・・・前回の記事より続く
入渓ポイントを見失い、とりあえず大丈夫そうな所から登ろうと斜面に手をつくと針で突かれたような痛みが左手薬指に走る・・・。バッと手を引いてみると指から血がタラタラたれている「???」と手を置いた場所を見ると「ヤツ」がいた・・・
そう「マムシ」の野郎が・・・
すぐさまスマホを出してニョロニョロと逃げるマムシを撮影する(後で説明をするためにも撮っておいたほうが安心なのだ)。そして次には指の血をぎゅっと押さえて搾り出していく。ついでに口でも吸い出してペッペと吐き出す。咬まれた指は直ぐに腫れ出して鈍痛。
「あ~、やっぱり見間違いじゃないよな~」と思いながらも「こんなもんかな?」と感じる痛みだったのでやたら焦ることはなかった。
ここでGPSを取り出して入渓した所を確認し移動。そこからはGPSを確認しながら戻ったのだが、来たときよりも斜面がゆるく、かつ早く道に戻れるコースを取ることが出来た。マジGPSに感謝! 方向音痴の自分にはなくてはならないアイテムだ。もしなかったら間違いなく時間はかかっていただろう。
車に戻って素早く着替え、携帯圏内まで移動。そしてグーグルで病院を検索しそのままGo!
入院初日
病院の受付に行き「マムシに咬まれました」と言うと「紹介状はありますか?」と・・・。『あるわけないでしょうよ!』と心の中で叫ぶが大人の対応で「さっき咬まれて、直ぐここに来たのでないですよ」と言う。するとERの方に連絡してくれ、そのままERで直ぐに点滴となる。ここまでは普通に歩けていたし、指の痛みも、腫れ自体も自分の思っていたほどでもない。思いのほか毒が入っていないのかと思ったのだが考えがあまかった。
点滴を打ってしばらくするとトイレに行きたくなる。「車椅子用意しますね~」と言われたが「平気です」と言って立ち上がろうとすると、もうフラフラで全く立てない。「すいませんギブです。車椅子お願いします・・・」それから次の日の夕方くらいまでは車椅子だった・・・指の痛みもドンドンでて、それとともに腫れもひどくなってきている様子。手の甲もぷっくりしてくる(Grade 2)。
「もっとパンパンになって黒くなるけどな~」と言われながら色々と説明を受ける。ただこの時点で思考の働きは悪くなっているようで「ハイ、ハイ」としか面倒で言えなくなっていた。
ベッドの準備が終わりそちらに移動すると心電図と血液中の酸素量を見る装置をバシバシつけられ、とりあえず明日までの準備は終了。ここでメールやラインで各方面に連絡をしたのだが、その間にひじの方まで毒が来てむくんできた(Grade3)。本来ならもっとパンパンになると言われたので症状は軽い方なのだろうが不安だ・・・
後はやることも無いのでひたすら痛みとの格闘。正直咬まれた所よりも何故か肩周りがバキバキになってとにかく痛い・・・痛み止めもほぼ効かず、おかげでほとんど寝れなかった。
次の日は朝から肩まわりが痛くて腕も上げたくない状態。「毒の影響か?」とドクターに症状を言うが「マムシとは関係ないかな~」との返答だった・・・ちなみに基本24時間から72時間で毒が回るのもストップするらしい。自分は24時間ほどたつと全体的に楽になっていた気がする。
入院2日目
朝食後、一般病棟に移動。まだ立つとフラフラなので車椅子だ。腕の腫れはひじのところで止まっており余り進んではいない。血液検査も今のところ数値に問題は出ていない様子。トイレにも頻繁に行くので腎臓もOK。
毒がガンガンいくと腎臓の働きが悪くなり全くでなかったり、血尿になったりと大変な状態になるので一安心だ。ドクターも「退院する?」と言うくらいの状態らしいが、まだフラフラで宮城から埼玉に帰る自信はさすがにない、大体車椅子で移動しているのだ「すいません。もう一日いさせてください」と返答して自主的に入院を延ばすことにした。
また、マムシの毒は目にも来るようでいまひとつ焦点が合わない、ものすごく違和感がある状態。どうも複視といって物が二重に見えたり、視力がちょっと落ちたりもするらしい。これは時間がたつと元に戻る症状なのでよかった・・・(不安だったのでグーグルで調べた)
その後はやることが無いのでヒマなのだが、昨日寝れなかった事もありチョコチョコと起きたり寝たりの繰り返し。そうこうしていると夕方くらいから肩口まで浮腫んで微妙に痛さを感じてくる「これはまだ毒進んでいるな~、明日の退院も微妙かも?」と思いつつこの日は終了。そして目はつらいのだが、夕方には何とか自分で立って歩ける状態にまでは戻ってきた。
入院3日目
朝に採血をし、問題なければ退院だがどうも肩近くまで浮腫んできたので「ダメだろう」と予想。案の定「数値が悪いのでもう一日延ばします」となる。マムシ毒にやられた筋肉(?)が溶け出して血液に入るらしいが、その数値が大きくなっていたらしく、これが落ちないと退院できないらしい。予想はしていたので余りショックではなかったがとにかくヒマ・・・
入院4日目
朝に再び採血。昨夜には浮腫みの進行も止まり、朝起きるとやや浮腫みが改善されていた気がしたので「大丈夫だろう」と予想。やはり数値は落ちたようで退院と言うことになる。そして咬まれた指のガーゼを交換してもらったのだがその指がすごいことになっていた。腫れと水ぶくれで太さがオリザラ・・・しかも一部「ど紫」。さらに咬まれた傷跡からちゅるちゅると血と体液が出ている状態だ。
ドクターが針でちょっと穴を広げてそれらを搾り出す・・・痛かった・・・ドクターいわく「関節は直ぐに固まるからこれからが大変なんだよね~感染症と※拘縮(こうしゅく)に気をつけてリハビリしてください」と説明される。
※関節部を包む関節包および関節包以外の関節を構成する軟部組織(血管や筋組織、神経組織など)が変化し、可動域制限を起こした状態
戻ったときに行く病院を決めて紹介状をもらう。形成外科になるらしい。そして退院後は頑張って家まで運転。思いのほか順調に帰れてよかった・・・
※帰宅してからガーゼ交換したときの写真。血とか体液を搾り出されたのでこんな感じですが次の日は膨れて再度オリザラクラスに・・・液が出ている所が牙の刺さった場所。
この後は近所の病院でひたすら傷を治すことに専念することになる。まだ利き手ではない薬指なのでご飯も何とかなる。これが右手や足だったらかなり苦労することになっていただろう。目のほうの違和感も10日ほどでなくなったので助かった・・・
まだまだ指の治療は続くが早いとこ復活したいな~。
反省とアドバイス
むやみに手をつかない・・・手をつく場所を出来るだけ確認する。もうむやみに草むらとかにも手をいれられない・・・
手袋をする・・・藪こぎするので怪我をしないためにもフルグローブを推奨。革でも貫通するらしいが無いよりは間違いなく良いはず。自分はなるべくタフなものを選ぶ予定。
ポイズンリムーバーは必要・・・蛇だけでなくアブや蜂にも有効なので買うことに決定。口で毒を吸ったがちょっと危なかった。口内に傷や虫歯があるとちょっとヤバイ。やはり早めに毒を抜くことが症状を軽くする秘訣らしい。
咬まれたら即病院へ・・・昔は「安静にして待つ」だったが少しでも早く病院に行った方が重篤にならないようだ。無理なら待つしかありませんが・・・今回咬まれてから自分はかなり早く動きまわったと思う。それでも病院まで1時間半~2時間近くはかかってしまった。釣人はとにかく戻るしかないので動くことになるが、それで毒が早く回った感じはない。逆にゆっくりしていたら腫れもひどくなり、クラクラとめまいもはじまり、自分で病院には行けなかっただろう。
咬まれた時間を確認・・・咬まれてからの進行具合の確認に必要。血清を打つにしても6時間以内に行わないと意味がないらしい。ドクターからは必ず咬まれた時間を聞かれる。
がっちり止血はしない・・・止めすぎると毒がたまりすぎて咬まれた所に毒がたまりすぎ、やばくなる時もある。ちょこっとしめるがコツらしいが・・・
傷の切開はしない方が無難・・・素人がやるとその後そこから壊死して重症化の可能性がある。ポイズンリムーバーで吸い出すのが一番。
患部(咬まれた場所)は冷やさない・・・直ぐに腫れてくるので冷やしたくなりますが危険。血の流れが悪くなって壊死してしまう。知らないと一番やってしまいそう・・・
持っていく飲料は水かお茶?にする・・・川の水でちょっと洗ったが、振り返るとちょっとやばかったか?綺麗に見えても雑菌いっぱい。ペットボトルの水なら汚れ洗えるので便利だ。お茶はタンニンが毒を中和するらしいがペットボトルはどうなんだろう?お茶で洗っている人も結構いるようだ。
入院は一日15000~20000円を覚悟・・・手術なし、血清なしでこのくらいだった。心配な人は保険を見直そう。大体3日~一週間が入院の目安のようだが重症だと半年とかもあるようだ。
暇つぶしはラジオ・・・と思います。目にくるのでテレビや本、スマホとか集中できません。短時間なら大丈夫ですが個人差もあるかな。
スマホの充電器・・・自分で病院に飛び込むときに余裕があるならもって行った方が良いかも。自分は持って行かなかったので大変だった。身内の人が来てくれるなら大丈夫ですが・・・遠征時の入院は厳しいと思う。
保険証・・・せめてコピーはあった方が後々スムース。
診断書・・・保険会社に保険金請求する時に使うはず。退院の時に申し込む方が楽チン。窓口があると思う。
以上が今回咬まれてから退院するまでに感じたこと。このほかにも人によってはあると思うが参考になれば幸いです。
次はリハビリ日記かな~
開発担当 本多