Fly Fishing記事 | ティムコ

アンダーハンド釣行記

2013.02.13

フライライン何gの話

フライフィッシングにおいて、このロッドにはラインは何gが合っているか?という話がある。

よく考えるとそれはフライフィッシングの考え方として一般的ではない。多くの人が実践しているフライフィッシングは、例えば3番ロッド3番ラインならWFやDTを使っていろいろな距離を釣る。例えば、近距離でフライラインが少しだけ出ている場合、ロッドにかかる負荷が3gとしよう。

次にフライラインをリールから出してもっと遠くを狙った場合、ライン負荷が9gになったとする。この時点で負荷ははじめの3倍に変化したわけだ。
つまり距離(出すラインの長さ)に応じてロッドにかかる負荷が幅広く変化し、その変化にしっかりと対応するのが一般的なフライフィッシングだ。だから魚を釣るフライフィッシングでライン何gがロッドに最適かというのは一般的ではないのだ。(ちなみにこのグラム表示はヨーロッパで多く、アメリカはグレイン表示だ。日本はヨーロッパの影響かグラムが多い)

しかし日本のヤマメを釣る3番ロッドと海外のニジマスを釣る3番ロッドがかなり違うという事実は自然にラインが出る量=重さに最適化されていき、同じ3番の中で3gくらいが使いやすい3番ロッド、9gくらいが使いやすい3番ロッドとそれぞれを最適化(オプティマイズド)しようとした結果なのかもしれない(実はこの考えがアンダーハンドキャストのベースだ。
9gのヘッドを作って、それ用にロッドを作れば最適化ができる。ロッドとラインを統一で設計したわけだ。)

しかし、一般的な考えでいけばDTやWFのように距離に応じて重量が変化していくラインを投げるロッド設計と一定の重量のSTヘッドを投げるロッド設計は違うものになるということが理解できると思う。特にダブルハンドにおいては数gではなく数10gの世界になるので両者はブランク厚、ガイドの位置(STヘッド用はルアーロッドのようにストリッピングガイドが離れています。)やグリップ形状、さらに握り方も違ってくる(ロングストロークとショートストロークの違いがあるため)。

STヘッド用ロッドにライン重量がどんどん増加するDTをのせたり、その逆をするということは実際にかなり多く行われているタックルセッティングミスだ。適合ルアー重量5g~15gのロッドで時に25gのルアーを投げるみたいになってしまう。実際に25gのルアーが投げられ問題なかったと主張する人が出てくるので世の中おもしろいが釣具店やロッドメーカーが困るだろう。
いずれにせよ、このロッドに何グラムが最適かという考え方は、アンダーハンドのようなSTヘッド設計のロッドに適用されると理解すればすっきりすると思う。

これは市場全体の中ではとても少ないものだったが比率はどんどん上がってきている。今年も多くのフライタックルメーカーからショートグリップのスカンジナビアン用とかアンダーハンド用というロッドが投入されている。これらは間違いなくシューティングヘッド用に設計されたロッドだ。だからライン(ヘッド)何gには気を配った方がいい。

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さて、ループロッドはアンダーハンド&オーバーヘッド用タックルでSTヘッドを用いるのでロッドに適合ヘッド重量22g~24gなどと表記してある。

これはほんの7~8年前まで全体の中では特殊だった。特にダブルハンドは30gというようなとても大きな負荷が掛かるのでこの対応幅を広くすると(例えば3倍幅の15g~45gというように)ブランクが厚くなり重くなってしまうので、ある程度幅を狭める方が汎用性はなくなるが最適化できるという考えもある。
そうすれば軽いロッドで一定重量のヘッドをシュートして近距離も遠距離もカバーし、なおかつ全体のシステムを軽量化できるメリットが生まれる。
これこそアンダーハンドキャストの考え方だ。

ところで、ループタックルにおけるシングルハンドの8番18g~21g、ダブルハンドの6番22g~24gというロッドのヘッド適合重量は一般的なAFTMA(AFFTA)規格ではない。アンダーハンド&オーバーヘッド用に独自に考えて作ったループタックルの規格だ。

この2つはかなり違う重量なのだ。AFTMA(AFFTA)の規格でSTヘッドの23gは6番ではなく8番だ。しかし、アンダーハンドのようなオーバーヘッドもDループも両方できると宣伝するここ数年で次々と発売されたSTヘッドの重量をいろいろ調べたら、なぜか?多くがAFTMA(AFFTA)規格でなくLOOPラインの規格になっている・・・。多くの人が軽めというヘッドも実際に量るとLOOPラインと同じだったりする。

この現象はLOOPタックルを支持する私たちにとっては喜ばしいことだ。フライフィッシングの世界の大きな流れを実感できる。
考えてみれば30年前の1980年代前半にLOOP社がラージアーバーリールを世に出した時は明らかに特殊だった。初めはなかなか受け入れられなかったという。

しかし今ではフライリール市場の多くはラージアーバーになった。
30年近くの時間がかかったが特殊なものが多くの賛同者、また追随者によって一般的になったわけだ。今ラージアーバーリールを見てびっくりするフライマンはいないだろう。自分自身、初心者の頃ラージアーバーには相当の抵抗があった(笑)。アンダーハンドキャスティングも今後そのようになるかはわからないが、かつてのラージアーバーリールと同じような流れかもしれない。

近藤記


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