コンブランナーというフライはもともと海のサクラマス用に2006年頃考えたフライでロングシャンクのTMC5262やTMC5263の#8前後に巻き、レオンの長く張りのあるハックルをボディ中央部に巻くことで水平維持を図ったフライです。コンブとは海藻の昆布で海藻の中で休んでいるサクラマスやアメマスが海藻に付くスカッドやエビをついばんでいるのに気付き、海藻の脇や間をインターミディエイトラインなどでゆっくり引いても、生き物のように水平を維持する機能を持たせたものでした。もちろん実績も充分で北海道の松前の海で多くのサクラマスや70cmを超える海アメにも出会えました。
北海道のフライマンが湖でも釣れると言うので自分も湖でも使うようになりました。支笏湖や屈斜路湖、阿寒湖でもアメマスやブラウン、レインボーが釣れました。芦ノ湖や中禅寺湖でもオギーさんが大型魚をたくさん釣っていました。ただ海のスピードのあるリトリーブと違い、湖ではもっとゆっくりカケアガリ付近を引きたい状況がよくあり、超スローリトリーブでも水平維持となるとロングシャンクに巻いてあるため難しいものでした。
昨年の夏に、島崎憲司郎さんのところに伺った時にシマザキダブルツイストエクステンション(DTE)というテクニックを見せていただき、これだと思いました。さっそく家に帰って夜な夜なDTEコンブランナー(コンブランナーII)を作り始めました。シマザキストレッチボディやアップルツイスターの製品開発を担当していたのでやり方を理解するのは簡単でした。不格好な出来でしたがいろいろなサイズをTMC105やTMC2499SP-BL、TMC784などのショートシャンクフックに巻いてみました。
釣れるかどうか、まず管理釣場で試しました。フォーリング、超スローリトリーブまで対応できる水平維持の結果は素晴らしいもので、巻き方やマテリアルなどを徐々に改良しました。その後、湖でもよく釣れたので知人にも使ってもらうようになりました。秋にシーバスを釣る機会がありボートからフローティングラインで、DTE形式のゾンカーファーのイワシフライを投げてみたところ、リトリーブの途中、完全停止で水平を維持しているフライにシーバスが下から襲いかかり、いろいろな釣りに応用できると気付きました。ショートシャンクに巻くことで停止状態でも水平を維持して、フライが軽くでき、魚もよりバレにくいというメリットも感じられました。
以下巻き方です。
バイスにフックを固定して(ここではTMC784 #8)スレッドでループ状にした(割かないでそのまま)シマザキストレッチボディを仮止めしてダビングワックスを施します。後で外してトリミングします。仮止めといってもねじってとれないくらいにします。
ペレットダブなどのヤギの毛やシールズファー等(化繊系は巻きやすいです)を砂時計型にして(折り返した時にテーパーがつくように)クリップで拾ってループに挟み、アップルツイスターでしっかりツイストします。(ここでは左回り)。その後ツイスターをできたダビングループの中央に掛け直し、今度は逆回転(右回り)させます。ここではプロトタイプのアップルツイスターを使っています。
完成したDTEを外して後方よりトリミングします。その後フックに取り付け(DTEはシャンクの1.2倍くらい)、次にボディ用のシマザキストレッチボディループを作ります。今度は普通にマテリアルを挟んでツイストします(ここでは左回り)。スレッドでやっても構いませんがかなりねじるため切れることがあります。
できたボディ用ダビングループを巻いていきDTEの付け根にも1回転させます(こうすることでつなぎ目のスカスカ感がなくなります)。ハックルスペースを確保して一度ウィップフィニッシュして外して後方よりトリミングします。
最後にパートリッジなどのハックルを巻いて出来上がりです。
なお使う前にゾンカーのように水にぬらして空気を抜くといいです(特に大型サイズの場合)またペレットダブUVなどは沈まないので注意してください。フックはショートシャンクストレートアイをお勧めします。ある程度軸が太いほうが、バランスがいいと思います。そのためティペットも太くするといいと思います。観察するとリトリーブでフライが揺れるので、もしかしたら誘いになっているかも知れません。この他様々なマテリアルでお試しください。とても釣れるものがあるかもしれません。
近藤記
DTE(ダブツツイストエクステンション)の作り方はこちらの動画をご参考になさってみてください。