もよく使われるコック(雄鶏)のネック(頸から下の毛)があれば良いでしょう。

ケープ
フライフック ハックルはケープと呼ばれる皮の付いた状態で販売されています。一つのケープには様々な大きさのフェザー(羽)が生えていますので、フライによって選んで抜き取ります。半分にカットされた1/2(ハーフ)サイズでも販売されています。
グレード
ハックルには#1(ファースト)、#2(セカンド)、#3(サード)と品質のグレードが付けられています。個体による差はありますが、一般にグレードの高いものは小さいフライに使える品質の良い羽が多く生えています。
フライフック 多くの色がありますが、はじめはグリズリー、ブラウン、ブラック、ライトジンジャーあたりがあれば良いでしょう。
【製品リンク】METZコックネック
獣毛類
シザーズ

鳥類の羽と同様にシカなどの獣類の毛もよく利用されます。シカ類の毛は一本一本が中空構造になっており、軽く水に浮きやすいためドライフライに最適なマテリアルです。他にも動物の種類や部位によって様々なものが販売されています。はじめは何と言っても大定番のドライフライ「エルクヘアカディス」を巻くためのエルクヘア(ヘラジカの毛)があれば良いでしょう。

【製品リンク】ネイチャーズスピリット・カウエルクボディ
ダビング材
シザーズ

ドライフライやニンフなどのボディを作るためのマテリアルで、フワフワとした綿状の繊維をタイイングスレッドに縒り付けて使用します。

【製品リンク】スーパーファインダビング
ワイヤー類
シザーズ

金属のワイヤーです。リビングと呼ばれる水棲昆虫の体節の表現によく使われます。

【製品リンク】ユニプロダクツ・ソフトワイヤー
ビーズ類
シザーズ

水中に沈めるタイプのフライの頭部分に取り付けて、フライを確実に沈めることができます。

【製品リンク】TMCブライトビーズ
ヘッドセメント
シザーズ

フライタイイングの最後にスレッドを結んだあと、ヘッドセメントを一滴垂らして固め、スレッドがほどけるのを防ぎます。

【製品リンク】TMCヘッドセメント
シンセティック材
シザーズ

自然の材料以外のマテリアルは総称してシンセティック(化学繊維)マテリアルと呼びます。様々な種類のものが販売されていますが、中でもエアロドライウィングは吸水性の無いポリプロピレン製で、パラシュートフライのウィングなどに多く使われています。

【製品リンク】シンセティック材一覧

フライタイイングのレシピ

料理と同じ
フライタイイングのレシピ

フライには料理のレシピと同じように、基本的な知識と技術を身に付ければ、あとは写真と必要な材料が書いてあれば巻くことが出来ます。たいていは下のように紹介されています。楽しみながらレパートリーを増やしていきましょう。

  • 【エルクヘアカディス】
  • フック:TMC100 #10-#20
  • スレッド:6/0
  • リブ:ゴールドワイヤー
  • ボディ:スーパーファインダビング
  • ハックル:ブラウン
  • ウィング:エルクヘア

タイイングマテリアルはとても種類が多いので、それだけで一冊のカタログができるほどです。はじめは次のレッスンでご紹介するような基礎的なフライパターンを何度も練習することができるようにマテリアルを用意しておきましょう。マテリアルがセットになったスターターキットもありますので、こちらを利用するのも一つの手です。

フライタイイングスターターキット
【製品リンク】フライタイイングスターターキット

次のレッスン

STEP 4: 基本の作り方